伊勢神宮

一条真也です。
ブログ「鳥羽・伊勢の思い出」に書いたように、昨年の10月23日〜24日、わたしはサンレー北陸の社員旅行に合流しました。そこで、わたしたちは伊勢神宮を訪れました。最初は外宮、それから内宮をみんなで参拝しました。


久々に伊勢神宮にやってきました



それにしても、ずいぶん久しぶりの参拝でした。
最初に伊勢神宮を訪れたのは、1990年の12月17日でした。その日、わたしは伊勢市で講演をしました。当時、プランナーとして翌年に伊勢市で開催される「世界祝祭博覧会」のイベント企画の仕事をしていました。


遊びの神話

遊びの神話


伊勢神宮東京ディズニーランドの共通点について書いた拙著『遊びの神話』(PHP文庫)を読まれた伊勢市市議会議長(後に伊勢市長となる)の中山一幸さんのお声がけによるものでした。その流れで伊勢市での講演の依頼もお受けしたわけです。そのとき、中山さんのはからいで普通は絶対に入れない最奥部まで入れていただき、公式参拝しました。
かつて神宮に参拝したイギリスの歴史家アーノルド・トインビーは、「この聖地において、わたくしは、すべての宗教の根底に潜む統一性を見出す」と述べましたが、わたしもトインビーと同じ感動を味わいました。


伊勢神宮の外宮にて



いま、神社が非常に見直されているようですね。
とくに若い人たちの間で、「パワースポット」として熱い注目を浴びています。いわゆる生命エネルギーを与えてくれる「聖地」とされる場所ですね。
神道研究の第一人者である宗教哲学者の鎌田東二さんによれば、空間とはデカルトがいうような「延長」的均質空間ではありません。世界中の各地に、神界や霊界やさまざまな異界とアクセスし、ワープする空間があるというのです。
ということは、世界は聖地というブラックホール、あるいはホワイトホールによって多層的に通じ、穴を開けられた多孔体なのですね。


玉砂利の道を歩きました



そのパワースポットの中でも、日本最大・最強の聖地が伊勢神宮です。「お伊勢参り」で有名な伊勢神宮ですが、この名はじつは通称です。正式には単に「神宮」と呼ばれます。
神宮といえば伊勢神宮。特徴は天皇が主宰者という点で、古代は、個人参拝は禁止。皇室や国家に関わる祈願だけがなされていました。
その伊勢神宮には、2つの正宮があります。内宮(皇大神宮)と外宮(豊受大神宮)です。内宮では天照大神と、そのご神体である八咫鏡三種の神器のひとつ)をまつり、外宮では、天照大神の食事の世話をする豊受大御神をまつっています。また内宮では、天手力男命と万幡豊秋津姫命もいっしょにまつっています。じつは、伊勢神宮は、この他に数多くの別宮、摂社、末社、所管社からなっています。その総数は125。これらすべてを合わせて伊勢神宮なのです。


式年遷宮の工事中でした



言うまでもなく、伊勢神宮は、日本を代表する神社です。
今年は20年に1度の式年遷宮の年で、大きな注目を浴びています。式年遷宮に際して、建て替えられる社殿は、じつに65棟。装束や神宝類もすべて一新されるため、その費用は前回(1993年)で約327億円にものぼりました。今回は、なんと約550億円かかるとされています。さすがは日本最大の神社だけあって、スケールが大きいですね。
今年は、おそらく大勢の参拝客が訪れることでしょう。


伊勢神宮の内宮にて



伊勢神宮の魅力、なかでも内宮の魅力は、社殿などの建物よりも、正殿までの道のりにあります。
もう、何とも言えない気持ちになります。
かつて伊勢神宮を訪れた西行法師は、その気持ちを「何事のおはしますかは知らねどもかたじけなさになみだこぼるる」という歌に詠み込みましたが、たしかに、ここには「ありがたさ」を感じる何かがあるのです。


参拝すると清々しい気持ちになります



五十鈴川に架った宇治橋を渡って下をみると、清らかな流れのなかに真紅の鯛が泳いでいます。真っ白な鳥居をくぐると、右折したところに御手洗場があります。ここで手を清めると、心の中まで清々しい気分になります。
さらに、玉砂利をさくさくと踏んで参道を進みます。周りには樹齢600年以上の大きな杉が立ち並び、地面には真っ白な神鶏が群れています。
そして神苑の一番奥には、ヒノキの素木造りで、カヤぶきの屋根という、唯一神明造りの正殿が立っているのです。ここまで歩いてくる間に、参拝者は、まさに西行法師が感じたように、何か壮重な気持ちにさせられます。


ここは、日本人の「こころ」のふるさとです



伊勢神宮に限らず、わたしは疲れたときなど、よく神社に行きます。何よりもまず、神社は木々に囲まれた緑の空間です。ゆたかな緑の中にいると、いつの間にか元気になります。
また、神社はさまざまな願いをかなえてくれる場所でもありますね。わたしは、しばしば志を短歌に詠み、神社に奉納します。不思議とその後は物事が順調に進み、願いがかなうような気がしています。八百万の神々をいただく多神教としての神道の良さは、根本的に開かれていて寛容なところです。まったく神社ほど平和な場所はありません。伊勢神宮出雲大社には心御柱がありますが、すべての神社は日本人の心の柱だと思います。「神社さえあれば日本人は大丈夫!」とさえ思えてきますね。

開運! パワースポット「神社」へ行こう (PHP文庫)

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*よろしければ、本名ブログ「天下布礼日記」もどうぞ。



2013年3月20日 一条真也