死を乗り越えるメーテルリンクの言葉

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思い出せば死者と会える。
メーテルリンク

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、ベルギー象徴主義の詩人、劇作家、随筆家モーリス・メーテルリンク(1862年~1949年)の言葉。正式名はメーテルリンク伯爵モーリス・ポリドール・マリ・ベルナール。主な著作に『温室』『ペレアスとメリザンド』『青い鳥』など。1911年にノーベル文学賞を受賞。

 

 

メーテルリンクは、『青い鳥』という有名な戯曲を書き残しています。1908年に発表した、5幕10場の童話劇ですが、作品の主題はずばり「死と生命の意味」です。わたしは、『青い鳥』とは、ずばり臨死体験の物語であると思っています。そして、そこには「死者のことを思うことが、死者との結びつきを強める」というメッセージが込められているとも思います。


青い鳥を求めて、チルチルとミチルが訪れた「思い出の国」は、濃い霧の向こう側にありました。そこは、乳色の鈍い光が一面にただよう死者の国です。この「思い出の国」で、チルチルとミチルは亡くなった祖父と祖母に再会します。自身が偉大な神秘主義者であったとされるメーテルリンクも、『青い鳥』の中で「生きている者は、思い出せば死者と会える」と主張しています。メーテルリンクの活躍した時代は、世界的に「スピリチュアリズム」と呼ばれる心霊主義が流行していた時期でした。

f:id:shins2m:20131003132505j:plain涙は世界で一番小さな海』(三五館)

 

拙著『涙は世界で一番小さな海』(三五館)で、わたしは、ファンタジー作品を愛読していると告白しました。中でも、アンデルセンメーテルリンク宮沢賢治サン=テグジュペリの四人の作品には、非常に普遍性の高いメッセージがあふれていると考えています。アンデルセンに影響を受けたメーテルリンクの『青い鳥』は日本の宮沢賢治に影響を与え、賢治は『銀河鉄道の夜』を書きました。『星の王子様』を書いたサン=テグジュペリも、若い頃にメーテルリンクと親交がありました。なお、このアンデルセンの言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2021年11月27日 一条真也