生前葬としての退職記念講演会

一条真也です。東京に来ています。
わたしは、 終活WEB「ソナエ」で「一条真也のハートフル・ライフ」を連載しています。「日本の心」や「心ゆたかな生き方」をテーマに月に2回、コラムをお届けしております。その第29回目が本日アップされました。



終活WEB「ソナエ」



第29回目のタイトルは「生前葬としての退職記念講演会」です。
「法螺貝を演奏する鎌田先生」「講演する鎌田先生」「熱唱するバク転神道ソングライター」というキャプションがついた写真が3点使われています。いずれも、わたしが撮影した写真です。また、本文には「ミュージカルのような講演」「古今和歌集こそ日本文化の真髄」「空前絶後の引退セレモニー」という小見出しがついています。



生前葬としての退職記念講演会



先日、わたしは小倉から京都へ向かいました。日頃より親しくさせていただいている宗教哲学者の鎌田東二先生が、教授を務められている「京都大学こころの未来研究センター」を定年退職されます。それを記念して、講演会およびシンポジウムが京都大学芝蘭会館内の「稲盛ホール」で開催されるのです。わたしは鎌田先生との御縁から同センターの連携研究員を務めており、インドから帰国したばかりで体調が優れませんでしたが、頑張って京都まで行きました。



鎌田先生は講演に先立ち、まず法螺貝を奏上しました。続いて、鎌田先生が直立不動のまま歌い出したので驚きました。まるでミュージカルの舞台を見ているようでしたが、その歌は「この光を導くものは この光とともにある♪」で始まり、最後は「生きて、生きて、生きてゆけ〜♪」で終わる不思議な歌でした。10年程前にJR渋谷駅の階段でこの歌が思い浮かんだとか。
いよいよ鎌田先生の退職記念講演がスタートしました。演題は「日本文化における身心変容のワザ」でしたが、鎌田先生は開口一番、「日本文学、日本宗教の本質は歌だと思います」と述べました。そして、「今日は日本文化の本質を語りたい」と言いました。



講演後は、パフォーマンスの時間です。
鎌田先生は、パワーポイントで映し出された比叡山の画像に向かって、石笛、横笛、法螺貝を立て続けに奏上しました。なんという肺活量! 
聴衆は鎌田先生のパフォーマンスに圧倒されましたが、さらに仰天する事態となります。なんと、鎌田先生はサングラスをかけ、エレキギターを持って、自身が作詞・作曲した神道ソングを歌い始めたのです。アカデミズムの殿堂である京都大学の稲盛ホールが一瞬にしてライヴハウスに変身しました。いつの間にか背後の画像も比叡山から地球に変わっていました。何から何まで型破り、稀代の「知のトリックスター」のラスト・パフォーマンスに満員の聴衆から盛大な拍手が巻き起こったことは言うまでもありません。



講演会とシンポジウムに続いて、懇親会が盛大に開催されました。
懇親会には、鎌田先生と御縁のある方々が集まり、超満員でした。
わたしは、「これは良い意味で鎌田先生の生前葬だ」と思いました。もちろん、鎌田先生はこれからもずっとお元気で活躍される方ですが、区切りとしての卒業セレモニーを盛大に行われたのです。このような素晴らしい生前葬を開くことができた鎌田先生は本当に幸せな方であると思います。もちろん、それはすべて鎌田先生の日頃の行い、人徳によるものです。わたしも、いつの日か、自分なりの生前葬を開いてみたいと心から思いました。


次回は4月1日にアップの予定です!



次回の「一条真也のハートフル・ライフ」は、4月1日(金)にアップされる予定です。タイトルは「迷惑について考える映画『家族は辛いよ』」です。日本映画「家族はつらいよ」を観ました。「男はつらいよ」シリーズなどをはじめ、長年にわたって「家族」を撮り続けてきた名匠・山田洋次監督による喜劇です。結婚50年を迎えた夫婦に突如として訪れた離婚の危機と、それを機にため込んできた不満が噴き上げる家族たちの姿をユーモラスに描いています。次回はそんなことを書きます。どうぞ、お楽しみに!



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2016年3月16日 一条真也