死を乗り越える渋沢栄一の言葉

 

一人ひとりに天の使命があり、
その天命を楽しんで生きることが、
処世上の第一要件である。
渋沢栄一

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、武士(幕臣)、官僚、実業家として生きた渋沢栄一(1840年~1931年)の言葉です。彼は、多種多様な企業の設立・経営に関わり、日本資本主義の父と称されます。新しく発行される1万円札の肖像でもあります。91歳没。



わたしも多大な影響を受けたアメリカの経営学者のピーター・ドラッカーは、渋沢栄一について「率直にいって私は、経営の『社会的責任』について論じた歴史的人物の中で、かの偉大な明治を築いた偉大な人物の一人である渋沢栄一の右に出るものを知らない。彼は世界のだれよりも早く、経営の本質は『責任』にほかならないということを見抜いていたのである」と述べています。

 

 

渋沢栄一の思想は、有名な「論語と算盤」という一言に集約されます。それは「道徳と経済の合一」であり、「義と利の両全」です。結局、めざすところは「人間尊重」そのものであり、人間のために社会を求め続けた人生でした。特筆すべきは、あれほど多くの会社を興しながら財閥をつくろうとしなかったことです。



後の三菱財閥をつくることになる岩崎弥太郎から協力して財閥をつくれば日本経済を牛耳ることができる、手を組みたいと申し入れがありましたが、これを厳に断っています。利益は独占すべきではなく、広く世に分配すべきだと考えたからです。近代日本が経済的な成長を遂げる礎を作った1人として渋沢を挙げることに異論を唱える人はいないでしょう。わたしも経営者の端くれとして、「仕事を天命と感じ、いかに楽しむか」という渋沢翁の言葉を実践したいです。なお、この渋沢栄一の言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2023年1月15日 一条真也