『となりびとエピソード』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『となりびとエピソード』(2012年8月刊行)

 

今回は、『となりびとエピソード』をご紹介します。2012年8月に刊行したブックレットです。西日本リビング新聞社発行の「リビング北九州」2011年5月28日号から2012年4月21号の連載エッセイをまとめました。この『となりびとエピソード』では、隣人との心温まる実話を紹介。目次構成は、以下の通りです。

となりびとって何?
長屋のつき合い
心をつなぐ古いラジカセ
ビニールひもがつなぐもの
わたしの妹
あゆみばぁ
となりのアリさん

社宅の共同湯
気になる隣人
たくさんの祖父母
ゴーヤパーティー
隣のおばちゃん


「となりびと」の大切さを知るブックレット

 

2009年4月1日から9月15日まで、わが社では「隣人との心のふれあい・助け合い」「隣人関係における心温まるエピソード」をテーマに体験談を募集しました。すると、全国から600を超えるご応募をいただきました。『むすびびと〜こころの仕事』(三五館)でお世話になった作家の東多江子さんをはじめとした選考委員にて厳正な審査の結果、大賞1編、優秀賞1編、佳作3編、入賞3編を選ばせていただきました。改めて、ご応募下さった皆様に心より御礼を申し上げます。どのエピソードも素晴らしく、隣人との心の交流を通じて、人として生きる上で一番大切な「思いやり」や「感謝」の心が胸に迫ってきます。

人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社

 

いま、人付き合いに悩んでいる人が多いですね。わたしたちが生きる社会において最大のキーワードは「人間関係」ではないでしょうか。拙著『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)にも書きましたが、 社会とは、つまるところ人間の集まりです。そこでは「人間」よりも「人間関係」が重要な問題になってきます。そもそも「人間」という字が、人は一人では生きていけない存在であることを示しています。単なる「人」ではなく、人と人の間にあるからこそ、「人間」なのです。いくら人間関係が難しいといっても、わたしたちは一人では生きていけません。誰かと一緒に暮らさなければなりません。では、誰とともに暮らすのでしょうか。まずは、家族であり、それから隣人です。考えてみれば、「家族」とは自分以外で最も親しい存在であり、最大の「隣人」かもしれませんね。

「人間の幸せ」とは?

 

現代人はさまざまなストレスで不安な心を抱えて生きています。ちょうど、空中に舞う凧(たこ)のようなものです。そして凧が安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸が必要だと思います。縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」です。この縦糸を「血縁」と呼びます。また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」です。この横糸を「地縁」と呼ぶのです。この縦横の二つの糸があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、人間にとっての「幸福」の正体ではないかとわたしは思うのです。


隣人祭り」のようす

隣人祭り」のようす

日本人が幸福に生きるための最大の鍵は、隣人と良好なコミュニケーションが実現できるかどうかにかかっています。隣人、すなわち「となりびと」と仲良く暮らすことが大切なのです。しかし、日本人の人間関係は薄れる一方で、昨年は「無縁社会」などという言葉が流行語になり、孤独死も激増しました。わたしは冠婚葬祭の会社を経営しているのですが、地域の人間関係を良くする食事会である「隣人祭り」の開催をお手伝いさせていただいています。

隣人の時代』(三五館)

 

東日本大震災は、わたしたちの心に大きな悲しみを残しました。しかし、大震災以降、人々の間に「支え合い」「助け合い」の心が芽生えたことも事実です。わたしは、このブックレットを刊行する少し前に『隣人の時代』(三五館)という本を書きましたが、多くの日本人が「となりびと」の大切さを知ったのです。1人でも多くの方が、「となりびと」の大切さを気づく、あるいは再認識されることを願って、このブックレットを刊行した次第です。

 

2022年7月4日 一条真也