葬儀めぐり2冊が論争

一条真也です。
今朝の「北日本新聞」にわたしのインタビュー記事が掲載されました。
「葬儀めぐり2冊が論争」の大見出し、「装丁も類似 在り方問う」の見出しです。8月27日に東京で取材を受けたものです。「時代のエッジ」という早川さや香さんの記事で、「本のへ理屈ですが」というシリーズものです。


北日本新聞」9月7日朝刊



永遠葬』(現代書林)についてのインタビューで、その内容および『0葬』へのカウンターブックを出した経緯などについて質問されました。
早川さんは、ブログ「新文化に『永遠葬』の記事が紹介されました」の内容を読まれたそうで、非常に興味を抱かれたそうです。



記事には、以下のように書かれています。
「葬儀の在り方について問う、ある本とそのアンチ本が注目されている。タイトルの書体、帯のデザインもそっくりで、ここまで体裁をそろえた出版バトル(?)は珍しい。
0葬(ゼロそう)』(集英社)の著書は宗教学者島田裕巳氏。少子高齢化・都市化時代に伴う簡素化せざるを得ない葬儀の在り方を考察し、火葬場で遺体を完焼して「遺骨を持ち帰らない」無葬儀を提案した。これに反対し、著述家の一条真也氏が、供養の普遍性を説く『永遠葬』(現代書林)を今夏出版。よい議論のきっかけのためデザインを似せたいと、自ら版元に提案した。以前にも一条氏は島田氏の『葬式は、要らない』の出版後に、『葬式は必要!』を上梓し、今回は2回戦目といえる。だが、一条氏が献本した『永遠葬』の感想を島田氏に聞くと、『対立というよりは、自然葬のすすめなど、同じ方向に進んでいるよう」と肯定的。一条氏も「島田さん個人には恨みなどなく、学者として尊敬し、著書を贈り合うなど交流もある。遊び心でこのような体裁にしました』と語る」



また「多い共通項」の小見出しで、以下のように書かれています。
「確かに2冊の内容は、制度疲労を起こしている仏式葬儀への疑問、地域社会の希薄化・多様化に応じた葬儀のイノベーションの提案など、共通項も多い。しかし、葬儀を『行わない』『ゼロ』にするという極論は認めがたいと一条氏は強調。『葬儀はただのカタチではない。ご遺族たちは、死者を送るという“物語”があってこそ心が救われる。そして故人にとって葬儀は最大の自己表現であり、魂の尊重です。人間は、葬儀を行うからこそ人間。葬儀によって無限の存在である“仏”となり、永遠の命を得ると私は信じています。時代に即した散骨スタイルや、島田さんの『葬送の自由をすすめる会』には大いに賛成ですが、そういう運動に取り組まれる時点で無葬儀がよいと思っていないのでは』
個人的な経験で言うと、0葬どころか、自然葬にもなじめない。私は10年前にある雑誌で、型破りな葬儀社社長が主人公の漫画原作賞を受賞させていただいたことがある。実在のさまざまな事例をヒントにした。ウエブ上で見積もり料金の細部を公開し、業界のグレーを破った葬儀社。たばこをこよなく愛した故人のため『マイルドヘブン』というたばこパッケージふうの墓を建てたご遺族・・・。葬儀のあり方を問い直し、自然葬という言葉が広がり始めた2000年代だった」


さらに「骨に対する信仰」として、以下のように書かれています。
「しかしその後、自分の義父が亡くなり、かねてから故人が望んだ樹木葬を目にしたときは、かなり動揺した。地面にうがった穴に直接じょうごで遺灰を流し入れる光景は受け入れがたく・・・。
『骨に対する信仰が強いからですよ。そこに魂が宿るわけではないし、太古から人々が行ってきたように骨を自然に還さないことこそ“不自然葬”では?ご遺体をきちんと処理し、ご冥福は他で祈る。現代人は、ハカや死者との同居という重荷を下ろし「あっさり死ぬ」でもいいのではないでしょうか』と島田氏。事実、『人が一人死ねば(葬儀・墓の新規建立ふくめ)500万円かかる』と統計のある東京では、葬儀の4分の1近くが火葬のみ行う『直葬』となった。だがこうした島田氏の主張は首都圏の事情であり、真宗王国と呼ばれるわが富山県の多くの方は賛同しかねるだろう。永遠の「生」を得るために、仏式葬儀だけでなく樹木葬、海洋葬、天空(ロケット)葬に取り組む一条氏の進取性にも戸惑うかもしれない。
『今度2人で対談し本にまとめたい』と一条氏は言う。島田氏にその旨を伝えると『拒む理由はないです』と快諾。意見は違えど議論は自由。どう生き死ぬかも自由。2冊のバトルは、出版業界の中だけでなく、今の私たちの生き方に直接問いかけてくる。(スタジオポケット代表、富山市出身、東京)」



じつは『永遠葬』の体裁について、「どうして『0葬』に似せようと思われたのですか?」と質問されたとき、わたしは「デザイナーの佐野研二郎さんにお願いしたところ、こんな体裁になりました」とジョークをブチかましたのですが、わたしのユーモアが届かなかったらしくて、早川さんの顔は引きつっていました。わたしは非常にロンリーでしたが(苦笑)、『永遠葬』のプロデューサー兼エディターである「出版寅さん」こと内海準二さんが「パクリも正々堂々とやれば立派な批判になりうる!」と豪語していたことを思い出し、それを受け売りで言いました(笑)。


2冊を並べてみると・・・・・・



いま、北九州空港です。これからスターフライヤーで東京へ。
午後から東京のホテルで「リーダーズスタイル」というメディアの取材を受け、明日も同じホテルで「日経ビジネス」の取材を受けます。


永遠葬

永遠葬

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2015年9月7日 一条真也