闘魂の修め方

一条真也です。
いまだ訃報に接した瞬間の衝撃が消えません。ブログ「さらば、燃える闘魂!」に書いたように、わたしの最大のヒーローであったアントニオ猪木さんが人生を卒業していかれました。その猪木さんの最後の動画である「アントニオ猪木『最期の言葉』」が1日の夜にUPされました。


動画は9月21日に撮影されたもので、今回をきっかけに休止していたYouTubeでの活動を再開する予定だったといいます。猪木さんは東京都内の自室でベッドに横たわってインタビューに応じ、穏やかな表情を浮かべ、「見せたくないでしょ。こんなザマを。普通は。でもしょうがない。そしたら反応が逆なのか、同情というか。喜ぶファンもいる? そういうファンもいるということに自分はしっかりしなきゃなあと思います。見て欲しいというと抵抗はある。でもそれがこういう世間が猪木に期待してくれるなら、素直に応えるほかにないんじゃないですかね」と話しました。猪木さんが最後まで超一流のエンターティナーであったことがわかります。


アントニオ猪木チャンネル」より

 

今後についても、「もっともっと世界の環境問題。世界のゴミを消していく。これだけ汚してしまった地球を自分たちの手でキレイにするように。世界に向けて猪木しかできないことを。できたらいいなと」とかねて取り組んでいた水プラズマによるゴミ問題解決に意気込みを見せ、「世界に向けて猪木しかできないこと、『どうだー!』と大きな声が出せる日が、もうすぐそこに来ています」と言います。

アントニオ猪木チャンネル」より

 

そして、猪木さんは「もう俺も80だから楽をしてくださいという人は誰もいないな」と笑顔で話しましたが、実際は80歳になる前の79歳で亡くなられたわけです。わたしは来年で60歳になりますが、人生は何が起こるかわかりません。病気にならなくとも、事故や災害やその他の理由で、59歳のまま生を終えても不思議ではありません。改めて、「今日という日は、残りの人生の最初の日である」と思いながら生きていきたいです。



それにしても、寝たきり状態となった猪木さんはベッドから自力で上半身を起こすこともできませんでした。わたしは、アリ戦のときの猪木さんがずっとマット上に寝て、腹筋の力だけで上半身を起こしながら3分15ラウンドにおよぶ長い試合を闘い抜いたことを思い出して涙が出てきました。そして、「この人は、本当に、ずっと闘い続けてきたんだなあ」「この人は、最後までプロレスラーであり、最後までアントニオ猪木だったんだなあ」と思いました。

人生の修め方』(日本経済新聞出版社

 

かつて、引退後の猪木さんの人相がどんどん悪くなっている時期がありましたが、この動画の猪木さんの表情はまことに穏やかで、目がとても澄んでいました。こんなに痩せ細って衰弱してしまった姿を人には見せたくないはずなのに、あえて弱い姿を見せる猪木さんは真に強い人でした。この人に並ぶ人はなかなかいません。スケールの大きさにおいても唯一無二の人でした。どうか、今は安らかに休んでいただきたいです。猪木さんの最期の姿は、わたしを含め、多くの日本人の「人生の修め方」に影響を与えたと思います。心より御冥福をお祈りいたします。合掌。



2022年10月日 一条真也