一条真也です。
ブログ「中学の同窓会」に書いたように、昨夜は深夜まで同級生と痛飲。
今日は朝から二日酔いです。フィリピンでは猛烈な台風の直撃で、なんと死亡者が1万人を超えたそうです。日本でも急速に発達している低気圧や前線の影響で、全国的に大荒れの天気になっているようです。10日午後は、北日本や北陸などを中心に、暴風や高波に警戒が必要だとか。そんな中、三五館から次回作の初校ゲラが入った封筒が自宅に届きました。
今度の本は、『慈を求めて』という本です。
孔子文化賞受賞記念出版となった『礼を求めて』(三五館)の続編で、日本最大の新聞系ポータルサイトである「毎日jp」の「風のあしあと」に連載中の「一条真也の真心コラム」をまとめた内容ですが、「世界平和パゴダ」の再開をはじめとした仏教関連のテーマが多いので、「礼」の次は「慈」を求めることにしたのです。
- 作者: 一条真也
- 出版社/メーカー: 三五館
- 発売日: 2012/05/21
- メディア: 単行本
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ブログ「『慈経』を訳す」に書いたように、わたしは今、上座部仏教の根本経典である「慈経」の自由訳に取り組んでいます。
そのため、「慈」というものについて毎日考えています。
一番新しい著書である『死が怖くなくなる読書』で、わたしが取り上げた「死」の本は、いずれも「人間の死」についての本でした。例外は、人魚の死を描いたアンデルセンの『人魚姫』、異星人の死を描いたサン=テグジュペリの『星の王子さま』です。他にも、ブログ「『サンデー毎日』書評」に書いたように、わたしは新美南吉の『ごんぎつね』という童話が子どもの頃からの愛読書です。『ごんぎつね』は狐にまつわる童話ですが、その他にも鶴にまつわる『つるのおんがえし』、鬼にまつわる『泣いた赤鬼』などの日本の童話が好きでした。それぞれ、最後には狐や鶴や鬼が死ぬ物語で、残された者の悲しみが描かれています。
当然ながら、異星人も人魚も狐も鶴も鬼も人間ではありません。
でも、彼らも人間と同じ「いのち」であることには変わりはありません。
人間の死に対する想いは「人間尊重」としての「礼」になります。
そして、あらゆる生きとし生けるものの死に対する想いは「慈」となります。
「礼」が孔子的だとすれば、「慈」はブッダ的であると言ってもいいでしょう。
じつは『礼を求めて』では、「愛犬の死」および「愛犬の墓」という2本の原稿を収録しませんでした。この2本は、2010年8月に亡くなった愛犬ハリーについての文章であり、「礼」すなわち「人間尊重」をタイトルに謳う本に収録すべきではないと判断したからです。しかし今度は「慈」すなわち「生きとし生けるものへの慈しみ」ですから、改めて「愛犬の死」と「愛犬の墓」を『慈を求めて』の冒頭に収録することにしました。
『慈を求めて』には、さまざまな話題が登場しますが、中でも世界平和パゴダ再開をはじめとしたミャンマー仏教関連のエピソードをたくさん書きました。
また、互助会保証の「東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会」のミッションで訪問した韓国や台湾の葬儀事情、同じく互助会保証の海外視察で訪問したオランダやベルギーの葬儀事情などは資料的には他に類書がありません。さらに、伊勢神宮、出雲大社、靖国神社、知覧特攻平和会館、ビルマ日本人墓地などを訪れたレポートにも力が入りました。「禮鐘の儀」、「宇宙葬」、「月への送魂」といった儀式文化のイノベーションについてもたっぷり紹介されています。
今日は、二日酔いの頭を抱えながら、また1万人を超すフィリピンの台風犠牲者の方々に心からの哀悼の念を抱きながら、初校ゲラを校正しています。
なお、『慈を求めて』は年末に刊行される予定です。
*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。
2013年11月10日 一条真也拝