『こころの世界遺産』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『こころの世界遺産』(2016年12月25日刊行)

 

今回ご紹介する『こころの世界遺産』は、2016年12月25日に刊行したブックレットです。「朝日新聞」2016年1月20日朝刊から12月21日朝刊に12回に毎月12回にわたって連載したエッセイをまとめたものです。目次は以下の通りです。


『こころの世界遺産』の目次

 

01 「こころの世界遺産」とは?
02 『論語
03 『慈経
04 『般若心経
05 『老子
06 『旧約聖書
07 『新約聖書
08 『コーラン
09 『ギリシャ神話
10 『古事記
11 『アンデルセン童話集
12 『星の王子さま


「こころの世界遺産」とは?

 

世界遺産には、遺蹟や聖地などの「場所」、寺院や神殿などの「建物」のイメージが強いですが、わたしは「こころの世界遺産」というものがあってもいいのではないかと思っています。というのも、人類の歴史において、多くの人々の「こころ」に対して大きな影響を与え、現在も続けている人物や書物に深い関心があるのです。

世界をつくった八大聖人』(PHP新書)

 

以前、『世界をつくった八大聖人』(PHP新書)という本を書いた。同書ではブッダ孔子老子ソクラテスモーセ、イエスムハンマド聖徳太子の8人を取り上げ、その生き様、考え方、そして共通点などについて詳しく述べました。人類に影響を与えた人物には、8人の聖人以外にも、古今東西の英雄がいます。しかし、彼らの築いた帝国や王国や王朝や幕府は今では存在しません。彼ら英雄の影響力は現在進行形ではないのです。


サンデー毎日」2017年10月8日号

 

聖人たちの教えは、仏典、『旧約聖書』『新約聖書』『コーラン』『論語』『老子』などに残されています。また、『ギリシャ神話』や『古事記』、『イソップ寓話』や『アラビアン・ナイト』、さらには、アンデルセンなどの童話作家たちの作品も、世界中の人々の「こころ」に良き影響を与え続けます。これらは「こころの世界遺産」と呼べる人類の宝であり、世界平和に通じる「教養」を育みます。

涙は世界で一番小さな海』(三五館)

 

童話に関しては、拙著『涙は世界で一番小さな海』(三五館)には、「『幸福』と『死』を考える、大人の童話の読み方」というサブタイトルがついています。『人魚姫』『マッチ売りの少女』『青い鳥』『銀河鉄道の夜』『星の王子さま』の5つの物語は1つにつながっていたというのがわたしの考えで、アンデルセンメーテルリンク宮沢賢治サン=テグジュペリの作品は、人類すべてにとっての大切な「こころの世界遺産」であると確信しています。

儀式論』(弘文堂)

 

わたしは、『儀式論』(弘文堂)を補完する書として『聖典論』『聖地論』『聖人論』から成る「典・地・人」三部作を書き上げたいと構想しています。もちろん、数年にわたる壮大なプロジェクトとなりますが、最初は『聖典論』から書きたいと考えています。当然ながら、仏典、『旧約聖書』『新約聖書』『コーラン』『論語』『老子』などにも言及します。


『世界聖典全集』全30巻

 

ブログ「『世界聖典全集』を全巻入手しました」で紹介したように、わたしは今年の3月に20年以上探し続けていた幻の全集である『世界聖典全集』全30巻を購入しました。ここには世界中の聖典が収められていますので、資料には困りません。『こころの世界遺産』の内容にも通じる『聖典論』では、構造主義の手法などを使って聖典の本質を明らかにしたいと思います。なお、聖典については、2018年に『知れば知るほど面白い 世界の聖典・経典』(光文社知恵の森文庫)を上梓しています。


知れば知るほど面白い 世界の聖典・経典

 

2022年10月13日 一条真也