世の中は食うてかせいで
寝て起きて
さてその後は死ぬるばかりぞ。
(一休宗純)
一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、室町時代の臨済宗大徳寺派の僧である一休宗純(1394年~1481年)の言葉。出生地は京都で、出自は後小松天皇のご落胤とする説が有力視されています。とんち話で有名で、「一休さん」の愛称で親しまれていますね。
なんと人を食った死生観でありましょうか。ただつきつめて考えれば、人とはこんなものかもしれません。小さなことにくよくよして生きるより、人間は所詮はこんな存在と思って生きたほうがいいのかもしれません。子どもの頃、一休さんのようにありたいと思ったことがあります。それは「一休さん」というテレビアニメが大好きで、大人に対して知恵で対抗する姿が、かっこよかったからです。体力でかなわなければ知性で対抗するところが痛快でした。
彼は臨終に際し「死にとうない」と述べたと伝わっています。満87歳没といわれますので、当時にすればかなりの長寿です。この「世の中は食うてかせいで寝て起きて さてその後は死ぬるばかりぞ」という言葉も一休さんらしい表現で大好きです。そんな彼が「死にとうない」といったというのですから、一休さんらしいウィットにとんだ言葉ですね。なんだかほっこりさせられます。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。
2021年5月26日 一条真也拝