一条真也です。
『まんがでわかる とことん優しい人はうまくいく』廣池慶一監修、守屋明朱香作画(ニューモラル出版)を読みました。「いい人で損しない3つの原則」というサブタイトルがついています。まんがと解説文のミックスで読みやすかったです。
本書の帯
本書の帯には、「いい人疲れを今すぐやまる!」「優しさは誰でも手に入れられる人生最強のスキルだ!」「車いすテニス界のレジェンド 国枝慎吾さん 推薦」と書かれています。帯の裏には、「人生もビジネスも好転する3原則」として、以下の3点が並べられています。
1 相手を思う心を意識的に育てる
2 良くも悪くも常に自分を省みる
3 感謝の好循環を回す
本書の帯の裏
カバー前そでには、こう書かれています。
「本書の主人公は、月刊紙の編集リーダーとして張り切る藤原愛。自分流の優しさで部下やパートナーと、良い関係を築こうとするものの・・・・・・。『相手が思い通りに動いてくれない』『気づかったのに裏目に出た』『大変な思いをしたのに成果が出ない』思い悩む愛の考え方、生き方を少しずつ変えたのが、バー「ピエタ」での出会い――そして「3つの原則」だった」
アマゾンより
アマゾンの「内容紹介」には、「◆あなたも、人間関係でこんなふうに感じたことはありませんか?」として、「いつも自分ばかり損な役回りだ」「いい人を演じるのはもう疲れた」「気づかいが裏目に出る」とあります。もし1つでも当てはまり、仕事でも人間関係でも悪循環を繰り返しているとしたら、「いい人」に関して誤解をしている可能性が高いといいます。いい人がうまくいかない最大の理由は、言葉や行動の形さえ「いい人っぽく」できていればそれで良いと思い込んでいるから。そして、たいていの人は、なぜいいことをするのかという自分の心の働きに無頓着。いい人を装って、演じていては、ただ疲れるばかり。本書で伝えるのは、ちょっとした、でも多くの人が気づいていない心の働きに関する3つの具体的なメソッド。基本にして、一生役立つ生き方の極意。「いい人疲れ」を卒業して「とことん優しい人」をめざすと、人間関係も、人生も、全部がよりよい方向に動き出すと訴えます。
本書の「目次」は、以下の通りです。
「はじめに」
第1章 優しさのメカニズム
story1 誰のため?
コラム1「心が変われば人生が変わる」
第2章 自己中心を弱める「利他の原則」
story2 100点ではない自分と
第3章 好循環を回す「反省の原則」
story3 スタート地点
第4章 利他へ動機づける「感謝の原則」
story4 辞めるあの子に
コラム2「心の距離と時間旅行で宝探しの毎日に」
第5章 3つの原則で高まる「品性」
story5 きっと私にも
コラム3「『三方よし』で、あなたも周りもハッピーに!」
「はじめに」では、監修者の廣池慶一氏が「――優しくしたってなんの見返りもない。――自分だけが損ばかりしていないか。いっそのこと「いい人」なんてめざすのをやめようか。でも、それもそれで本当の自分の生き方ではない気もする。いったいどうしたら・・・・・・。葛藤の毎日でした。そんな苦しみの中で、私は『本当の優しさ』とは何かを考え抜きました。結局のところ、相手の考えや行動をこちらの思い通りに変えることは至難の業。コントロールできるのは自分自身しかいません。ただ、人間はそう簡単には変われない。筋トレで体を鍛えるように、心を育てていくことが鍵となる――」と書いています。
続けて、廣池氏は「では、どう心を鍛えたらいいのか。ある3つの原則にたどり着いたのです。この考えの根底には、私の高祖父である廣池千九郎(法学博士、1866~1938)が提唱した総合人間学『モラロジー(道徳科学)』の思想があります。廣池は、道徳と経済を一体ととらえる『道経一体思想』を唱え、道徳的な人間関係が、個人の幸福と社会の繁栄に不可欠であると説きました。そして、その思想の特徴の1つに『自分よし、相手よし、第三者よし』という『三方よし』の考え方があります。これは、自分だけでなく、相手や周囲の人々も幸せになるような行動を重視するというものです」と述べるのでした。この「三方よし」の考え方は、亡き父がいつも口にしていたものです。
アマゾンより
第1章「優しさのメカニズム」の「●優しさの正体は『甘さ』だった」では、ごく普通に優しい人がうまくいかない理由は優しさを間違って理解しているからだといいます。また、わたしたちが優しさと考えているものの正体は「甘さ」だといいます。本書には、「優しさとは相手に思いやりを形にして示すことである、という理解は正しいのですが、問題は言葉や行動の形さえそれっぽくできていれば良いと思い込んでいる人がとても多いという点です。優しい人がうまくいかない最大の理由は、目に見える言葉や行動を飾るだけで、その裏にある、なぜそうするのかという『動機』、何を達成したいのかという『目的』に無自覚、無頓着だからです」と述べています。
甘さとは、自分自身の立場や都合、相手の機嫌を優先させる行動を指すといいます。相手の気分を害さないことを優先したり、短いスパンで見れば相手に喜ばれても、長いスパンで見ると相手の成長を妨げてしまったりする行動も甘さです。自分が好きか嫌いか、快か不快かを軸に物事を選択するのも、自分への甘さからです。それに対して、本当の「優しさ」とは、「相手の成長や幸福を願い、そのために具体的な行動を起こすこと」を指し、「この本では、甘い人とは違う本当に優しい人を『とことん優しい人』と呼びます」と書かれています。
「●一生懸命に間違った努力を重ねている」では、良い行動には大きく分けて2つあることが紹介されます。1つ目は、いわゆる学校で学ぶ道徳や社会人としての礼儀作法など、社会において善悪の基準となり、秩序を守るために欠かせないもの。挨拶や敬語、食事のマナーや身だしなみ、公共の場のルールを守ることなどです。もう1つが、マナーやルールとは違い、やらなくても誰かを不快にしたり罰せられたりすることはありませんが、人や社会の幸せにつながる自発的な思いやりや助け合いの行動です。本書には、「自発的な思いやりの行動は、程度の差こそあるものの多くの人が行っていますし、良い人間関係を築く上で欠かせないものです」と書かれています。
「自覚がなくても心は働いている」では、心の働かせ方は大きく2つに分かれ、それは「自己中心」と「相手優先」であるといいます。心づかいという言葉が配慮や気配りといったプラスの意味を持つように、良いことをしているときは心もプラスに働くものだと考える人もいるでしょう。だからこそ、心が自己中心に働いていても、そのことに気づかない人が多いとして、本書には「良い行動をするときに『自分さえ良ければ』『自分にとって損か得か』という自己中心の心が働けば、その行動は自己満足にすぎません。独り善がりで、相手にとっては押しつけやありがた迷惑になりかねません。
わたしたちは目に見える形や行動に気をとられがちですが、大事なのはその根底にある「どのような心を働かせるか」なのです」と述べます。また、「●心の3つの特徴」では、心には「流されやすい」「波がある」「育てられる」という3つの特徴があるといいます。大切なのは、この3つの特徴を理解して、良い心の働きを一時的ではなく習慣的なものしていくということです。「●『とことん優しい人』の3つの原則」では、人生がうまくいく「とことん優しい人」になるために必要なのが「利他の原則」「反省の原則」「感謝の原則」であるといいます。3つの原則はどれか1つを切り離してもうまくいかず、相互に関連し合って真価を発揮するといいます。
アマゾンより
第2章「自己中心を弱める『利他の原則』」の「●自分を優先しすぎると不自由になる」として、間違えて理解している優しさから抜け出し、人生がうまくいく「とことん優しい人」になるための最初の原則、それが「利他の原則」だといいます。利他とは、単に相手を気づかい、相手の要求をすべて受け容れることとは違い、「相手の気持ちや状況を想像・共感できる、広くて柔軟な心の働き」です。その場の感情や義務感からではなく、本当に相手のためになる思いやりの心、与える心とも言い換えられます。
反対に、自己中心とは自分のことばかり考えて他人の気持ちを考慮できず、自らの意見や都合をなんとしても押し通そうとする「自分勝手な心の働き」のことです。誰にでも、一時的に自分の気持ちを優先したり、気持ちに余裕がないと他人への配慮ができないことはあるものであり、そうやって自分を守ろうとするのは自然なことです。ところが、過度に自分を優先することは、自分を大切にしているようで実は自分を苦しめる原因になっていることに多くの人は気づいていません。
「●思いやりの心を‟1”多く使う」では、「51対49」の法則が紹介されます。心理学者で京都大学名誉教授を務めた河合隼雄(1928―2007)は、「心の中の勝負は51対49のことが多い」と書き残しています。例えば、やらなければいけない用事があって気になっているけれど、やる気が起きなくて行動に移せないとき、心の中は「やる気」と「面倒くさい」が50対50で勝負を繰り広げているといいます。やる気51:面倒くさい49になるか、やる気49:面倒くさい51になるか、表に見える行動はわずかな心の差で決まるというのです。
アマゾンより
第3章「好循環を回す『反省の原則』」の「●後悔ではなく省みる」では、「反省とは落ち込むためのものでも不健全なものでもありません。反省は積極的なアクションです。自分自身を冷静に省みて自分の現在地を確認し、未来に向けてポジティブな軌道修正をしたり、成長の‟伸びしろ”を発見したりできます。正しく反省すれば、それによって物事が明確になり、未来に役立つ力を引き出すことができることを知っておきましょう」と書いています。
「心の働きを省みるためのヒント①」「『せい』を『おかげ』に言い換える」では、自分の望まない結果の原因や理由を他人や環境に求めて「○○のせい」という言葉を口にしそうになったら、「○○のおかげ」と言い換えることを薦めています。すると、「あの人のせいでこんなにつらい思いをした」が「あの人のおかげで自分の足りない点に気づけた」というように、後に続く言葉も変わってきます。本書には、「同じ出来事を違う受け止め方をするだけで、そこから得るものは変わります。責める心から受け容れる心へ、意識して使う言葉を変えてみましょう」と書かれています。
アマゾンより
第4章「利他へ動機づける『感謝の原則』」の「●自己犠牲では幸せになれない」では、とことん優しい人になるための3つ目の原則が「感謝の原則」であることが確認されます。1つ目の「利他の原則」は行き過ぎると自己犠牲に、2つ目の「反省の原則」は方向を間違えるとすべては自己責任だと思い込んでしまう可能性があります。本書には、「良い行動を継続するには頑張る気持ちにエンジンをかけることが必要ですが、やる気さえあればよいというものではないのです。それが心身をすり減らす『自己犠牲』や『自己責任』では長続きしません。良い行動を継続するための前向きなエネルギー(意欲)を無限に生み出し続けるもの、それが『感謝』です」と書かれています。
「●感謝を阻む2つの壁『利己心』と『慣れ』」では、感謝が積極的な動機になり、良い連鎖を生み出すことは理解できたとしても、「感謝する」ことを難しいと感じる人は少なくないといいます。素直に感謝できない、感謝が見つからない、忘れてしまうなど感謝を阻む壁は身の回りにたくさん存在します。感謝を阻む壁は大きく2つあります。「利己心」と「慣れ」です。
アマゾンより
第5章「3つの原則で高まる『品性』」の「『品性』とは能力を使いこなす力」では、品性とは「能力を正しく使いこなす力」のことだといいます。高い学力があってもそれを悪用すれば不正を働いたり犯罪に利用することもできます。誰もがうらやむ富を得ても、正しく使う力がなければトラブルとなったり身を滅ぼしたりすることもあります。人気絶頂の有名人が、不道徳な行動によって一夜にして地位を失うことさえあります。「徳を尊ぶこと学知金権より大なり」という言葉がありますが、必死に努力して学力、知力、金力、権力などの力を手に入れれば一時は幸せになるかもしれませんが、長く続く幸せを手に入れたいのなら、人生の軸足を「品性」に置くことが大事なのです。
「●『とことん優しい人』とは?」では、「とことん優しい人」とは「自分を省みることを怠らず、相手の成長や幸福を願い、そのために具体的な行動を起こせる人」だといいます。本書には、「人は成長するにつれてさまざまな課題を突きつけられてそれを解決していかなければいけません。日々の人間関係から、結婚や就職、昇進による環境の変化、子育てやパートナーとの関係性など、他者と関わり合いながら生きていること自体が、次々と課題を抱えることなのかもしれません。思い通りにいかない折々の場面で、原因を他に求めてばかりいると、問題が解決するどころか、人間関係は荒れて自分の心も荒んでいきます」と書かれています。
「とことん優しい人」は、課題や悩みに直面したとき、他人を責める前にまずは自分を省みることを忘れません。わたしたちは、心の奥底では自分が一番大切だと思っています。だからこそ、自分の非や間違いを認めたくないのは当然でしょう。そういう人間同士が共に生きているのですから、自分に非はない、他人が変わるべき、教えてやろうなどと考えたりする限り、お互いに反発や衝突をしてしまい、うまくいかないのは当然です。本書には、「思い通りにいかない場面で踏みとどまり、正しいと思ってとった行動の根底にある自分の心の働かせ方は正しかっただろうかと、まずは自分の心を省みることが大切なのです」と書かれています。
「●とことん優しい人はなぜ『うまく行く』のか?」では、うまくやるのではなく、うまくいく。儲けるのではなく、儲かる。問題を収めるのではなく、自然と収まる。売り上げを増やすのではなく、結果として増える。力で「成そう」としなくても、品性を高めた結果としてそうなっていくといいます。そして本書には、「心づかいは目に見えませんが、私たちが選ぶ日常不断の心の働きが人生を形づくっています。思うようにうまくいかない原因は自分の内に原因があることに気づき、良い心を働かせようと変えていくことができれば、人生はおのずとうまくいくのです」と書かれているのでした。
本書には、わが社が提唱する「CSHW」に通じるメッセージがありました。「CSHW」は、Compassion(思いやり)⇒Smile(笑顔)⇒Happiness(幸せ)⇒Well-being(持続的幸福)と進んでいきます。そして、Well-being(持続的幸福)を感じている人は、Compassion(思いやり)をまわりの人に提供・拡大していくことができます。これが「CSHW」のハートフル・サイクルです。これはただ単に回り続けるのではなく、周囲を巻き込みながら拡大して「優しさ」や「思いやり」を社会に拡散をしていくサイクルです。この ハートフル・サイクルが社会に浸透した状態が「ハートフル・ソサエティ」であり、「心ゆたかな社会」であり、「互助共生社会」なのです。サンレーは、その起点となるべく「CSHW」の ハートフル・サイクルを回してまいります!
*よろしければ、本名ブログもお読み下さい!
2025年10月20日 一条真也拝