M&A

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一条真也です。
わたしは、これまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は、「M&A」という言葉を取り上げることにします。この「M&A」という言葉は、「ハートフル・リーダーシップの研究」というサブタイトルを持つ『龍馬とカエサル』(三五館)で初めて提唱しました。

龍馬とカエサル』(三五館)

 

「人の心はお金で買える」といった露骨な拝金主義が崩壊し、心あるマネジメントの時代が訪れようとしています。人の心はお金では買えません。人の心を動かすことができるのは、人の心だけです。「心ゆたかな社会は、心ゆたかな会社から!」ということで、ハートフル・ソサエティを実現するには、ハートフル・カンパニーの存在が必要とされます。そして、ハートフル・カンパニーに求められるものは「M&A」です。


サンレーの「M&A」は企業の合併・買収ではない!

 

M&Aといっても、企業の合併・買収のことではありません。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A]は「使命」と「志」のことなのです。会社人として仕事をしていくうえで「ミッション」が非常に大切です。「ミッション」は、もともとキリスト教の布教を任務として外国に派遣される人々を意味する言葉でしたが、現在はより一般的に「社会的使命」や「使命感」を意味するようになってきています。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。


サンデー毎日」2016年12月4日号

 

経営学ピーター・ドラッカーは、「仕事に価値を与えよ」と力説しましたが、これはとりもなおさず、その仕事の持つミッションに気づくということに他ならないでしょう。ミッションを明確に成文化して述べることを「ミッション・ステートメント」といいます。ミッション・ステートメントなき会社は、使命なき会社だとされても仕方ありません。そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。

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わたしは、志というのは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値すると思っています。吉田松陰の言葉に「志なき者は、虫(無志)である」というのがありますが、これをもじれば、「志ある者は、無私である」と言えるでしょう。よく混同されますが、夢と志は違います。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々です。「幸せになりたい」ではなく、「幸せにしたい」です。この違いが重要なのです。

f:id:shins2m:20161108144316j:plainミッショナリー・カンパニー』(三五館)

 

今後の会社経営において、はミッション(使命)とアンビション(志)による「M&A」戦略が必要とされます。特に「ホスピタリティ」を提供するあらゆるサービス業において、施設の展開競争に代表されるハード戦略は、もう終わりです。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。そのときに、最大の武器であり宝物となるものこそ、「M&A」なのです。2016年11月18日、株式会社サンレー創立50周年の日、わたしは『ミッショナリー・カンパニー』(三五館)を上梓しました。次は、来る2021年11月18日、サンレー創立55周年の日に『アンビショナリー・カンパニー』(現代書林)を上梓する予定です。

 

2021年5月26日 一条真也