『論語と冠婚葬祭』旋風!

一条真也です。
東京に来ています。26日は午前9時から午後1時過ぎまで、ずっと「出版寅さん」こと出版プロデューサーの内海準二さんと打合せをしました。テーマは主に次回作『心ゆたかな映画』『神道と日本人』(ともに現代書林)についてです。日比谷のイタリアンレストランでランチを終えたあと、わたしたちは有楽町の東京交通会館まで歩きました。そこの1階にある三省堂書店を訪れるためです。


三省堂書店有楽町店


本日発売の月刊誌コーナー

内海さんといえば、わが国における儒教研究の第一人者で大阪大学名誉教授の加地伸行先生と小生の対談本『論語と冠婚葬祭』(現代書林)の仕掛け人ですが、同書の紹介が本日発売の「Will」(飛鳥新社)7月特大号、「月刊Hanada」(ワック出版局)7月杜若号の両誌に掲載されているということで、東京のど真ん中にある三省堂書店有楽町店を訪れたのです。両誌は入口のすぐ近くにある雑誌コーナーの一番良い場所に置かれていました。なんと、そのお隣は国民的雑誌である「月刊 文藝春秋」ではありませんか! これは間違いなく最高の場所ですね! 

「Will」7月特大号の巻頭言

早速、その2冊を買ってページを開きました。まずは「Will」7月特大号を開くと、いきなり加地先生の「朝四暮三」という巻頭言がありました。「声聞(名声)情〔実際〕に過ぐれば、君子〔は〕これを恥ず。」という『孟子』離婁下の言葉を紹介されています。

「Will」7月特大号より

 

「Will」7月特大号には、「編集部の今月のこの一冊」というコーナーがあり、そこに『論語と冠婚葬祭』が取り上げられていました。「最近の新聞訃報欄を見ると、著名な人でも「葬儀は近親者で行った」という記述が目につく。一般では『家族葬(密葬)』ですませる比率も増えているが、それは『無縁社会』を深刻化させるものだと批判。日本人の死生観などと儒教論語の関連などを、儒教研究の第一人者(加地)と、礼の求道者(一条)が徹底的に論じ合った画期的な対談集」と書かれています。また、書影には「神道は『神の道』、仏教は『仏の道』。そして儒教は『人の道』であり、その眼目は『葬儀』にあり!」というコピーが添えられています。

「月刊Hanada」7月杜若号より

 

次に、伝説の編集者として名高い花田紀凱氏の責任編集による「月刊Hanada」7月杜若号ですが、加地先生が「孤剣、孤ならず その昔、そして今」という連載をされており、その第2回「死者を送る実体験」として、亡くなられた同級生の思い出に触れておられます。加地先生は、「四月中ごろ、たまたま新聞の訃報欄を見ていて驚いた。四月七日、増原良彦氏が逝去とあった。ことばを失った。彼は、『ひろさちや』という筆名で、仏教について分かりやすく説いた著作を多く残してきた。老生、彼とは大阪府立北野高校で同期であり、二年生のとき、同級であった。彼は東京大学に進学し、インド哲学を専攻、後に気象大学校教授となった経歴」と書かれています。わたしは、中学・高校時代に、丹波哲郎氏と並んで「死後の世界」ブームの立役者の1人・ひろさちや氏の著書をよく読みました。特に名著『死後の世界の観光案内』(ゴマビジュアル)は愛読書の1つで、拙著『ロマンティック・デス』(国書刊行会幻冬舎文庫)にも同書の影響が色濃く反映されていると思います。

「月刊Hanada」7月杜若号より

 

そして最後に、加地先生は「増原君の訃報のころ、偶然であるが、老生の新刊の準備が完了したのであった。書名は『論語と冠婚葬祭』(現代書林)――しかも対談である。共著で対談相手は一条真也氏。同氏の本業は、儀礼業。非常によく勉強しておられ、また頭脳明晰、礼儀を心得ておられ、実業家として一級。同氏と始めての対談となり、いわゆる冠婚葬祭における根本である〈葬〉を中心に、儀礼と人間との関わりについて、談じあったが、打てば響く優秀な人物であった。人間、必ず死を迎える。そのときの覚悟を固めてゆくのが、その人の人生である。その覚悟がなくて、ただ日々を過ごしてゆくというのでは、せっかくの人生、もったいない。かと言って、哲学や宗教の本を読んでも難しい話ばかりで、投げ出すのが落ち。それぐらいなら、人の死、いや親しい人の死に対して、己れの想いを込めて生きてゆくということが、まことの覚悟となるであろう。友人、ひろさちやの御冥福をお祈りし、供養に『論語と冠婚葬祭』を献じ奉る」と書かれています。わたしは、加地先生のこの文章を読んで、感動で胸がいっぱいになりました。わたしへの過分なお言葉も心に染みましたが、何よりも、親友ひろさちや氏への供養に『論語と冠婚葬祭』を献じていただくということに感動しました。


ひろさちや」というペンネームは「フィロソフィー(知を愛すること=哲学)」に由来するそうですが、ひろ氏はわが青春時代の憧れの方でした。「いつか自分も、ひろ氏みたいに死の不安がなくなる本を書いて、多くの方に届けたい」と思ったものです。少し前にお電話で加地先生とお話したのですが、加地先生とひろ氏は「死生観」をテーマに対談したいと長年言い合ってこられたそうですが、結局その願いは叶いませんでした。加地先生は、「あなたとの対談が、彼への供養になったと思います」と言って下さいました。わたしは、ただただ恐縮するばかりでした。


アマゾン「冠婚葬祭・マナー」ランキング

 

その『論語と冠婚葬祭』ですが、5月20日の発売以来、大好評で、アマゾンレビューはすでに20を超えています。また、アマゾン「冠婚葬祭・マナー」ランキングで2位につけています。1位は、1270件以上のレビュー数を誇る大ベストセラー『「育ちがいい人」だけが知っていること』諏内えみ著(ダイヤモンド社)ですが、アマゾン書籍ランキングの中でも最激戦区の1つである「冠婚葬祭・マナー」で2位というのは大健闘だと思います。加地先生と対談させていただいた栄誉を汚すことがないように、これからも「天下布礼」に励みます!

 

 

2022年5月26日 一条真也