猪木・前田・未来

一条真也です。
今朝、ネットニュースで故アントニオ猪木さんの通夜式が13日に東京都内で営まれたことを知りました。当初の発表では「家族葬」でしたが、関係者によれば参列者は333人。猪木さんの戒名は「闘覚院機魂寛道居士(とうがくいんきこんかんどうこじ)」となりました。闘魂戒名!

ヤフーニュースより

 

祭壇には猪木さんの代名詞だった赤い闘魂タオルをイメージした大きな円形の飾りが施され、両脇には猪木さんがタイガー・ジェット・シン卍固めをかけている姿と「1、2、3、ダァー!」を決めている写真が飾られました。猪木さんが亡くなられたのは1日の午前7時40分でしたが、13日に通夜とは驚きました。ご遺族や関係者の意向でこの日程となったのではないかと推測します。またブラジルから親族の方が来るという理由もあったようですね。お通夜の写真にはお柩が写っていましたので、亡くなってからの時間を考えると、おそらくはエンバーミングが施されているのではないでしょうか?



雨の降りしきる中の通夜でしたが、参列者の中でプロレス関係者は、坂口征二藤波辰爾佐山聡前田日明小川直也藤田和之ケンドー・カシン天山広吉西村修桜庭和志柴田勝頼中邑真輔棚橋弘至真壁刀義オカダ・カズチカといった面々がいたようです。猪木さん最大のライバルだったジャイアント馬場さんの弟子を代表して小橋建太も参列しました。この中で、かつて猪木さんの後継者と言われた人物に、藤波辰爾佐山聡前田日明小川直也藤田和之がいます。1日に猪木さんが亡くなられた日に自宅を弔問した長州力や髙田延彦も後継者候補の1人だったでしょう。でも、わたしはアントニオ猪木の最大の後継者は前田日明であったと思います。

 

 

ブログ『猪木力:不滅の闘魂』で紹介した本で、猪木と前田は対談していますが、そこで前田は「自分は、これまで今もいろんな人にいろんなことを言われるんですけど、ひとつだけ言えることは、自分は新日本プロレスに入ったときは真っ白でした。ただひたすらに猪木さんから言われることを聞いて、それを守って必死で練習して生活していたんです。だから、今でも胸張って言えるのは、自分のプロとしての人生は、猪木さんの言われたことをそのまま真っ直ぐにやっただけです。これっぽっちも外れずに真っ直ぐにやっただけです。『UWF』でも『リングス』でも本当にバカ正直にやっただけです。それは『プロは強くないといけない』『プロは誰が見てもこれは凄いなって思われないといけない』『世界の格闘技の一流の選手と試合ができないといけない』っていう教えで、猪木さんから言われたことをそのままやっただけです」と語っています。



続けて、前田は「佐山さんも若手のころ自分に『猪木さんは、こういうことを言っているぞ』ってよく語っていて、そのまま猪木さんの影響を受けていましたから、そういう猪木さんの言葉が後の『修斗』につながって、自分は『リングス』になったんです。だから、今になって総合格闘技の発展に力を注いだのは、佐山さんがどうとか前田日明がどうとか誰がどうとかって議論するのは意味がなくて、すべては猪木さんの思いや異種格闘技戦から始まったことで、猪木さんがいなければ、今の総合格闘技はなかったし、プロレスは存続できなかった。猪木さんが総合格闘技の火付け役なんです。ただ、その中で自分自身がひとつだけ自慢することがあるとすれば、総合格闘技という言葉を作ったことです」と語ります。


前田が「新生UWFは、格闘プロレスとか言われてブームになったんですけど、自分は、前にも言いましたけど、猪木さんから一番最初に『プロレスはこうでなければいけない』って言われたことをそのままやっただけなんです。猪木さんのコピーとしてUWFをやっていました」と言えば、猪木は「今日、こうやってしゃべって、俺が力道山という源流から受け継いだ魂の遺伝子は、前田にもつながっていたんだなと分かって嬉しく思うよ」と語るのでした。それまでの師弟の生き様と因縁を知るわたしとしては感涙モノの対談でした。日本プロレスを追放された猪木は新日本プロレスを興し、新日本プロレスを追放された前田は新生UWFやリングスを興しました。猪木が「ザ・グレーテスト」と呼ばれたモハメド・アリというボクシング界最高のスーパースターと闘えば、前田は「霊長類最強の男」と呼ばれたアレクサンダー・カレリンというレスリング界最強のスーパースターと闘いました。やはり、アントニオ猪木の真の後継者は前田日明であると確信します。闘魂注入ビンタが「儀式」であるならば、猪木さん亡き後は前田に受け継いでいただきたい!


さて、猪木さんの通夜が営まれたことを知った今朝、わたしは前田日明朝倉未来がダンスをするTikTok動画を観て仰天しました。若い未来はまだしも還暦を過ぎた前田がこんなお茶目にダンスに興じるとは! プロボクシング元3階級王者フロイド・メイウェザーとのエキシビションマッチで善戦し、ますます注目を集める未来ですが、現在、「格闘技界のカリスマ」として絶大な人気を誇っています。彼はアウトサイダーの出身であることは有名ですが、そのアウトサイダーを創設したのが前田です。つまり、未来は前田の弟子なのです。最初は単なるヤンチャな腕自慢だった未来が総合格闘技とYouTubeの2つのジャンルで才能を開花させたわけです


前田と未来がYouTubeで師弟対談したことがあります。少年院からアウトサイダーへ、そこから日本格闘技界のスーパースターへと駆け上がった未来のことが前田は可愛くて仕方がない様子が窺えます。また、久々に会った弟子と対談できることが嬉しくて仕方がないといった感じで、見ているこちらにまでその嬉しさ、喜びが伝わってきます。「水抜きは腎臓を悪くするぞ」とか「これからの総合は投げ技が危険になる」などのアドバイスも的確です。前田&朝倉のダンス動画を格闘技観戦仲間の「癒す人」こと「せたがや手技均整院」の鈴木登士彦院長にLINEで転送したところ、「前田セカンドキャリア頑張ってますね。しかし朝倉はこれで年収30億オーバーというから憧れの対象、時代の寵児になりますね」との返信が届きました。さらに、わたしは「われわれにとってのアントニオ猪木みたいなカリスマになるのかな?」と返信しました。


朝倉未来の年収30億円オーバーというのは、内山高志氏のYouTube番組に出演して本人が語っています。その中では会社を15個ぐらいやっているという話も出ています。アパレルブランドを立ち上げたことでも知られていますが、そのことでRIZINの記者会見上でメイウェザーから突っ込まれていました。ただでさえ高額年収なのに、さらにメイウェザー戦のギャラが入るわけですから凄いですね! 「MMA(総合格闘技)のパイオニア」と呼ばれる猪木さんは生涯で200億円を稼いだものの借金に追われる人生でしたが、日本MMA界のスター・朝倉未来は金に苦労しないのでしょうか?   強いだけでなく商才もある朝倉未来は新しい時代のカリスマだという気がします。 


それにしても、アントニオ猪木朝倉未来という新旧2人のカリスマの間に位置する前田日明は偉大です。最近、メイウェザーへの花束を投げ捨てた「ごぼうの党」の奥野卓志党首との対談動画が公開されましたが、前田の見識・分析力・教養には唸りました。変なサングラスをして田舎の半グレみたいな服装の奥野党首などよりも、前田にこそ政治家になってほしいと願うのは、わたしだけではありますまい。それこそ、イラクの人質を解放した師匠の猪木にならって、ロシアに行ってほしい。そして、「ロシア連邦英雄」を授与され、現在はロシアの上院議員を務めているアレクサンダー・カレリンの仲介で格闘技好きのプーチン大統領と直談判していただきたい! 

 

2022年10月14日 一条真也