終戦の日

一条真也です。
8月15日になりました。「終戦の日」が来ました。
日本人だけで310万人もの方々が亡くなられた、あの悪夢のような戦争が終わってから、今年で77年目を迎えました。いくら新型コロナウイルスの感染爆発が大変だと騒いでみても、戦争のほうがずっとずっと悲惨です。

2022年8月15日の各紙朝刊

70回目の「終戦の日」は靖国神社を参拝しました


ブログ「終戦70年の日」で紹介したように、70回目の大きな節目となった2015年の8月15日は靖国神社を参拝しましたが、今年は九州は小倉の地で黙祷いたします。終戦60年の2005年8月、わたしは次のような歌を詠みました。

 

ひめゆりよ知覧 
  ヒロシマナガサキよ 
        手と手あはせて祈る八月 

 

先の戦争について思うことは、あれは「巨大な物語の集合体」であったということです。真珠湾攻撃戦艦大和、回天、ゼロ戦、神風特別攻撃隊ひめゆり部隊沖縄戦満州硫黄島の戦い、ビルマ戦線、ミッドウェー海戦東京大空襲、広島原爆、長崎原爆、ポツダム宣言受諾、玉音放送・・・挙げていけばキリがないほど濃い物語の集積体でした。それぞれ単独でも大きな物語を形成しているのに、それらが無数に集まった巨大な物語の集合体。それが先の戦争だったと思います。


靖国神社にて

 

実際、あの戦争からどれだけ多くの小説、詩歌、演劇、映画、ドラマが派生していったでしょうか・・・・・。「物語」といっても、戦争はフィクションではありません。紛れもない歴史的事実です。わたしの言う「物語」とは、人間の「こころ」に影響を与えうる意味の体系のことです。人間ひとりの人生も「物語」です。そして、その集まりこそが「歴史」となります。そう、無数のヒズ・ストーリー(個人の物語)がヒストリー(歴史)を作るのです。

 

戦争というものは、ひときわ歴史の密度を濃くします。ただでさえ濃い物語が無数に集まった集積体となるのです。「巨大な物語の集積体」といえば、神話が思い浮かびます。そう、『古事記』にしろ『ギリシャ神話』にしろ、さまざまなエピソードが数珠つながりに連続していく物語の集合体でした。いま、今日が「終戦の日」であることも知らない若者が増えているそうです。彼らにとって戦争など遠い過去の出来事なのでしょう。それこそ、太古の神話の世界の話なのかもしれませんね。神話といえば、世界中の神話や伝説で「月は死後の世界」と語られています。一昨年、当ブログの読者の方から「コロナ禍で墓参りができない今こそ、世界中どこからでも先祖供養ができるムーン・ハートピア・プロジェクトを見直すべき」とのご意見を頂戴しました。たしかに、月面聖塔はウィズコロナにふさわしい供養の在り方かもしれませんね。

 

わたしの好きな歌の1つに「戦争を知らない子供たち」があります。この歌は単純な反戦ソングなどでなく、もっと深い意味があるように思えます。「神話からの解放」そして「新たな神話の創造」を宣言する歌のように思えるのです。戦争という愚行を忘れるのはいい。でも、先人の死を忘れてはなりません。死者を忘れて生者の幸福など絶対にありえないからです。そんなことを考えながら「戦争を知らない子供たち」を聴くと、また違ったメッセージを感じることができます。平和の歌を口ずさみながら、自分なりに戦没者の方々に心からの祈りを捧げたいと思います。

 

門司港世界平和パゴダでは、ミャンマー仏教などの上座仏教の根本経典である「慈経」が唱えられるでしょう。このお経は、ブッダが最初に説いたとされる平和の祈りです。わたしは、「慈悲の徳」を説く仏教の思想、つまりブッダの考え方が世界を救うと信じています。「ブッダの慈しみは、愛をも超える」と言った人がいましたが、仏教における「慈」の心は人間のみならず、あらゆる生きとし生けるものへと注がれます。わたしは、この「慈経」を自分なりに自由訳したいと思い立ちました。そして、2014年に『慈経 自由訳』(三五館)、2019年に『慈経 自由訳』(新装版・現代書林)を上梓しました。

 

慈経 自由訳

慈経 自由訳

  • 作者:一条 真也
  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

生命のつながりを洞察したブッダは、人間が浄らかな高い心を得るために、すべての生命の安楽を念じる「慈しみ」の心を最重視しました。そして、すべての人にある「慈しみ」の心を育てるために「慈経」のメッセージを残しました。そこには「すべての生きとし生けるものは、すこやかであり、危険がなく、心安らかに幸せであれ」と念じる願いが満ちています。

 

4年前、わたしは『般若心経 自由訳』(現代書林)を上梓しました。自由訳してみて、日本で最も有名なお経である『般若心経』がグリーフケアの書であることに気づきました。このお経は、死の「おそれ」も死別の「かなしみ」も軽くする大いなる言霊を秘めています。葬儀後の「愛する人を亡くした」方々をはじめ、1人でも多くの方々に同書をお読みいただき、「永遠」の秘密を知っていただきたいと願っています。最後に、先の戦争で亡くなられたすべての方々の御冥福を心よりお祈りいたします。合掌。

 

 

2022年8月15日 一条真也