出口治明氏講演会

一条真也です。
4日の15時半からリーガロイヤルホテル小倉で開催された北九州貿易協会(KFTA)創立50周年記念講演会に参加しました。
講師は、ブログ「出口治明氏」で紹介した立命館アジア太平洋大学(APU)の学長さんです。ライフネット生命保険株式会社の創業者でもあります。演題は「マネジメントにおける新たなチャレンジとグローバル人材育成」でした。

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講演会のようす

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非常に興味深い内容でした

 

出口氏は1948年三重県生まれ。三重県立上野高等学校を経て、京都大学法学部を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。 経営企画を担当として企画部や財務企画部に所属し、また生命保険協会で財務企画委員の初代委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事されました。また、ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て、同社を退職されました。

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講演会のようす

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明快に語る出口学長

 

2006年に生命保険準備会社を設立し、代表取締役社長に就任。2008年の生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社を開業。2013年に代表取締役会長に就任。2017年6月に取締役を退かれています。そして、2018年1月よりAPUの第4代学長に就任されたのです。新学長はなんと公募で決められ、100名以上の候補者がいたそうです。その中から出口氏が選ばれたことは大きな話題となりました。それを報道で知ったわたしが就任祝いの胡蝶蘭をお贈りしたところ、わざわざ御礼の連絡があり、3月15日にお会いした次第です


胡蝶蘭の前で出口氏と

 

出口学長とは長く手紙やメールでの交流はありましたが、直接お会いするのは初めてです。学長室に入れていただき、たっぷりお話しをさせていただきました。リベラルアーツの本質、「理系」偏重の教育界の問題点、日本における「読書離れ」と「儀式軽視」の危険性、さらにはサービス業の人材不足、生命保険と互助会との関連性、大学と企業のコラボなどなど・・・出口学長は予想通り、教養とビジネスセンスを併せ持った素晴らしいリーダーでした。「このような人になりたい!」と思いました。


APUの出口学長と 

 

出口学長は「無類の読書家」として知られており、著作も多いです。
わたしも、これまでブログ『本の「使い方」』ブログ『ビジネスに効く「最強の読書」』ブログ『仕事に効く教養としての「世界史」』ブログ『人生を面白くする本物の教養』で紹介した本などを読ませていただきました。わたしは、出口学長のような超一流の経営者が大学の舵取りをされるのは本当に素晴らしいことだと思います。日本の国益につながります!
わたしも上智大学客員教授を拝命していますが、ビジネスと学問の間に橋を架けることは、そのままハートフル・ソサエティの実現に寄与するものと信じています。出口学長のような本物の教養人が九州に来て下さり、心から嬉しく思いました。 

 

今日の講演も刺激に満ちていて、大変勉強になりました。「社会全体の学歴を上げなければいけない。それは、みんなが人・本・旅で学ぶことだ」という言葉は心に沁みました。また、製造業の街である北九州市で、「モノづくりは古いですよ!」と言い切ったのも爽快でした。案の定、「アイデアを活かすGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)も結構だが、それもスマホという機械があってのこと。やはり、最も大切なのは製造業ではないか?」というベタな質問に対しても、「今ではスマホは日本では作っていません。新型iPhoneが発売されれば、日本のスマホの輸入額は3兆円以上となり、これは鉄鋼業の輸出額とほぼ同じです」と見事に切り返されました。ハゲタカ・ファンドへの批判を含んだ質問にも、「ハゲタカだろうが何だろうが、人を大事にしない企業は伸びません!」と喝破されたのも胸のすく思いでした。わたしは「さすがだ!」と感銘を受けました。出口学長、素晴らしい御講演をありがとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。

 

2018年10月5日 一条真也