グリーフケア士テキスト2

一条真也です。
27日はサンレー本社の仕事納めです。この日、社長室にグリーフケアの血論と実際Ⅱ』島薗進監修、粟津賢太著(一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団)が届きました。

グリーフケアの血論と実際Ⅱ』の表紙

 

ブログ「グリーフケア士テキスト」で紹介したテキスト1が完成したのが2021年の6月だったので、じつに3年半ぶりの続編の完成です。わたしが一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の副会長でグリーフケアPT座長として刊行したテキスト1はグリーフケア士向けの内容ですが、今回のテキスト2は上級グリーフケア士向けとなっています。非常に専門的だと言っていいでしょう。


島薗進先生の序文

 

グリーフケアの血論と実際Ⅱ』の冒頭には、監修者で東京大学名誉教授の島薗進先生の「序文」があります。島薗先生は、「本書は、グリーフケアの基礎を学び、実践場面でグリーフケアを経験し、その意味をすでに学んできた人たちが、さらにグリーフケアを深く理解し、その実践と反省の幅を広げて行っていただくために書かれたものです」と述べられています。来年3月にわたしと『宗教の言い分~日本人の死生観を語る』(仮題、弘文堂)という共著を刊行予定の島薗先生は、わたし宛のメールに「今回のテキストは類書のない画期的な内容になっています」と書かれていました。わたしも、島薗先生と同意見です。


「刊行に寄せて」

 

続いて、わたしが、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団理事長の佐久間庸和として「刊行に寄せて」を寄稿しています。「日本人の『心の未来』を守る上級グリーフケア士の役割」のタイトルで、以下のように書いています。
「この度、『グリーフケアの理論と実際Ⅱ』を新たに刊行する運びとなりました。本書が、上級グリーフケア士を目指す方々にとって大切な指針となることを、グリーフケア資格制度を実施しております冠婚葬祭文化振興財団の理事長として強く願っております。
近年、日本社会では、死別や喪失といった悲嘆の経験が増加し、それに伴う心のケアの重要性が一層高まっています。これまでは、地域社会や家族といった共同体が死別や喪失に対するケアを担ってきましたが、現代においてはその役割が希薄化しています。地縁や血縁で結ぼれていた共同体が機能不全を起こすことで、社会全体の存続と、個々人の心に深刻な影響が及んでいるのです。この機能不全は、ただの文化的な変化にとどまらす、日本社会全体の基盤を揺るがす重大な問題であり危機だともいえます」

グリーフケアの血論と実際Ⅱ』の目次

 

続いて、わたしは以下のように書いています。
「こうした背景において、グリーフケアの専門知識を持ち、実践することができる上級グリーフケア士の役割はますます重要になっています。すでにグリーフケア士は、死別や喪失を経験された方々の深い悲しみに寄り添い、心の回復を支援する存在となっています。彼らは、心の痛みに向き合い、希望の光を取り戻すための重要な役割を果たしているのです。さらに専門的な知識と技術を持つ上級グリーフケア士が、多くの方々の悲しみに寄り添うことで、日本人の「心の未来」を守る柱となると私は確信しています。今後の日本社会において不可欠なエッセンシャルワークとなることは間違いありません。
グリーフケア士の役割は、社会的にも非常に重要です。特に現代の日本では、個々の悲嘆に寄り添い、共に乗り越えるためのサポートが不足しています。上級グリーフケア士は、個人の心のケアを超えて、社会全体に寄与できる存在です。死別や喪失を経験した人々が安心して感情を表現し、悲しみを癒す場を提供する役割を担い、それが最終的には社会全体の安定と持続につながります。皆様の活動が、未来への希望となるのです。本書を手に取られる皆様が、知識と技術を深め、上級グリーフケア士として多くの心に寄り添い、癒しを与える存在となることを心より願っております。皆様の力が、多くの人々の心に希望の光を灯し、未来を照らす道となることを心より願っています」


専門書と一般書でグリーフケアの時代を!

 

グリーフケアの血論と実際Ⅱ』はグリーフケアの専門書ですが、一般書としては拙著愛する人を亡くした人へ (PHP文庫)が大変好評で、よく売れています。来年1月17日には同書が原案の映画君の忘れ方が来年1月17日に全国公開されます。本作で初めての映画単独主演を務めるのは、若⼿実⼒派俳優として振り幅の⼤きい演技で存在感を発揮している坂東⿓汰さん。映画、ドラマ、CM、舞台と⼋⾯六臂の活躍をみせる⻄野七瀬さんがヒロインを演じます。いま映画界で最も旬な2人ですが、わたしも恥ずかしながら、フューネラル・ディレクター役で出演しています。この映画の公開によって、日本中にグリーフケア旋風が巻き起こることを願っています。悲嘆に暮れている方々の心が少しでも軽くなりますように。

 

2024年12月27日 一条真也