コンパッションの味

一条真也です。
11月22日は「いい夫婦の日」。夫婦は「世界で一番小さな互助会」であり、夫婦間には「思いやり」が必要です。「思いやり」を英語で言えば「コンパッション」ですが、ネットで「コンパッション」を連想させる感動的な動画を見つけました。「【漫画】ラーメンの名店でボロボロの少女が5円玉を差し出し『スープだけ売って!』店主『んな事出来るか! 舐めてんのか!』俺『まあ落ち着いて・・・』居合わせた客の俺が少女にラーメンを奢った、その10年後・・・」というタイトルの動画です。


「漫画わいどしょー」というYouTubeチャンネルの動画ですが、非常に感動しました。ネタバレにならないように詳しいストーリー説明は控えますが、貧困に苦しむ母子家庭の女の子、妻と娘を亡くした頑固なラーメン店主、児童養護施設、炊き出し、子ども食堂・・・・・・最後は、みんながハッピーになれる素敵な動画です。もちろんフィクションでしょうが、ここには「グリーフ」から始まって「コンパッション」へと至る物語が描かれています。そして、それはグリーフケア企業&コンパッション企業を目指すわが社の方向性と一致しています。この動画に登場するラーメン店主は5円玉で「スープだけ売って!」という少女に「んな事出来るか!舐めてんのか!」と怒鳴ります。子どもの心を傷つける酷い行為のように思えますが、それは結果的に「人の労力を5円で買うことはできない」ということを子どもに教えたことになります。そして、成長したその子は10年後に店主の前に姿を現すのでした。


ラーメン店が登場する感動動画といえば、ブログ「利他・互助・人間尊重」で紹介した「極貧少女とラーメンおやじ」というアニメ動画を思い出します。こちらは貧しくて、いつもお腹を空かせている小学校1年生の少女がラーメン店主からラーメンを食べさせてもらうという話です。こちらの店主は、5円どころか無料でラーメンを提供します。「お返しができないから、食べられない」と固辞する少女に、店主は「それなら、おじさんに漢字を教えておくれ。ラーメン1杯ごとに漢字を1つ教えてほしい」と言います。見返りを求めないだけでなく、相手に心理的負担を与えない店主の心に感動します。この少女が成長して、今度は困窮状態にあった店主を助けるのですが、わたしは涙が止まりませんでした。店主のように「人を助けられる人」、少女のように「受けた恩を返せる人」、「人のために」という利他の心を持った人間になりたいものです!

西日本新聞」2021年12月8日朝刊

 

ブログ「晴れの日は晴れ着で」で紹介したように、わが社は児童養護施設のお子さんたちに七五三や成人式の衣装を無償でレンタルさせていただいています。「万物に光を降り注ぐ太陽のように、すべての人に儀式を提供したい」というわが社の志によるものです。ブログ「体も心もぽかぽかに」で紹介したように、次なる志の「かたち」は「子ども食堂」でした。さまざまな事情で、満足な食事が取れないお子さんたちにお腹いっぱい美味しいものを食べていただきたいと考えてきました。昨年ついに、「日王の湯」で子ども食堂が実現し、現在も定期開催しています。感動的の動画を観て、わたしは「子ども食堂をもっと増やしたい!」と強く思いました。ホームレスの方々への炊き出しのラーメンも、子ども食堂のカレーも、きっとコンパッションの味がすると思います。

毎日新聞」2022年10月30日朝刊

 

2022年11月22日 一条真也