11月度総合朝礼

一条真也です。ついに11月になりました。
1日の8時45分から、わが社が誇る儀式の殿堂・小倉紫雲閣の大ホールにおいて、サンレー本社の総合朝礼を行いました。先月に続いて、総合朝礼を無事に開催することができて良かったです。もちろん、ソーシャルディスタンスには最大限の配慮をしています。

総合朝礼開始前のようす

最初は、もちろん一同礼!

社歌斉唱のようす

パープルのマスク姿で登壇

 

全員マスク姿で社歌の斉唱は黙唱で行いました。それから社長訓示の時間となり、わたしがパープルの不織布マスク姿で登壇しました。まず、わたしは「11月になりました。秋も深まり、寒くなってきましたね。いよいよ感染者の数も減ってきています。今度こそは、このままコロナも収束に向かってほしいものです。今年も残りあと2ヵ月、元気に走り抜きましょう!」と言いました。

マスクを外しました

 

それから、わたしは「芸術の秋は映画の秋。『アイ・アムまきもと』という素晴らしい葬儀の映画が公開されましたが、観た人も多いと思います。葬儀の映画といえば、『おくりびと』が思い出されます。『おくりびと』が公開されたことは葬祭業界においても非常に大きな出来事でした。映画の中での美しい所作と儀式は、お客様が望む葬儀の在るべき姿を映画というメディアで表現してくれました。ご遺族が大切にしている方をこうも優しく大事に扱ってくれるということはグリーフケアの上でも大切なことでした。『おくりびと』のおかげで葬祭スタッフに対する社会的地位も変わったのではないかと感じるところもあります。何よりも、自分の仕事へのプライドを彼らに与えてくれました」と言いました。


『葬式不滅』を書き上げました

近刊『葬式不滅』(オリーブの木

 

映画「おくりびと」の原案は、青木新門さんの『納棺夫日記』です。その青木さんの「お別れの会」が10月17日に富山で開かれ、わたしも参加いたしました。会場には、故人の書斎が再現されていましたが、その書棚の中には『唯葬論』や『永遠葬』をはじめ、多くの一条本があり、感動しました。青木さんは生前、島田裕巳さんの『葬式は、要らない』が出たとき、『葬式は、要る』という本を出される計画があったとお聞きしました。その後、青木さんとお会いしたとき、『葬式は絶対になくなりませんよ』と言われていました。その青木さんの遺志を継ぎ、わたしは島田さんの最新刊『葬式消滅』への反論書である『葬式不滅』を書き上げました。年内に刊行の予定です。

「コンパッション都市」とは何か


熱心に聴く人びと

さて、今月18日、わが社は創立56周年を迎えます。わが社はこれまで「ミッション」(使命)や「アンビション」(大志)を求めてきましたが、わが社のこれまでの歩を象徴するようなキーワードに出合いました。「コンパッション」という言葉です。大正大学宗教学者島薗進先生が行われた特別講義で初めて「コンパッション都市」というものを知りました。それは、「老、病、死、喪失を受けとめ、支え合うコミュニティ」であり、一言でいえば「悲しみをともにする共同体」です。その概念は、1986年の「健康づくりのためのオタワ憲章」(WHO)の原則に基づきながらも、それを人生最終段階ケアに適用し、共同体の責任としたものです。この共同体モデルでは、死にゆく人と非公式の介護者が社会的ネットワークの中心に置かれているという図を見ることができます。都市としては「コンパッション都市」と呼ばれますが、まさに互助会が創造すべきコミュニティのモデルだと思います。


「コンパッション」とは何か


「ふくおか経済」2022年11月号

 

英語の「コンパッション」を直訳すると「思いやり」ですが、思いやりは「仁」「慈悲」「隣人愛」「利他」「ケア」に通じます。「ハートフル」と「グリーフケア」の間をつなぐ概念も「コンパッション」です。最近、米国バーモント大学臨床教授(パブリックヘルス、エンドオブライフケア)で医療社会学者のアラン・ケレハーの著書『コンパッション都市』が慶應義塾出版会から翻訳出版されましたが、その冒頭には「生命を脅かす病気、高齢、グリーフ・死別とともに生きる市民がいます。また家庭でケアを担う市民がいます。そんな境遇にあるすべての市民を手助けし、支援するために組織される地域コミュニティ、それがコンパッション都市・コミュニティです」と書かれ、この用語の中心には、互恵性(reciprocity)と具体的行動(action)という考え方があります」と書かれています。


「コンパッション」は究極のキーワード


熱心に聴く人びと

 

「互恵」とは「互助」ということでもあり、互助共生社会の実現のために具体的行動を続けるわが社にとって、「コンパッション」はまさにドンピシャリの究極のキーワードであると思います。現在、「SDGs」が時代のキーワードになっていますが、これは2030年で終わります。その後、「ウェルビーイング(wellbeing)という言葉が主流になると言われていますが、わが社ではすでに40年も前から使っていた言葉です。「ウェルビーイング」は健康についての包括的概念ですが、じつは決定的に欠けているものがあります。それは「死」や「死別」や「グリーフ」です。これらを含んだ上での健康でなければ意味はなく、まさにそういった考え方が「コンパッション」なのです。つまり、「ウェルビーイング」を超えるものが「コンパッション」であると言えます。


毎日新聞」2022年10月30日朝刊


道歌を披露しました

 

ケレハーによれば、コンパッション都市の主体となるのは、地方自治体、葬儀会社、グリーフや緩和ケアに携わる組織です。また、コンパッション都市実現のための具体的行動案として、「移動型の死への準備教室」「ご近所見守りパトロール」「コンパッション関連書の読書クラブ」「死を描いた映画の上映会」などが挙げられています。わが社の活動そのものです。このような話を「毎日新聞」の取材で述べたところ、10月30日付朝刊で大きく取り上げられました。北九州市60周年の記念記事でしたが、じつは北九州市の誕生が決定した会合は松柏園ホテルで開催されました。わたしも同じ頃に松柏園で生まれましたので、北九州市とは同い年の兄弟のように思っています。最後に、「これからの北九州市はコンパッション都市を目指すべきですし、サンレーはコンパッション企業を目指します!」と述べてから、以下の道歌を披露しました。 

 

老いと死と死別と病 受けとめし

     悲しみの街 幸せの道  

 

「今月の目標」を唱和

最後は、もちろん一同礼!

 

総合朝礼の終了後は、北九州本部会議を行います。昨年、一昨年はなんとかコロナイヤーを黒字で乗り切りましたが、コロナ3年目となる今年は正念場を迎えています。全社員が全集中の呼吸で全員の力を合わせて最後まで走り抜きたいです。

 

2022年11月1日 一条真也拝