今日は、ブレイキングダウン6

一条真也です。
3日の「文化の日」、次回作の校正作業の合間に、1分1ラウンドで戦う格闘技イベント「Breaking Down6」のPPVを鑑賞しました。「文化の日」に格闘技イベントの鑑賞はミスマッチと思われるかもしれませんが、わたしは格闘技もプロレスも文化であると思っています。ただし、総合格闘家朝倉未来がプロデューサーを務めるブレイキングダウンは「喧嘩エンターテインメント」ですが、茶番の要素もあって、文化的とは言い難いですね。

ABEMAより



このイベント、MMAやキックボクシングやボクシングといったプロ格闘技の元選手から、ヤンキーに毛が生えたような喧嘩自慢、さらには喧嘩もしたことがないようなYouTuberやTikTokerなどの格闘技のど素人など、まさに玉石混交の連中が1分間だけ拳を交えます。普通、格闘技の試合というのは1ラウンド3分が相場で、昔のプロボクシングでは、なんと15ラウンド闘っていました。現在は安全面への配慮からラウンド数は減っていますが、ブレイキングダウンの1分1ラウンド勝負というのは、相当に短いと言えます。

 

わたしはブレイキングダウンの演出過剰、詳しく言うと、選手たちの下品な煽りやプロレスラーまがいの乱闘が大嫌いなのですが、ブレイキンダウン6のオーデションの女子の部では、酒を飲んで泥酔した出場者・いーたろが他の出場者(緒方友莉奈)にパイプ椅子を投げつけて膝の半月板を損傷させました。また、同大会の前日記者会見では、ライト級ワンマッチで対戦する予定の元プロボクサーで借金4000万円のユーチューバーというアドリブまさおに対して、“会津のケンカ屋”久保田覚が座っていたイスを持って顔面を強く殴打しました。まさおは左目下を切って大量出血し、欠場となりました。久保田の暴挙によって、この日の開催も危ぶまれ、武尊や平本蓮や芹澤竜誠といった現役のプロ格闘家たちも痛烈に批判していました。



こういう素人が悪役プロレスラーの真似をするような行為は観ていて不愉快ですし、子どもたちやヤンキーたちに悪影響を与えるのではないかと心配になります。いーたろの暴挙の片棒を担いだ、みらたむという下品な女性選手がいるのですが、彼女のような品性のない者に限って「爪痕を残せた」とか「自分が一番目立った」などと自画自賛しているのは不快だけでなく、危険であると思います。みらたむは、暴挙の被害者である緒方選手にボコボコにされたのですが、その後、急に笑顔になって和解しようとしましたが、緒方選手から拒否されました。いい気味です!

八須拳太郎vsきょうた(ABEMAより)


梵頭vs瓜田純士(ABEMAより)

黒石高大vsこめお(ABEMAより)

啓之輔vs飯田将成(ABEMAより)

 

「爪痕を残す」のは、オーディションでも、記者会見でもなく、本番の試合でなければなりません。今日の19時15分頃に全試合が終了した「ブレイキングダウン6」ですが、何だかんだで、わたしは全試合を観戦しました。なかなかエンタメとしては面白かったです。個人的には、殴られ屋KENJIvs山本隆寛、八須拳太郎vsきょうた、ジョーブログvsとしぞう、梵頭vs瓜田純士、バン仲村vsYUGO、黒石高大vsこめお、啓之輔vs飯田将成の試合が良かったと思いました。彼らはしっかりと爪痕を残しました。梵頭選手に勝った瓜田選手が試合後のマイクで奥さんに向かって「永遠に愛している!」と言ったのもグッときましたね。


夫人に永遠の愛を告げた瓜田純士(ABEMAより)

男泣きするバン仲村(ABEMAより)

男泣きする黒石高大(ABEMAより)


見事に大会をシメた啓之輔(ABEMAより)

 

また、バン仲村や黒石高広といった、知らない人から見たら「絶対、この人、ヤクザでしょ」としか思えないような超強面の2人が勝利後に男泣きしたのは胸を打たれました。彼ら2人は40代のオジサンですが、いろんなものを背負って背水の陣でこの場に出てきて勝利をもぎとり感無量だったのでしょうね。ブレイキングダウンに出てくる選手は、少年院あがりは当たり前、刑務所あがりも珍しくありません。人生の崖っぷちに追い込まれた連中が多く、そういう奴らのドラマが垣間見れるのが魅力の1つです。わたしも涙もろいオヤジなので、男泣きしたバン仲村と黒石高大に強い親近感をおぼえました。もちろん、メインイベントで飯田将成に大逆転勝利した啓之輔のマイクパフォーマンスもカッコ良かったです!



ブログ「明日は、ブレイキングダウン6」にも書きましたが、わたしは「Breaking Down4」のオーディションから追っていますが、オーデションの段階から喧嘩も実際にやったことがないような、また格闘技経験もゼロの似非不良みたいな連中が調子に乗って行儀の悪い言動を繰り広げるのを苦々しく思っていました。前日記者会見では、乱闘が当たり前でした。前田日明が主催した「THE OUTSIDER」は不良少年の更生を謳っていましたが、この「Breaking Down」は不良少年や前科者たちに免罪符を与えて、さらに「いい気」にさせる危険をはらんでいます。アウトサイダーは、前田日明が睨みをきかせて不良たちを束ねていましたが、ブレイキングダウンももっと朝倉未来が選手たちをコントロールする必要があると思います。



「THE OUTSIDER」といえば、今日の大会は「アウトサイダー対ブレイキングダウン」の団体対抗戦が行われました。秀虎vs川島悠汰、高垣勇二vs山川そうき、萩原祐介vsジョリー、樋口武大vs信原空、黒石高広vsこめお、吉永啓之輔vs飯田将成の全6試合ですが、どれも注目の対戦でした。結果は、アウトサイダー側の4勝2敗でしたが、副将戦の黒石vsこめお、大将戦の啓之輔vs飯田の最強対決を制したので、実質はアウトサイダーの勝利と言えるでしょう。試合後のマイクで啓之輔が「アウトサイダーを舐めんなよ!」「アウトサイダー最高!」と叫んだのにはスカッとしました。もし前田日明が観ていたら、きっと嬉しかったでしょうね。啓之輔がマイクでアピールしたように、次はYA‐MAN選手、そして朝倉未来選手と戦ってほしいものです。


アウトサイダーという競技はMMA(総合格闘技ルール)なのですが、全員がブレイキングダウンに合わせてキックボクシングルールで戦っていました。これは相当に不利だったはずで、あえて相手のルールを受け入れたアウトサイダー勢には漢気を感じます。そもそも、基本的にキックボクシングルールのブレイキングダウンが「1分間喧嘩最強」を謳うのは違和感をおぼえます。この日は1試合だけMMA(総合格闘技ルール)がありましたが、実際の喧嘩は立ち技の打撃だけなどということは有り得ない話で、必ず揉み合って投げが使われ、最後は絞めや関節技で終わることが多いでしょう。だから、「喧嘩」を売り物にするならMMAルールの時間無制限で行くべきです。


無制限試合はグダグダ(ABEMAより)



ルールといえば、今日は2試合だけ無制限ルールの試合が行われました。10人ニキvs三崎優太(青汁王子)、バン仲村vsYUGOの2試合です。最初の10人ニキ・三崎戦は8ラウンドまで行われたのですが、両者が見合って打ち合わない場面の多いグダグダな内容で、フラストレーションが増大。また、明らかに10人ニキがグロッキーでダウン同然なのになかなか試合を止めないのは危険だと思いました。さらに、2ラウンドは1分間のはずなのに、30秒でゴングを鳴らしたりして、運営側の未熟さを露呈していましたね。運営側の未熟さといえば、前日記者会見のマイクがいつも調子が悪くなるのもお粗末な話。きちんと事前にチェックしておくべきです。他にも運営に対して言いたいことはたくさんありますが、昨日の炎上騒ぎで武器の使用や乱闘などは今後大幅に規制されるでしょうね。


アルティメット・クラッシュ?(ABEMAより)

こんな試合、必要か?(ABEMAより)


ゲーム用の仮想通貨が報酬とは!(ABEMAより)


問題点はたくさんありますね!(ABEMAより)

あと、1分間といえども命のやりとりをする選手たちに対して基本的に報酬が支払われず、「喧嘩道」とかいうゲームアプリ内だけで使える仮想通貨の「喧嘩コイン」を10万円相当分貰えるというのには呆れるのを通り越して、笑ってしまいますね。なんじゃ、そりゃ?(笑)
まあ、人生崖っぷちの中年男女や、とにかく目立って有名になりたいだけのYouTuberとかTikTokerをタダ同然で使って、使い捨ててる構図が見えてきます。儲かるのは朝倉未来だけのような気がしますな。彼のビジネスセンスはなかなかのものですが、もともと少年院出身だった彼が世に出たのは前田が創設したアウトサイダーのおかげです。不良少年の更生というアウトサイダーの理念を最も体現している者こそ、朝倉未来なのです。どうか、彼には金儲けだけに走らず、前田日明やその師であるアントニオ猪木のような高い志を持っていただきたいですね!

 

2022年11月3日 一条真也