『何のために生きるのか』

何のために生きるのか


一条真也です。
ブログ「『セブンネット生活』に登場しました」に書いたように、ビジネス書の電子書籍を紹介する機会がありました。そこで、わたしは稲盛和夫氏の新著『燃える闘魂』(毎日新聞社)を挙げました。稲盛氏はわたしの最も敬愛する経営者の1人であり、氏と第2回「孔子文化賞」を同時受賞させていただいたことは、わたしの生涯の名誉だと思っています。何か稲盛氏の本が読みたくなり、『何のために生きるのか』稲盛和夫五木寛之著(致知出版社)を再読しました。



日本を代表する実業家と作家は、共に昭和7年生まれのソウルメイトでした。
13歳で敗戦を迎えた後、長い年月を経て、ついに出会った2人が「人は何のために生きるか」を熱く語り合います。両者とも、現代社会を憂えています。


作家は言います。「情報化の時代といわれますが、いま情報といわれているものは、本来の意味での情報ではないと思うのです。情報とは『情を報ずること』であって、情というのは感情であったり人間の感覚であったり。(中略)ほんとの情報というのは、人間のこころのなかの感情をきちっと把握してそれを伝えることなんです。」


実業家は言います。「二十世紀は、知的なものの活躍、あるいは知的な活動によって、すばらしい展開を遂げて、科学技術の進展をもたらしました。その結果、確かに物質文明はここまで豊かになったけれども、その一方で、“情”とか“こころ”が忘れられてきてしまった。(中略)ほんとはこころをもっと大事にしてくるべきだったという気がしてなりません。」



わたしは常々、21世紀には「こころ」が最大の価値をもつ社会が必要とされると訴えてきました。実業家としては稲盛氏を、作家としては五木氏を、いつも一番下の方から仰ぎ見て憧れていたわたしですが、両者がともに「ハートフル・ソサエティ」について語っているのを知り、涙が出るほど嬉しかったです。
なお、本書は『面白いぞ人間学』(致知出版社)でも取り上げています。


面白いぞ人間学―人生の糧になる101冊の本

面白いぞ人間学―人生の糧になる101冊の本

*よろしければ、本名ブログ「佐久間庸和の天下布礼日記」もどうぞ。



2013年12月28日 一条真也