九国大WC講義

一条真也です。
わたしは、九州国際大学九国大、KIU)の客員教授として「教養特殊講義」を担当しています。ずっと毎年、「孔子研究」と「ドラッカー研究」の講義を行ってきましたが、一昨年は「SDGs」についての講義を行いました。昨年からは、ウェルビーイング&コンパッションの「WC」についての講義です。

九州国際大学のキャンパスを背に


講義前のようす

三輪教授から紹介されました

大教室に出講しました

 

31日は130人以上の学生さんが受講。自分で言うのも何ですが、人気講義のようです。同大学の教務部長で地域連携センターの副センター長・現代ビジネス学部教授の三輪仁先生の御挨拶と過分な御紹介の後、わたしは「九国大客員教授に就任してから10年になります。これまでは孔子ドラッカーのついての講義が中心でしたが、一昨年はSDGsについて講義しました。昨年に続いて今年も、SDGsの次のコンセプト、さらには、わが社の取り組みについて話したいと思います」と述べました。


大教室がいっぱいになりました!

サンレーについて

サンレーの施設紹介をしました

サンレー」という社名の意味

 

まずは、わが社の事業内容や施設の紹介、それから「サンレー」という社名の意味から説明しました。その意味は「SUNRAY(太陽の光)」「産霊」「讃礼」と3つあります。その後、「事業の定義」に話題を移し、わが社が提供するものについて話しました。わが社の事業の柱といえば冠婚・葬祭・互助会ですが、その三本柱はそれぞれ「平和」「平等」「人の道」を提供していると述べました。さらには、「互助会」について、「冠婚葬祭業」について、それぞれ、その本質を説きました。

ど真剣に話しました

わが社が提供するものとは?

パワポを操作しながら講義しました

若人に伝われ、わが想い!

 

コロナ禍という想定外の大事件によって、社会は一変しました。これまでのように「ただ儲ければいい」「ただ売上と利益さえ追求すればよい」という商売の仕方では通用しません。これからの企業に求められるものは「M&A」ではないでしょうか。M&Aの「M」とは「Mission(ミッション)」のことです。そして、「A」とは「Ambition(アンビション)」のことです。すなわち、サンレーの「M&A」は「使命」と「志」のことです。

M(ミッション)&A(アンビション)について

「志」の大切さについて

会社人として仕事をしていく上で「ミッション」が非常に大切です。ミッション経営とは、社会について考えながら仕事をすることであると同時に、お客様のための仕事を通して社会に貢献することです。要するに、お客様の背後には社会があるという意識を待たなくてはなりません。そして、ミッションと並んで会社人に必要なものが、アンビション、つまり「志」です。志とは何よりも「無私」であってこそ、その呼び名に値します。「自分が幸せになりたい」というのは夢であり、「世の多くの人々を幸せにしたい」というのが志です。夢は私、志は公に通じているのです。自分ではなく、世の多くの人々、「幸せになりたい」ではなく「幸せにしたい」。この違いが重要なのです。

わが社の「大志」を述べました

志を果たすには何をすべきか?

アンビションとは「大志」のことですが、わが社は「サンレーズ・アンビション」として、「天下布礼」を進めています。具体的には「社会貢献」「有縁社会再生」「老福社会実現」「グリーフケア」の4つのカテゴリーで数多くのプロジェクトを推進しています。最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となり、話題を集めています。ブログ「SDGs奨励賞を受賞!」でも紹介したように、地域社会でも認められています。


「陰陽」と「産霊」について

WC本を紹介

今回は、「WC」という新しい言葉を提案したいと思います。「WC」とは、トイレのことでも、ワールドカップでもありません。今後の社会および会社経営において重要なコンセプトとなる「ウェルビーイング(Well-being)」と「コンパッション(Compassion)」の頭文字からとったもので、「ウェルビーイング&コンパッション」を意味しています。わたしは、以前はウェルビーイングを超えるものがコンパッションであると考えていましたが、この2つは矛盾しないコンセプトであり、それどころか2つが合体してこそ、わたしたちが目指す互助共生社会が実現できることに気づきました。ウェルビーイングが陽なら、コンパッションは陰。そして、陰陽を合体させることを産霊(むすび)といいます。SDGsは、2030年までという期間限定です。それ以降のキーワードは「ウェルビーイング」だと言われています。意味は、「幸福な存在、相手を幸福にする存在」ということになります。SDGsの17の項目を包括する概念と言えます。

ウェルビーイング」について



ウェルビーイングの定義は、「健康とは、単に病気や虚弱でないというだけでなく、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態」というものです。しかし従来、身体的健康のみが一人歩きしてきました。ところが、文明が急速に進み、社会が複雑化するにつれて、現代人は、ストレスという大問題を抱え込みました。ストレスは精神のみならず、身体にも害を与え、社会的健康をも阻みます。健康は幸福と深く関わっており、人間は健康を得ることによって、幸福になれます。ウェルビーイングは、自らが幸福であり、かつ、他人を幸福にするという人間の理想が集約された思想とも言えるでしょう。

「コンパッション」について



一方、コンパッションは、単なる好意や気遣いの感情以上のことを意味しています。この用語の中心には、互恵性(reciprocity)と具体的行動(action)という考え方があり、それは「思いやり」であり、仏教の「慈悲」「利他」、儒教の「仁」、キリスト教の「隣人愛」にも通じます。コンパッション都市とは、老いや病、死、喪失などを受けとめ支え合うコミュニティのことを指しています。そして、コンパッション企業とは、お客様のこころに寄り添って「思いやり」を示し、さらには、老いや病、死、喪失などを受けとめ支える会社です。互助共生社会の実現のために具体的行動を続けるサンレーにとって、コンパッションはドンピシャリのキーワードです。

ありのままの自分を大切に、他人に優しく生きる!


 

ウェルビーイングとコンパッションを包括すると、「ありのままの自分を大切に、他人に優しく生きる」というメッセージが浮かび上がってきます。冒頭に申し上げた通り、ウェルビーイングだけでもコンパッションだけでも互助共生社会の実現は難しいと思います。これら2つの概念を合体させること、つまり産霊(むすび)を行うことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩となります。しかし、合体させて終わりでは「絵にかいた餅」でしかありません。産霊(むすび)を行い、実現できるカタチに落とし込んだもの、つまりウェルビーイングとコンパッションの息子であり娘に当たるものが「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」です。

サンレーズ・アンビション・プロジェクトを紹介

サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」

 

地球環境の問題は別にして、人類の普遍的な二大テーマは「平和」と「平等」です。その「平和」「平等」を実現するコンセプトが「ウェルビーイング」「コンパッション」ではないでしょうか? CSHWのハートフル・サイクルは、かつて孔子ブッダやイエスが求めた人類救済のための処方箋となる可能性があるのではないか? 「WC」つまり「ウェルビーイング&コンパッション」の産霊(むすび)を行い、「サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)」を実践・推進していくことが、ハートフル・ソサエティとしての互助共生社会実現の第一歩です!

わが社の社会貢献について

成人式晴れ着無償レンタルについて

 

わが社の社会貢献活動社会活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。


有縁社会再生について

わが社がこの世からなくしたいもの

グリーフケアとは?

映画「君の忘れ方」を紹介

 

わが社には無縁社会を乗り越え、有縁社会を再生するという志、グリーフケアによって世の人々の悲嘆を軽くするという志、そして冠婚葬祭という儀式で日本人を幸福にするという志があります。すなわち、「天下布礼」という大志です。今後は、ますます「ハード」よりも「ハート」、つまりその会社の「想い」や「願い」を見て、お客様が選別する時代に入ります。サービス業からケア業への進化を目指すサンレーは「天下布礼」の大志を抱きながら、新しい時代を創造したいと述べました。最後に、拙著愛する人を亡くした人へ(現代書林)を原案とする映画君の忘れ方を紹介。主演が坂東龍汰くん、ヒロインが西野七瀬さんであると話すと、静かなどよめきが起こりました。

講義終了後は質疑応答

「KIUポータル」で質問が続々と届く!

 

講義終了後は、質疑応答です。一昨年までは挙手をして質問をするスタイルでした。でも、それだと学生さんが恥ずかしがって、なかなか質問してくれません。寂しい思いをしていたのですが、昨年からはすごい新兵器が登場しました。グーグル・フレームを使った「KIUポータル」がそれで、なんと学生個人のスマホから匿名で質問ができるのです。これによって次から次に質問が届いて驚きました。「先生がM&Aを目指したきっかけは何ですか?」「志を果たすのは、どうすればいいですか?」「社会貢献をする資金はどうやって作っていますか?」などです。わたしは、1つ1つの質問に対して真摯にお答えしました。

質問ラッシュに嬉しい悲鳴?

最後に大きな拍手を受けました

 

最後の質問は「これからやりたい新規事業はありますか?」でした。わたしは、子ども食堂の展開、高齢者と若者が相互交流するコンパッション施設の建設といった具体的なプランを答えました。こうして、すべての質問に答え切り、質疑応答は終わりました。盛大な拍手に送られて、わたしは大教室を後にしたのでした。今日の講義を聴いた学生さんたちの中から、将来わが社に入社して、一緒に「天下布礼」を実践する仲間ができれば最高ですね! 

 

講義終了後は、八幡の九州国際大学から一路、小倉の松柏園ホテルへ。明日はいよいよ、わが父であり、サンレーグループ創業者で名誉会長の佐久間進の「お別れの会」が開催され、同ホテルは「佐久間進ミュージアム」に変身します。その設営のチェックをするためです。明日は、多くの参列者の方々をお迎えするので、気を引締めないと!


松柏園ホテルを背にして


「お別れの会」の看板前で

 

2024年10月31日 一条真也