死を乗り越えるサン=テグジュペリの言葉

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ひとりの人間の死とともに、
未知の世界がひとつ失われる。
サン=テグジュペリ

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、フランスの作家・飛行家のアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ(1900年~1944年)の言葉です。彼が12歳の時に初めて飛行機に乗ったことが、空への夢を育みました。1944年、コルシカ島の基地から偵察飛行に飛び立ち、地中海上で行方不明となります。主な作品に『星の王子さま』『夜間飛行』『人間の土地』など。

 

 

サン=テグジュぺリは、不朽の名作『星の王子さま』の作者として有名です。この本には、「本当に大切なものは目に見えない」という有名な言葉が出てきます。わたしが日頃から心の支えにしている言葉です。わたしの本業であるサービス業、それもホテル業や冠婚葬祭業といったホスピタリティ・サービス業の価値とは何でしょうか。それは、ずばり、目に見えないものを扱うことだと思います。



思いやり、感謝、感動、癒し、夢、希望など、この世には目には見えないけれども存在する大切なものがたくさんあります。そして、その目に見えない本当に大切なものを売る仕事がサービス業なのですね。製造業はモノを残す仕事です。建設業は地図に残る仕事です。ならば、サービス業とは心に残る仕事にほかなりません。お客様の心に自分の顔が浮かんでくる仕事、こんな贅沢なことはありませんね。見えないものを形にして、目に見えるようにすることほど素敵なことはありません。

 

 

サン=テグジュペリの言葉の通り、人の死には大きな喪失があります。それは遺された周囲の人々にとってみれば尚更のことです。その悲しみに寄り添うためには、目に見えない大切なものに触れられる存在でなければなりません。彼は人生が形作るものの大きさとともに、悲しみに沈む人への寄り添いの「こころ」の大切さを説いているのではないでしょうか。拙著『涙は世界で一番小さな海』(三五館)で、わたしは、ファンタジー作品を愛読していると告白しました。中でも、アンデルセンメーテルリンク宮沢賢治サン=テグジュペリの四人の作品には、非常に普遍性の高いメッセージがあふれていると考えています。アンデルセンに影響を受けたメーテルリンクの『青い鳥』は日本の宮沢賢治に影響を与え、賢治は『銀河鉄道の夜』を書きました。『星の王子さま』を書いたサン=テグジュペリも、若い頃にメーテルリンクと親交がありました。なお、このアンデルセンの言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2021年12月6日 一条真也