2025年の大阪万博

一条真也です。
ゴーン容疑者の逮捕で暗雲ムードの日本経済に明るいビッグ・ニュースが飛び込んできました。2025年の万博開催地が大阪に決定したのです。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。長寿国の強みを生かし、「健康・長寿」の実現に資する万博を目指します。国連のSDGs(持続可能な開発目標)の達成を後押しする目標も掲げるとか。

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大阪万博決定を報道する各紙の朝刊 

 

各紙が一斉にこのニュースを報じています。
毎日新聞」11月24日朝刊TOPでは「2025年 大阪万博」「BIE総会 55年ぶり開催」の大見出しで、以下のように書いています。
「【パリ津久井達】政府が大阪誘致を目指す2025年国際博覧会(万博)の開催国を決める博覧会国際事務局(BIE)の総会が23日にパリであり、加盟国による投票の結果、日本がロシア(開催地エカテリンブルク)とアゼルバイジャン(同バクー)を破り、開催国に選ばれた。国内開催の大規模万博は1970年大阪万博、05年愛知万博愛・地球博)に続き3回目。大阪では55年ぶりの開催となる」
大阪決定に喜ぶ世耕経産相の躍動的な動きが印象的ですが、大阪万博は2025年の5月3日~11月3日の185日間、大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)で開催する計画です。150か国・地域を含む166機関の参加を想定。来場者約2800万人、経済波及効果は約2兆円を見込みます。


遊びの神話』(PHP文庫)

 

会場は約155ヘクタール。各国のパビリオンが並び、「空(くう)」と名付けた5か所の大広場を設ける「パビリオンワールド」、水上に網目状の通路とVIP用の迎賓施設がある「ウォーターワールド」、緑地や既存の太陽光発電施設を生かした「グリーンワールド」の3エリアに分け、AR(拡張現実)やMR(複合現実)など最新技術を活用した展示を行います。1970年万博の「太陽の塔」のようなシンボルや中心施設は設けません。隣接地にはカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致計画があるとか。
わたしは、かつて広告代理店で「花と緑の博覧会」「横浜博覧会」「アジア太平洋博覧会」といった博覧会ビジネスを目の当たりにしてきました。拙著『遊びの神話』(東急エージェンシー、PHP文庫)には、万博の歴史や理念、未来の万博などについて詳しく書きました。シンボルや中心施設は設けないとのことですが、絶対に必要です!

 
ヤフー・ニュース」2017年3月14日より

 

わたしは、2017年3月14日のヤフー・ニュースのTOPに「大阪万博 新たなテーマ公表」という記事を見つけました。松井一郎大阪府知事は「東京が二度目なら大阪も二度目を」とばかりに、「大阪万博」誘致に前のめりだそうですが、わたしは基本的に「万博の時代は終わった」と考えています。それであまり興味はなかったのですが、何気なく記事を読んでみると、以下のように書かれていました。
「大阪での誘致を目指す2025年の万博については、当初『健康と長寿』がテーマでしたが、若者に関心を持たれにくいということで13日、新たなテーマが公表されました。2025年、大阪万博の新テーマに掲げることになったのは『いのち輝く未来社会のデザイン』。では、このテーマに沿って具体的に万博で何を見せるのか? 
資料をじっくり読むと・・・・・・。『万博婚。遺伝子データを活用したマッチングなど、新しい出会いを応援する』(パビリオン案「万博婚」)
展開事例として、実に挑戦的な案が並んでいました。ほかにも“Memento Mori(死を思え・ラテン語)”。人間が生を感じるのは死を身近に感じる瞬間が多いということで、“太陽の塔”ならぬ“天国の塔”からバンジージャンプするパビリオンです。
一方、パワードスーツに身を包んだ高齢者とたくましい肉体の若者が、ヒップホップなどのダンスで対決するというもの。その姿を通して、全世代を元気付ける企画だそうです。実はこれらは8年後の万博の主役、いまの若者から募集していたアイデアでした」

 

おおっ! 万博婚! 天国の塔! 
なんと素晴らしい企画でしょうか!
パワードスーツやヒップホップなんか、どうでもいい!
万博婚や天国の塔は「結婚」と「死」をメインテーマにしているわけですから、これは「冠婚葬祭万博」と呼べるかもしれません。経済産業省は互助会をはじめとした冠婚葬祭業界を管轄する省庁ですから、広く業界に協力を呼びかけることでしょう。この万博で、未来の結婚式や葬儀が提案されれば素敵ですね。

 

わたしは、7歳のときに両親に大阪万博に連れて行ってもらいました。ブログ「太陽の塔」で紹介した岡本太郎がデザインした「太陽の塔」、ブログ『昭和ちびっこ未来画報』で紹介した「三菱未来館」といった超人気施設は、あまりに待ち時間が長いので断念しました。でも、万博の公式ガイドブックに掲載されている「三菱未来館」や「太陽の塔」の内部を紹介した図解を穴があくほど見つめた記憶があります。

 

あの頃、子どもたちにとって「未来」はキラキラ輝いていました。今の子どもたちにとって、「未来」はどのような存在なのでしょうか。それにしても、「メメント・モリ」とか「天国の塔」とか、ムチャクチャ魅力的ではないですか! もしかして、わたしのために企画してくれたのではないでしょうか?(笑)
2025年の大阪万博が楽しみになってきました!
最後にもう一度、「太陽の塔」のようなシンボルや中心施設は設けないといいますが、絶対に設けたほうがいいです。「天国の塔」を作りましょう!

 

2018年11月24日 一条真也