感染者534人の東京へ!

一条真也です。
19日、北九州空港からスターフライヤーで東京に向かいました。本当は昨日の18日、副会長を務める一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の正副会長会議、正副会長・委員長会議、互助会保証との意見交換会などが開かれ、わたしも参加したかったのですが、ブログ「サンレー創立54周年記念祝賀式典」で紹介したわが社の大事なセレモニーの日と重なってしまい、参加できませんでした。

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北九州空港の前で

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今朝の北九州空港のようす

 

現在、「第3波」ともいわれる新型コロナウイルスの感染拡大の最中です。東京は特に感染者が多く、18日は過去最多の493人の感染者、19日にはさらに記録を更新する534人の感染者が出ました。小池都知事は、感染者や感染経路が分からない人の数などが大幅に増加し、「急速な感染拡大の局面を迎えた」として、警戒レベルを4段階のうち最も高い「感染が拡大している」に引き上げました。それにしても、「東京五輪は開催します」と発言したIOCのバッハ会長が離日したとたんの感染者爆発、なんだか嫌な感じですね。しかし、東京だけでなく、大阪府も338人、愛知県も219人と、それぞれ19日に過去最多を記録しています。大変なことになってきました。

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スターフライヤーの機内で

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マスクを不織布に替えました

でも、スターフライヤーの東京便は乗客でいっぱいでした。ほぼ満席でしたね。黒マスク姿で機内に乗り込んだわたしですが、すぐに不織布マスクに替えました。先日、弟から「布のマスクはウイルスを完全防備できないので、飛行機や新幹線の中では不織布マスクの方がいい」と聞いていたからです。ずっとポケットに入れっぱなしだったので、不織布マスクはすっかりシワクチャになっていました。

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赤線を引きながら読みました 

 

機内では、読書をしました。この日読んだのは『死ぬときは苦しくない』永井友二郎著(講談社)です。ブログ『希林のコトダマ』 で紹介した本で知ったのですが、軍医としてミッドウェー、キスカ、トラック島で死線をくぐり、戦後は臨床医として多くの死を見送ってきた著者の死生観を示した本です。「あるがままに受け入れれば、死は怖くない」というメッセージが書かれています。

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富士山が見えました

ふと、窓の外に目をやると、富士山が見えました。わたしは富士山を見ると元気になる人間なので、パワーアップした気がしました。「いくらコロナの感染者が増えても、富士山さえあれば、日本は大丈夫!」と思いました。そんなことを考えているうちに、飛行機は羽田空港に到着しました。

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羽田空港に到着しました

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羽田空港のようす

羽田空港にも多くの人がおり、とても「第3波」という印象ではありませんでした。それと、とにかく暑かったです。25度以上はあったのではないでしょうか、薄手のオータムコートを着ていたのですが、暑くて脱ぎました。「腹が減っては戦はできぬ」ということで、まずは昼食を取ることに。空港内の北海道ラーメン店で、塩ラーメンとミニしらすいくら丼を食べました。コロナに勝つには体力をつけないと!

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昼食の塩ラーメン&ミニしらすいくら丼 

 

明日の20日、わたしは「勇気の人」ことベストセラー作家の矢作直樹氏と久々にお会いし、対談いたします。2013年に刊行された矢作氏との対談本『命には続きがある』(PHP研究所)がこのたびPHP文庫化されることになり、「コロナ」をテーマに再対談することになったのです。対談の内容は、文庫に追加掲載されます。同書のサブタイトルは「肉体の死、そして永遠に生きる魂のこと」です。当時の矢作氏は、東京大学医学部大学院教授で東大病院救急部・集中治療部長でした。

命には続きがある』(PHP研究所)

 

ブログ「勇気の人」に書いたように、わたしは2011年10月4日に東大病院を訪れ、矢作氏と初対面しました。そのときのことを矢作氏は本書の「はじめに――生と死の交差点に立つ者同士」の中に書かれています。わたしについての過分な評価も書かれており、大変お恥ずかしいのですが、わたしたちの対話の雰囲気がわかっていただけるのではないかと思います。矢作氏は次のように書かれています。
「わざわざ病院のほうにお越しいただき、初対面させていただきました。その中で洗練された文章の裏には幼少時からご自宅の書庫に蓄えられた父上の膨大な蔵書を読破されてこられたことをお聞きして感心しました。それとともに、この文章のもとになる豊富な現場経験をお持ちでいらっしゃることを確認して納得がいきました。本書を手にされた方は、一条真也氏について私よりもよくご存じの方も多いとは存じますが、ご存じない方のためにすこしご紹介すると、50冊を超える著作を持つ作家として、つとに有名ですが、同時に冠婚葬祭業を営まれる企業の代表、経営者としての顔をお持ちです。社長室で執務をするだけではなく、時には葬儀や結婚式などの儀式の現場に立ち会われているとお聞きしています。つねに日本人の死生観と冠婚葬祭業界の使命を熱く語られる姿には、私のほうが年上ではありますが、心から尊敬に足る人物の一人であることを書き添えておきます」


矢作直樹氏との初対面

 

まことに恐縮の至りですが、わたしも「あとがき――グリーフケアの時代」で次のように書きました。
「不思議な運命の糸に手繰り寄せられてやっと会えたわたしたちは、長い間ずっと喋り通しでした。こういうことを言うと不遜かもしれませんが、これほど話題や考え方が自分と合う方には久々にお会いしました。京都大学こころの未来研究センター教授で宗教哲学者の鎌田東二先生以来の運命の出会いかもしれません。とにかく、二人でずっと『命』と『死』と『葬』について夢中になって語り合いました。矢作先生が担当されている患者さんの名前をお聞きして、わたしは驚きました。間違いなく我が国における超VIPの方々ばかりです。矢作先生ご自身が日本を代表する臨床医なわけですが、そんな凄い方が『魂』や『霊』の問題を正面から語り、『人は死なない』と堂々と喝破されました。これほど意義のあることはありませんし、ものすごい勇気が必要だったと思います。しかし、現役の東大医学部の教授にして臨床医が『死』の本質を説いたことは、末期の患者さん、その家族の方々にどれほど勇気を与えたことでしょうか! 多くの死に行く人々の姿を見ながら、多くの尊い命を救いながら、またあるときは看取りながら、矢作先生は真実を語らずにはいられなかったのです。まさに、矢作直樹先生こそは『義を見てせざるは勇なきなり』を実行された『勇気の人』であると思います」


矢作直樹氏との対談のようす

 

7年前、矢作氏とわたしは霊や魂といった、いわゆるスピリチュアルな問題についても正面からガチンコで語り合いました。わたし自身、これほどスピリチュアルな話題を語ったのは、1991年に『ロマンティック・デス〜月と死のセレモニー』(国書刊行会)を書いたとき以来でした。そして何よりも、医療界のトップにある方とわたしのような冠婚葬祭業者が「死」について徹底的に語り合ったのは世界でも初めてだと思います。あれからずっと、わたしは、愛する人を亡くした人の悲しみを軽くするための「グリーフケア」の普及をめざしています。グリーフケアは医療・葬儀・そして宗教の3つのジャンルが協力しながら進めていくべき大いなる「こころ」の仕事です。
今回の『命には続きがある』の文庫化が、日本人にとってのグリーフケア普及の一助となることを願ってやみません。明日の矢作氏との7年ぶりの対談、心より楽しみにしています!


対談の後で矢作直樹氏と

 

2020年11月19日 一条真也