加賀大観音像の中へ!

一条真也です。
地震多発の石川県に来ています。
地震のせいで観光客は少ないかと思ったら、今朝の金沢のホテルの朝食ビュッフェは超満員で驚きました。新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着きつつあり、金沢は完全に観光モードに入っています。


朝は金沢カレー(ミニ)を食べました

 

これ以上、大きな地震が起こらないことを願って、今朝はカツ入りの金沢カレー(ミニ)を食べました。「負けてもカツ!」とつぶやきながら・・・。朝食を終えると、迎えの車に乗って金沢紫雲閣へ。ここでサンレー北陸の本部会議を行いました。冒頭、長女の結婚にあたってお祝いをいただいた有志のみなさんに心からの御礼を述べました。


加賀紫雲閣の前で


紫雲閣の前から観音像の姿が・・・

 

本部会議の後は、東専務、石田執行役員とともに車で加賀市に向かいました。まずは、わが社の加賀紫雲閣を訪れました。紫雲閣の前から巨大な観音像の姿が見えます。そう、加賀にやってきたのはブログ「加賀大観音」で紹介した日本一の巨大観音像の関係者とお会いするためです。


JR加賀温泉駅のようす


まるで、「シン・ウルトラマン」の長澤まさみ

 

加賀大観音像は、JR加賀温泉駅の近くにあります。駅舎の上から顔を出した観音像の姿は、まるでブログ「シン・ウルトラマン」で紹介した空想特撮映画で巨大化した長澤まさみのようでした。なんでもバブルの時代に完成した仏教系テーマパーク「ユートピア加賀の郷」の中心に建立された観音像だとか。ここには、観音像を中心とした「加賀寺」エリア、ジャングル風呂がある「観音温泉」、「ユートピアランド」という遊園地による複合施設だったそうですが、現在は閉鎖されています。


背後に大観音像


近づくにつれ、大観音像の偉容が・・・


東専務とともに


これが加賀大観音像だ!!

 

じつは先月、加賀大観音像事業部の執行役員の方から丁重なお手紙を頂戴しました。便箋数十枚にわたるお手紙でしたが、その冒頭に「加賀大観音の再生を心から願い、何かいい方法はないかと悩んでおります。『一条真也』様のブログの加賀大観音に関する部分を、私の友人からペーパーでいただき読ませていただき、感動いたしました。この方ならば、私の今、悩んでいる現状を理解いただき、適切なアドバイスをいただけるのではないか。そう強く思わせていただきました。是非とも、私の話を聞いていただき、私のアドバイザーになっていただきたいと思います」と書かれていました。わたしは、昔経営していた企画会社「ハートピア計画」時代を思い出しながら、その方にお会いすることにしたのです。


加賀大観音像の前で


観音像の足元には回廊が・・・

 

観音像ももともと黄金に輝いていたそうですが、今ではなんとなく色褪せているようにも思えます。でも、金ピカよりも、このほうが味わいがあって良いのではないでしょうか。ちなみに、観音像は、子どもを抱いている「慈母観音像」というタイプです。高さは、なんと73メートル。ちなみに、シン・ウルトラマンは60メートルなので、観音像の方がはるかに大きいです。抱いている子供が奈良の大仏と同じ大きさだというから、もうビックリ仰天!


加賀大観音像の入口のようす


中に入ると奉納者のパネルが・・・

日本三大観音霊場巡り」

日本三大観音霊場巡り」にて


慈母観音像


二階は電気が通っていませんでした

 

観音像の内部には螺旋階段があり、その両側には、参拝者が奉納した短冊ほどの大きさの大量のパネルが貼られています。一階は、西国、阪東、秩父日本三大観音霊場巡りが、二階は四国の八十八ヶ所の霊場巡りが短時間でできるように各霊場の本尊様を祀っているといいます。一番上には小部屋があり、外を眺めることができるとか。現在、二階には電気が通っておらず、天井や床板は中国の窃盗団によって剝がされているそうです。罰当たりなことですね。


「極楽」への入口


「極楽」のジオラマ
「極楽」のジオラマの前で


「釈迦八相とシルクロード


「受胎」


「出家」


「苦行」


「説法」


「入涅槃」


「入涅槃」の前で

 

観音像の裏手には「加賀三十三間堂」があり、これがまた凄かった! まず、建物の半分に「極楽」を模したジオラマが作られています。案内板には、「釈迦八相や仏教伝播の情景が薄明の中に浮き出され、中空に視線を転ずれば全長40メートルまさに世界最大のスクリーンが展開して、シンセサイザーによる荘重な音楽ときらめく光彩の饗宴による観音浄土が出現いたします」とあります。かつて、わたしがハートピア計画で目指していたのは、まさにハートピア(極楽)の再現です。釈迦八相のジオラマを見ながら、若き日の夢を思い出して胸が熱くなりました。

「加賀三十三間堂


「加賀三十三間堂」にて

建物の残り半分は、金色の観音像で埋め尽くされています。これぞ「加賀三十三間堂」というわけです。なんでも、全長約40メートル、最上段までの高さが13メートルというひな壇に、高さ1メートル60センチの千手観音立像が25段94列にわたって安置されています。その数、なんと1188体! しかも、対面がすべて鏡張りなので、実際には2倍に見えるのです。もう、凄すぎる! 

すべてが黄金色に輝く世界


ミスティック・ワールド!


ひときわ荘厳な仏像


異世界を訪れたようでした

 

さらに、梵鐘仏堂、金色堂、瑠璃光殿という3つの建物がありました。梵鐘堂には、「羅刹天」という鬼のような異形の仏に支えられた金色の大きな梵鐘が置かれています。 金色堂には、金色の五百羅漢像が円錐状にうず高く置かれています。円錐の麓には水が流れていて、噴水もあります。天井にはステンドグラスが貼られています。そして、吹き抜けの中央に金色の五重塔が置かれ、それをたくさんの仏像が囲んでいる瑠璃光殿があります。パンフレットによれば、「曼荼羅の世界を表現している」とか。「ユートピア加賀の郷」の往年の雄姿は、こちらを御覧下さい


「世界一の梵鐘」


「世界一の梵鐘」の前で

 

それにしても、このスケールの大きさには驚かされます。
さすがは、加賀百万石の土地だけのことはありますね。同施設は、建売住宅で急成長し、関西を中心に不動産業や食品スーパー、レストラン、ゴルフ練習場などを経営し、41棟のものビルを所有していた「関西土地建物」という会社によって1987年にオープンしたそうです。まさにバブルの真只中ですが、総工費は280億円だったとか。


ロケット発射台のような巨大井戸

拝観者の度肝を抜く巨大数珠


観音院加賀寺の本堂の外観


大観音像に隣接する観音院加賀寺

 

その後、「ユートピア加賀の郷」は「密教大本山豊星寺」と名前を変更し、一時はタレントの織田無道氏が住職を務めていたそうです。現在は、さらに「観音院加賀寺」と名前を変えています。わたしは、これだけの巨大観音像が放置されている現状を寂しく思いました。なんでも夜間は照明も点いていないので、小松空港に発着する飛行機にとって危険きわまりないそうです。なんとか、「 世界平和パゴダ」のように、この大観音像を蘇らせるお手伝いができないものでしょうか。ハートピア計画のプランナー時代に戻って、知恵を絞ってみたいと思います。

慈経 自由訳』と『般若心経 自由訳

 

この日、お会いした執行役員の方は、わたしのブログ記事を知ったその日に書店に走り、拙著『なぜ、一流の人はご先祖さまを大切にするのか?』(すばる舎)、『命には続きがある』(PHP文庫)を求められ、一気に読了。2冊とも深く感銘を受けられたそうです。その後、『慈経 自由訳』『般若心経 自由訳』(ともに現代書林)を読まれ、大きなインパクトと感動を受けられたとか。

慈経 自由訳』の写経

 

それらの拙著への嬉しい感想も丁重なお手紙に綴られていました。この日は、特に『慈経 自由訳』への熱い想いを語られ、わたしの翻訳文の写経(達筆!)も見せていただきました。加賀大観音像は「慈母観音」ですが、考えてみれば、まさに『慈経』に通じます。初対面ながら、この方が日本人の「こころ」の再生を願う誠実な方であるということはよくわかりましたので、自分にできる範囲の協力はさせていただこうとは思います。ハートピア計画時代からのわたしの「宗遊」計画は、まさにこのような施設を含むものでした。ですので、わたしの志や理念やヴィジョンやプランと、加賀大観音像は親和性があるように思います。


宇宙における情報システム

 

しかしながら、建物は朽ちるものであり、この観音像の再生は簡単なものではないでしょう。それにしても、観音様の再生のお手伝いなんて、なんと有難い仕事でしょう! 繰り返しますが、シン・ウルトラマンの身長は60メートルで、加賀大観音像は73メートル。その慈愛に満ちた表情は、まさに「シン・ウルトラの母」という印象でした。


2022年6月22日 一条真也