死を乗り越えるジャンヌ・ダルクの言葉

 

あなたが何者であるかを放棄し、
信念を持たずに生きることは、
死ぬことよりも悲しい。
若くして死ぬことよりも。
ジャンヌ・ダルク

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、ジャンヌ・ダルク(1412年~1431年)の言葉です。彼女は、「オルレアンの乙女」と呼ばれたフランスの愛国者です。イギリス軍との戦いの中で、彼女はフランス軍を率いて戦いました。のちにイギリス軍に捕らえられ、火刑に処せられましたが、1920年にローマ教皇庁により聖女に列せられました。



ジャンヌ・ダルクは映画や小説にも描かれた悲劇のヒロインです。18歳の乙女がフランス軍を率い、勝利を導くものの、その後、魔女として公衆の前で火あぶりの刑になる――そんな物語がノンフィクションとして存在することに驚くばかりです。そんなジャンヌ・ダルクの面影が、かの天草四郎時貞とダブるのはわたしだけでしょうか?



天草四郎本人はまだ10代半ばの少年でした。実際に島原の乱を計画・指揮していたのは大人たちで、四郎は一揆軍の戦意高揚のために浪人や庄屋たちに利用されていたに過ぎないといわれています。勝利した幕府軍の陣には四郎と同じ年頃と見られる少年たちの首が次々に持ち込まれたといいますが、幕府側には天草四郎の姿や容貌の情報が全く伝わっていなかったため、どれが本物の四郎の首であるか分かりませんでした。それで四郎の母にこれらの首を見せたところ、母は陣佐左衛門が持って来た首を見て顔色を変え、その場で泣き崩れたと伝えられています。



こうした天草四郎の悲劇性がジャンヌ・ダルクと共通しているように思います。それにしても、「あなたが何者であるかを放棄し、信念を持たずに生きることは、死ぬことよりも悲しい。若くして死ぬことよりも」という言葉をまだ10代の女性が遺したのかと思うと、たまらなく切ない気持ちになります。日本でいえば明治維新の志士のような熱いメッセージではないでしょうか。なお、今回のジャンヌ・ダルクの名言は死を乗り越える名言ガイド(現代書林)に掲載されています。

 

 

2024年5月24日  一条真也