ヤンゴン市火葬場

一条真也です。
わたしは、東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会のメンバーです。
これまで同研究会のミッションで韓国や台湾を訪れ、それぞれの国を代表する火葬場を見てきました。詳しくは、ブログ「ソウル市火葬場」ブログ「台北市営斎場」を御覧下さい。今日は、ミャンマーを代表する火葬場を見学しました。かつてはラングーンと呼ばれた旧首都ヤンゴン市の火葬場です。


2本の煙突があるヤンゴン市火葬場



2本の白い煙突が印象的な火葬場ですが、1日に20人〜30人の火葬が可能だそうです。ブログ「遺体 明日への十日間」で紹介した映画では、日本の東北の火葬場が1日に数体の火葬しか出来ないために苦悩する人々の姿を描いていました。それからすると、1日30人というのは画期的です。ヤンゴン市の人口は約450万人ですが、ここと同程度の火葬場がもう1箇所あるそうです。


葬儀会場のようす

葬儀のようす

冷凍室の入口



この火葬場では、宗教儀礼としての葬儀も行われます。
わたしが訪れたとき、ちょうど2件の葬儀が行われていました。会場を覗くと、シンプルなガーデンチェアのような椅子が並んでいました。前方には遺体を入れた透明のガラスケースがあり、傍らで数人の僧侶が経を唱えていました。
葬儀会場のすぐ横には冷凍室がありました。葬儀が終了すると、いったんここに運び込むようです。それから、焼却場へと向かうのでしょう。


運ばれる棺

出棺のようす



2件の葬儀のうち、65歳の女性の葬儀がありました。
その女性には、娘と息子がそれぞれ1人ずついたようです。
娘さんは、母親の遺体を前にして狂ったように泣き叫んでいました。また、息子さんのほうは気絶したのか、友人たちに両脇から支えられていました。わたしは、これほど強く悲しみを表現する遺族を久々に見ました。どの国でも、どの民族でも、愛する人を亡くした人の悲しみは同じです。上座部仏教の国では葬儀に対する関心が薄いとされていますが、今日わたしが目撃した葬儀には非常に考えさせられました。わたしは、持参していた数珠をもって合掌し、2人の故人の御冥福をお祈りしました。


白い煙突から黒い煙が・・・・・



火葬場を後にするとき、煙突から黒い煙が出ていました。
白い煙突から黒い煙が出るさまを見ながら、わたしは「ミャンマーグリーフケアが導入される日が来るのだろうか」などと考えました。
上座部仏教の国に、そもそもグリーフケが必要かという問題もあります。
東アジア冠婚葬祭業国際交流研究会では、第1期で訪問した韓国・台湾に続き、第2期ではミャンマーベトナムへの訪問を計画しているそうです。
研究会でミャンマーを訪れたときは、またこの場所に来るかもしれません。



*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年4月12日 一条真也