「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」

一条真也です。
29日の夜、日本映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」シネプレックス小倉で観ました。今年観た150本目の映画です。前夜も同劇場でブログ「六人の嘘つきな大学生」で紹介した日本映画を観ましたが、内容は”月とスッポン”。本作は最高に面白かったですね。今年の一条賞(映画篇)の有力候補作品であります!

 

ヤフーの「解説」には、こう書かれています。
「韓国のドラマ『元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~』を原作にしたクライムドラマ。税務署に勤める生真面目な公務員と天才詐欺師が手を組み、権力者が脱税した10億円の徴収に挑む。メガホンを取るのは『カメラを止めるな!』シリーズなどの上田慎一郎。『きのう何食べた?』シリーズなどの内野聖陽、『ゴールド・ボーイ』などの岡田将生らが出演する」

 

ヤフーの「あらすじ」は、以下の通りです。
「生真面目な税務署職員・熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)にだまされて大金を奪われてしまう。熊沢は親友の刑事の手を借りて氷室を追い詰めるが、氷室はある権力者が脱税した10億円を自らが詐欺によって徴収することを条件に、見逃してくれるよう頼む。犯罪者と手を組むことに葛藤する熊沢だが、ある復讐を果たすために氷室からの提案を受け入れる。二人はアウトローたちを集めて詐欺師集団『アングリースクワッド』を結成し、10億円を徴収しようとする」

 

いやあ、本当に面白かったです! 前日に鑑賞した「六人の嘘つきな大学生」は原作は未読なのでクオリティはわかりませんが、脚本は最低でした。一方、「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」の脚本は最高ですね。韓国ドラマのリメイクだそうですが、韓国のシナリオライターはレベルが高いですね。よく、これだけ面白い物語が書けるものです。冒頭のシーンは腕時計のアップから始まるのですが、これが最後に大きな意味を持ってきます。岡田将生演じる天才詐欺師の氷室マコトが刑務所から出てきますが、その颯爽とした出所ぶりも良かったですね。

 

岡田将生といえば、高畑充希との結婚を発表しましたね。今や日本を代表するイケメン俳優の1人ですが、ブログ「ゴールド・ボーイ」で紹介した主演作も良かったですね。クールなワルぶりが共通していました。「ゴールド・ボーイ」は、中国の作家・紫金陳の小説を、沖縄に舞台を移して実写化したクライム・サスペンスです。沖縄の実業家一家の婿養子である東昇(岡田将生)は、義父母を殺害して富と地位を奪おうと、綿密な計画を立てます。計画通りに義父母を崖から突き落とした昇ですが、その様子を13歳の安室朝陽(羽村仁成)らが偶然にもカメラで捉えていました。朝陽は母子家庭で経済的な余裕がなく、仲間もさまざまな問題を抱えており、すべてを金で解決しようと、昇を脅迫するのでした。

 

「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」には、大物のワルが登場します。慈善家の仮面を被った権力者で、彼は巨額の脱税をしています。しかし、税務署や警察署の署長を抱き込んでいるので、その身は安全なのでした。小澤征悦が演じましたが、なかなかの熱演でした。本編特別映像では、彼の脱税を部下が追及しようとしたため、内野聖陽が演じる生真面目な税務署職員の熊沢が脅迫されます。その脅迫の仕方が残酷で、熊沢の家族の危険をほのめかしたり、頭から赤ワインをかけたりします。「ここまでやるか!」というほどの非道ぶりでしたが、こういう行為は必ず報いを受けますね。映画の観客も「こいつを、やっつけてやれ!」と本気で思い、盛り上がります。



ネタバレしないように気をつけて書きますが、この映画には、土地の所有者に他人がなりすまして詐欺を行うという、いわゆる「地面師詐欺」が登場します。ブログ「地面師たち」で紹介したNETFLIXオリジナルドラマが大きな話題になったばかりですね。欲望にまみれた不動産詐欺師たちが繰り広げる、究極のクライム・サスペンスです。実在の地面師事件に着想を得た新庄耕の小説『地面師たち』を大根仁監督が映像化しました。綾野剛が地面師詐欺の道に踏み込む辻本拓海、豊川悦司が巨額詐欺を率いる大物地面師・ハリソン山中を演じるほか、北村一輝小池栄子ピエール瀧染谷将太山本耕史リリー・フランキーらが出演しています。豪華俳優陣ですね!

 

「地面師たち」も豪華キャストでしたが、「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」もそれなりに豪華です。初日舞台あいさつでは、内野聖陽川栄李奈森川葵、真矢ミキ、小澤征悦らが登壇しましたが、じつに華やかでした。キャストの顔ぶれだけでなく、作品の内容でも「地面師たち」に負けていません。さらにヒネリがきいています。地面師詐欺が途中でバレてしまうのですが、詐欺師集団はまったく予想外の行動に出るのです。この展開には感服しました。映画全体のテンポもすごく良かったです。さすがは、 ブログ「カメラを止めるな!」で紹介した2018年の大ヒット作で日本映画界の寵児となった上田慎一郎監督がメガホンを取っただけのことはありますね!

 

2024年11月30日  一条真也