死を乗り越える三島由紀夫の言葉

 

老夫妻の間の友情のようなものは、
友情のもっとも美しい芸術品である。
三島由紀夫

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。
今回の名言は、日本の小説家・劇作家・評論家・政治活動家民族主義者である三島由紀夫(1925年~1970年)の言葉です。彼は、戦後の日本文学界を代表する作家の1人として知られます。代表作は『仮面の告白』、『潮騒』、『金閣寺』、『鏡子の家』、『憂国』、『豊饒の海』四部作など。



三島由紀夫が、市ヶ谷の自衛隊で割腹自決したのは45歳のときです。「私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない。このまま行ったら『日本』はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。それでもいいと思っている人たちと、私は口をきく気にもなれなくなっているのである」と言い残して自ら命を絶ちました。



「老夫妻の間の友情のようなものは、友情のもっとも美しい芸術品である」という彼の遺した言葉をみるとき、彼が自らの老いもさることながら、日本の未来にも危機感を持ち、それが絶望感へとつながってしまったのではないでしょうか。三島が自決したとき、わたしは小学生でした。テレビのニュースを見ながら、何が起こったのかわかりませんでしたが、戦前・戦中の日本人を見た気がしたことを憶えています。2020年で没後50年になりましたが、超高齢社会である現代の日本を見たら、三島はどのように言うでしょうか? なお、この三島由紀夫の言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2022年9月21日 一条真也