死は我々の友である。死を受け入れる用意の出来ていないものは、何かを心得ているとはいえない。
(フランシス・ベーコン)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、フランシス・ベーコン(1561年~1626年)の言葉です。ベーコンは、イギリスの哲学者、神学者、法学者。著作『ノヴム・オルガヌム―新機関』『ニュー・アトランティス』『学問の進歩』『ベーコン随想集』など。
ベーコンは、シェイクスピアとほぼ同時代人の人です。ベーコンといえば「イドラ」が有名です。人間は日常生活において多くの偏見や誤解をもって生きていると考えました。彼はこのような偏見のことを「種族のイドラ」、「洞窟のイドラ」、「市場のイドラ」、「劇場のイドラ」という4つの分類をしています。
「種族のイドラ」とは人間という種族である以上存在してしまう、精神や感覚の誤り。「洞窟のイドラ」とは個人の性格や育った文化の違いから生まれる偏見。「市場のイドラ」とはコミュニケーションの中で、言葉のあやから生まれる偏見。「劇場のイドラ」とは権威のあるものや権力者の言うことが正しいと無条件に信じてしまう偏見。いずれも人間の合理的な認識を妨げる偏見であって、これらにとらわれることなく真に開かれた精神をもって事象に当らねばならない、それがベーコンの思想です。
「死を友と呼ぶ」彼の言葉には、非科学的で非合理的なものを積極的に理解しようとしている姿が現れているのではないでしょうか。このような生き方をしたベーコンですが、ある時、彼は鶏に雪を詰めて冷凍技術の実験をしていて、それがもとで亡くなったといいます。いかにも実験科学者ベーコンらしい亡くなり方ですね。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。
2021年1月3日 一条真也拝