一条真也です。
17日の早朝から、松柏園ホテルの神殿で月次祭が行われました。今朝の小倉は晴れで、気温は33度でした。
ホテルの貴賓室には父の遺影が・・・
朝、ホテルに到着して貴賓室に入ったら、デスクの上に父である佐久間進名誉会長の遺影が置かれていました。父は、いつも見守ってくれています。わたしは遺影に向かって「これから月次祭と天道塾ですよ。今日は、上半期を振り返ります」と話しかけました。
月次祭のようす
厳粛な気分になります
玉串奉奠で玉串を巫女から受ける
玉串奉奠で拝礼する
皇産霊神社の瀬津権宮司によって神事が執り行われました。サンレーを代表して、わたしが玉串奉奠を行いました。会社の発展と社員の健康・幸福、それに能登半島地震の被災者の方々の日常が早く戻ることを祈念しました。
山下常務に合わせて拝礼
神事の最後は一同礼!
この日は、わたしに続いて山下常務が玉串奉奠をしました。山下常務と一緒に参加者たちも二礼二拍手一礼しました。その拝礼は素晴らしく美しいものでした。わが社が「礼の社」であることを実感しました。儀式での拝礼のように「かたち」を合わせると「こころ」が1つになります。神事の後は、恒例の「天道塾」を開講しました。
「天道塾」開講前のようす
最初は、もちろん一同礼!
開塾の挨拶をしました
「上半期の振り返り」スタート!
神事後は恒例の「天道塾」です。この日も松柏園のメインバンケット「グランフローラ」で行われました。最初にわたしが登壇し、開塾の挨拶をしました。わたしは、「おはようございます! 毎日、暑いですね。くれぐれも熱中症には気をつけて下さい。今日は『今年の半期を振り返って』ということで、各地の責任者から発表していただきます。よろしくお願いします!」と述べて、降壇しました。
最初は、北陸本部の報告でした
次は、沖縄本部の報告でした

各事業部の報告を聴きました
続いて、大分事業部の報告でした
続いて、宮崎事業部の報告でした
最後の北九州本部は山下常務が報告
沖縄の康弘社長が「まとめ」をしました
続いて、「今年の上半期を振り返って」として、インターネット会議が行われました。サンレーの北陸・沖縄・大分・宮崎・北九州の順で業績や活動の報告がありました。それぞれの地の本部長や事業部長が今年の総括と来年の展望について語りました。その後、サンレー沖縄の佐久間康弘社長が「まとめ」の発表を行いました。
最後に登壇して「総括」しました
それから、わたしが再登壇して、総括をしました。
わたしは、「それぞれの報告を聴きましたが、今年の上半期は非常に好調に進んでいて安心しました。しかし、もっと高い目標をもって、下半期に臨んでいただきたい。来年11月18日には、いよいよ創立60周年を迎えます。この大きな節目までには、さまざまな問題に対処して、さらに強い企業体質を目指しましょう!」と言いました。

映画「ライフ・イズ・クライミング!」を紹介
総括を終えた後、わたしはブログ「ライフ・イズ・クライミング!」で紹介した日本映画の話をしました。視力を失ったクライマー、小林幸一郎さんとその相棒の挑戦を追ったドキュメンタリー映画です。視覚障害のあるクライマーのコバこと小林幸一郎さんは、サイト(資格)ガイドのナオヤこと鈴木直也さんの声を頼りに岩を登っていく。2001年に出会った彼らはパラクライミング世界選手権で4連覇を果たすなど、二人でさまざまな壁に挑んできました。世界的パンデミックを経た2021年、二人はアメリカ・ユタ州にある砂岩フィッシャー・タワーズの頂に立つことを目指し、冒険の旅に出るのでした。その感動の映像がスクリーンに展開されます。
いや、この映画、本当に魂が震えるほど感動しました。遺伝性の網膜の障害で全盲になった小林幸一郎さんのグリーフをケアしたのは、小林さん自身の前向きに生きる力でした。そして、彼の目となってサポートする鈴木直也さんの姿を見て、涙が止まりませんでした。これは単に視覚障害者の映画ではなく、あらゆる人々に思い当たるところがある作品だと思います。思えば、わたしも道に迷ったり、方向性を見失ったときは父や‟魂の義兄”である鎌田東二先生が心あるアドバイスをしてくれました。その二人はすでにこの世にはいませんが、「父なら、どう考えるだろうか?」とか「鎌田先生が存命なら、どう言われるだろうか?」と自問することが、わたしの行き先を照らしてくれます。そして、それは父や鎌田先生の魂に語りかけることでもあるのです。わたしは、死者とともに生きています。

読書とは、闇の中で光を探すこと

『孔子とドラッカー 新装版』(三五館)
「ライフ・イズ・クライミング!」という映画を観て、わたしは教育やマネジメントについて考えました。相手を信頼しきること。全力で相手のサポートをすること。ネガティブな言葉を使わず、「絶対、大丈夫!」「絶対、行ける!」とポジティブな言葉で励ますこと。この映画で小林さんと鈴木さんが示してくれたすべての言葉、すべての行動が、わたしの心に光を与えてくれました。マネジメントといえば、拙著『孔子とドラッカー 新装版』(三五館)でマネジメントの本質について書きましたが、わたしが社長に就任して右も左もわからずに暗中模索していたとき、『論語』やドラッカーの一連の著作が経営者としてのわたしを助けてくれたことを思い出しました。あのときの孔子やドラッカーは、時代や場所を超えて、まさに鈴木直也さんのような的確なアドバイスでわたしを助けてくれました。読書とは、暗闇の中で光を探すことなのです。

小林幸一郎は凄い!

熱心に聴く人びと
小林さんの偉業には心から敬意を表します。大谷翔平や井上尚弥も凄いですが、小林幸一郎も凄い! 同じ日本人として誇りに思います。いや、日本人というより同じ人間として誇りに思います。誰もがさまざまな悩みを抱えていますが、この映画を観れば、心がケアされ、救われます。何より素晴らしいのは、小林さんが底抜けに明るいこと。映画の中で、小林さんがまだ目が見えていた頃の思い出を語る部分があるのですが、医師から「近い将来、失明します」と言われ、だんだん目が見えなくなることは心に多大なダメージを与えたそうです。そのくだりには、思わず涙が出ました。
「ケア」の真髄を語りました

熱心に聴く人びと
途方もない苦しみ、悲しみを乗り越えて、前人未踏の道を歩む小林さんは真の強さを持った偉大な人だと思います。映画「ライフ・イズ・クライミング!」の冒頭には、「目で見るのではなく、心で見ることが大切なのだ」というヘレン・ケラーの言葉が紹介されます。見えない、聞こえない、話せない――「三重苦」を背負っているにもかかわらず全世界をまたにかけて活躍したヘレン・ケラーの姿は、世界中の障害者たちに大きな希望を与えました。ヘレン・ケラーといえば、彼女の家庭教師だったアニー・サリヴァンとの関係が「奇跡の人」(1962年)として映画や舞台になっています。
「奇跡の人」を目指しましょう!
わたしは当初、〝奇跡の人〟とはヘレン・ケラー本人のことだと思っていましたが、家庭教師のサリヴァン先生のことだったと知りました。自分をコントロールできない幼いヘレン・ケラーに対し、時に厳しく、時に優しく接する姿は、多くの感動を与えてくれます。ヘレン・ケラーと同じく、小林幸一郎さんも多くの障害者の方々、いや健常者を含めたすべての人々に希望を与えています。そして、小林さんが偉業を超えた数々の奇跡を成し遂げる陰には、鈴木直也さんという〝奇跡の人〟が存在していることを忘れてはなりません。わたしは「ケアとは何か」ということを日々考えていますが、サリヴァン先生や鈴木さんにはケアの真髄を見る思いがします。
最後は、もちろん一同礼!
最後に、「他人事ではなく、わたしたちもケアすべき相手がいることを忘れてはなりません。それは会社の部下であったり、子どもであったりするかもしれません。わたしたちの周りには、光を求めて暗闇の中で藻掻いている者が必ずいます。その人を見つけて、その人に寄り添って、その人をケアすること。最も大事なことを教えてくれる「ライフ・イズ・クライミング!」は、大いなるケア映画の名作です。みなさんも機会があれば、ぜひ御覧下さい!」と述べてから降壇しました。天道塾の終了後、わたしは北九州空港へ。そのまま東京に出張します。連日のハードスケジュールですが、自らの使命と志を果たさなければ、佐久間名誉会長や鎌田先生に顔向けできません。

それでは、東京に行ってきます!
2024年7月17日 一条真也拝