一条真也です。
24日は「中秋の名月」ですね。
法令試験の勉強を長時間行った後、気分転換に小倉コロナシネマワールドの4DXでホラー映画「死霊館のシスター」を観ました。ブログ「死霊館」で紹介した映画シリーズの最新作です。時系列では最も古いエピソードとなりますが・・・・・・。
ヤフー映画の「解説」には、こう書かれています。
「『死霊館』シリーズの恐怖の始まりを描くホラー。ルーマニアの修道院に派遣された神父と見習いシスターが、修道院に隠された邪悪な秘密に迫る。同シリーズでロレイン・ウォーレンを演じたヴェラ・ファーミガの妹タイッサ・ファーミガ、『明日を継ぐために』などのデミアン・ビチルらが出演。製作を『死霊館』シリーズでおなじみのジェームズ・ワン、監督を『ザ・ハロウ/侵蝕』などのコリン・ハーディが務めた」
ヤフー映画の「あらすじ」には、以下のように書かれています。
「1952年、ルーマニアの修道院で一人のシスターが不審な死を遂げる。教会は、この事件の調査のためにバーク神父(デミアン・ビチル)と見習いシスターのアイリーン(タイッサ・ファーミガ)を修道院に派遣する。二人は調査を進めていくうちに、修道院の恐るべき秘密にたどり着く」
「死霊館のシスター」は、本格的な怪奇映画の趣がありました。舞台が吸血鬼ドラキュラの故郷であるルーマニアということで、全体的に禍々しく、薄気味悪い雰囲気が漂っていました。この映画の製作者であるジェームズ・ワンは、「SAW」シリーズや「インシディアス」シリーズで世界中を震撼させた鬼才です。「死霊館」では実在するゴーストハンター夫妻が登場しますが、「インシディアス」のパトリック・ウィルソンと「マイレージ、マイライフ」のヴェラ・ファーミガが演じました。
「死霊館のシスター」は「死霊館 エンフィールド事件」の前日譚であり、シリーズの時系列では最も古い作品であるため、死霊館・アナベルシリーズでの元凶が明かされます。それは「ヴァラク」という名の悪魔でした。
「死霊館」シリーズでは、そこで描かれるアメリカ社会における教会の役割とか神父の存在といったものが興味深いです。アメリカはプロテスタントの国ですが、プロテスタントの祖であるルターは悪魔の存在を信じていたことで知られています。バチカンにはエクソシストの養成所がありますし、悪魔の存在を認めているという点では、カトリックもプロテスタントも共通しています。
わたしは今春から上智大学グリーフケア研究所の客員教授に就任しましたが、上智といえば日本におけるカトリックの総本山です。それで神父や修道女の方々にも知り合いが増えたのですが、カトリックの文化の中でもエクソシズム(悪魔祓い)に強い関心を抱いています。なぜなら、エクソシズムとグリーフケアの間には多くの共通点があると考えているからです。エクソシズムは憑依された人間から「魔」を除去することですが、グリーフケアは悲嘆の淵にある人間から「悲」を除去すること。両者とも非常に似た構造を持つ儀式といえるのです。
また、来年4月いっぱいで、平成は終わります。その後、「大嘗祭」という儀式によって天皇が交代します。この神道の秘儀である大嘗祭と、キリスト教の秘儀であるエクソシズムは正反対の構造をしています。大嘗祭とは「聖」を付着させること、エクソシズムとは「魔」を除去することだからです。いつか、わたしは『大嘗祭とエクソシズム~儀式の秘密をさぐる』という本を書きたいと思っています。それで、カトリックの悪魔祓いに関心を抱いたわたしは、少し前に関連書を固め読みしました。いずれ、それらの本は当ブログでも紹介したいと思います。「エクソシズム」という言葉を日本人が知ったのは、何といっても映画「エクソシスト」(1973年)が公開されてからでしょう。この映画はホラー映画の歴史そのものを変えたとされています。
ホラー映画の金字塔「エクソシスト」から遡ること12年前、1961年に「尼僧ヨアンナ」というポーランド映画が公開されました。原作はヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチの『尼僧ヨアンナ』(岩波文庫)で、フランスの小都市ルーダンで実際に行われた悪魔裁判を題材とした作品です。舞台は中世末期のポーランドの辺境の町ルーディンに変えています。修道院の若き尼僧長ヨアンナに悪魔がつき,悪魔祓いに派遣された神父があれこれ手を尽くすという物語で、イェジー・カヴァレロヴィチ監督が映画化しました。中沢新一氏がこの映画に心酔していることを知ったわたしは、何とか観たいと思ったのですが、なかなか観賞が叶いませんでした。2010年になって、ようやくDVDが発売され観た次第ですが、この作品は明らかに「死霊館のシスター」に影響を与えていると思います。
「死霊館」シリーズは2013年に脚本家のチャド・ヘイズとケイリー・W・ヘイズが創始したホラー映画のシリーズです。超常現象研究家のエド&ロレイン・ウォーレン夫妻(英語版)が遭遇した事件を題材にしており、本作を入れてこれまで5作品が発表されています。それらの公開順とストーリー上の時系列は一致していません。時系列順に作品を並べると、「死霊館のシスター」→「アナベル 死霊人形の誕生」→「アナベル 死霊館の人形」→アナベルシリーズ第3作(未完成)→「死霊館」→「死霊館 エンフィールド事件」となります。
「死霊館のシスター」は、シリーズで初めてIMAX方式及び4D方式での上映が行われる作品でもあります。わたしは小倉コロナシネマワールドの4DXで鑑賞しましたが、これは4D(体感型)映画を演出するための上映システムです。韓国の会社が開発し、2009年に提供を開始しました。座席が劇中のシーンに連動して前後左右、上下に稼動。各座席や場内に設置された装置により、風、霧、香り、煙、フラッシュ照明など様々な演出効果も体感できます。
4DXで鑑賞しました
4DXは現在、日本国内では中川コロナワールド(愛知県名古屋市)、小倉コロナワールド(福岡県北九州市)の両複合エンターテインメント施設内の映画館で導入されています。この日、わたしにとって初の4DX体験だったのですが、座席の新道はもちろん、風や煙が出現し、さらには水が顔に何度も吹き付けられたのは驚きました。テーマパークのアトラクションのような凄い臨場感でした。正直、「死霊館のシスター」そのものはそれほど怖くなかったのですが、4DXのおかげで、それなりの恐怖体験を味わうことができました。
これほどの臨場感なら、ブログ「ダンケルク」、ブログ「レディ・プレイヤー1」、ブログ「ランペイジ 巨獣大乱闘」、ブログ「ジュラシック・ワールド/炎の王国」などで紹介した映画も4DXで鑑賞したかったですね。きっと、すごい迫力だったでしょう。まだ体験されていない方には、ぜひ4DXをおススメいたします。
2018年9月24日 一条真也拝