さよなら、カラオケ・スナックDAN

一条真也です。東京に来ています。
20日は全互連の理事会に参加しました。コロナ禍の中、悲しい出来事がありました。わたしが愛してやまなかった「東京の止まり木」こと赤坂見附のカラオケ・スナックDANが今月いっぱいで閉店することになったのです。DANはメトロビルという昭和を連想させるビルの2階にありますが、今回が今月最後の東京出張だったので、万感の思いで駆け付けました。

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赤坂見附のメトロビル

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今夜、メトロビルの前で・・・
 

この日は、常連客でいっぱいで、マスターとママに「お疲れ様でした」「お世話になりました」「ありがとうございました」と伝えて、お店には入りませんでした。後ろ髪引かれる思いでしたが、思い出の多いDANに別れを告げました。ブログ「マスター、お疲れさま!」ブログ「さよなら、マスター!」で紹介した「小倉の止まり木」ことスナック「レパード」、ブログ「さよなら、スナック佐藤」で紹介したレパードの後続店だったスナック「佐藤」に続いて、わたしの止まり木がなくなります。

f:id:shins2m:20201020213103j:plainカラオケ・スナックDANの前で

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ママ、マスターとともに

 

スナック文化に詳しい編集者・写真家の都築響一さんは、「スナックというのはすごくユニークな店舗形態なんです。日本全国どこでも、3千円から5千円くらいで飲める。銀座の一等地でも、地方の過疎地でも変わらない。インテリアや食べもの、置いてある酒も大差ない。特に『売り』がないのに、ママとかマスターの人柄だけで何十年も続いている店がある。人格で売る商売なのがすごい」と語っています。スナックという商売を「人格で売る」と表現したのは名言ですね。たしかに、わたしが通うスナックは、どれもマスターやママの人柄が最大の魅力になっていました。

 

 

都築さんによれば、スナックに3回も行けば立派な常連だそうです。いわばもう1つ「家」が増えるようなものだとして、次のように述べます。
「自分の家では妻も愚痴を聞いてくれないけれど、こっちの『家』では聞いてくれる。会社では上司と部下の板挟みになっていても、こっちでは仕事に関係ない話で盛り上がれる。社会的な肩書を捨てられる場所なんですね。行きつけのスナックを2、3軒もっていると、すごく心の健康にいいと思いますよ」
どの国にも、それぞれそういう居場所があります。フランスならカフェ、イギリスならパブ、アメリカならバー。そして日本では、それがスナックなのです。

 

浅草キッド玉ちゃんのスナック案内

浅草キッド玉ちゃんのスナック案内

 

大のスナック好きで知られる「浅草キッド」の玉袋筋太郎さんは、以下のように語っています。
「スナックではママの虫の居どころが悪い時だってある。変な客と同席する時もあるんだ。そこで、どう臨機応変にコミュニケーションを取るか。全国どこへ行っても同じメニュー、接客じゃつまんない。かび臭いトイレ、ママが水道水で洗ったおしぼり。それもまたいいんだ」
「初めての店では、まずカウンターに座って店の潮目を読む。隣で石原裕次郎歌ってるのに、EXILEなんかダメだよ。店の雰囲気に合わせなきゃ。知らないお客さんの聞きたくもない歌だって半身で振り返って拍手すれば『おっ、仲間だな』と、心を開いてくれる。それがコミュニケーションってやつだろ」
カラオケボックスで仲間うちで盛り上がってるから、若い人は知らない人とのコミュニケーションが苦手なんだ。おれは新入社員の研修をスナックでやればいいと思ってる。他人とのコミュニケーションを学ぶ絶好の場だぜ」
いちいち名言です! 玉袋さんは、スナックは今、日本の地域社会のコミュニティーを担っていると断言します。でも、誰も気づいてないというのです。そして最後に、「素晴らしい日本の文化。残しとかなきゃ子どもたちが可哀想だ」と語るのでした。

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マスターの作るハイボールは濃くて旨かった!

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心の中で「また逢う日まで」♪



わたしは、もう15年以上もDANに通ってきました。嬉しいことがあったときも、悲しいことがあったときも、楽しいときも、辛いときも、DANに通って、サブちゃんや永ちゃんやサザンのナンバーなどを歌ってきました♪ ありがとう、DAN! さようなら、DAN! 本当は今夜、尾崎紀世彦の「また逢う日まで」を歌いたかったけど、心の中で歌います♪ 最後に一言、コロナの馬鹿野郎!!

 

2020年10月20日 一条真也