上島竜兵さん、安らかに!

一条真也です。
お笑いタレントでダチョウ倶楽部のメンバーの上島竜兵さんが亡くなったニュースには驚きました。61歳だったそうですが、ブログ「渡辺裕之さん、安らかに!」で紹介したように66歳で亡くなった俳優の渡辺裕之さんと同じく自ら命を絶たれたようです。


ヤフーニュースより

 

警視庁によれば、11日午前0時頃、上島さんの家族から119番通報がありました。上島さんは東京・中野区の自宅マンションから病院に搬送されましたが、午前1時前、死亡が確認されたそうです。所属事務所は取材に対し、「今は呆然としています」「現在事務所として発表できるのは、亡くなったということだけです」とコメントしています。上島さんは芸能界でも非常に人望があり、自身を中心とする「竜兵会」という集まりもありました。今や人気芸人の有吉弘行、土田裕之、劇団ひとり・・・・・・ダチョウ倶楽部も所属する「太田プロダクション」の後輩メンバーからなる会でした。


ヤフーニュースより

 

10人から15人の芸人がメンバーだったそうですが、毎回のように呼ばれていたのが有吉さんでした。当時の有吉さんは「猿岩石」で大ブレイクを果たすも、解散後は何をやってもうまくいかずに腐っていた時期でした。数千万円あった貯金を使い果たし、それでも元猿岩石のプライドが邪魔してバイトもできずに悶々とし、一時期は「死んだほうが楽かな」と思ったこともあったそうですが、上島さんはそんな彼を無理にでも大勢が集まる場に呼び寄せ、地獄から引っ張り上げたといいます。


ヤフーニュースより

 

その有吉さんは「涙をこぼすのは上島さんの葬式だけ」と語っていたそうですが、2014年7月21日に投稿したツイートには、「上島さんは『俺の葬式の時には、俺の顔に熱湯をブッかけてくれよ!』と言う・・・中々ハードな注文だ。かける方の世間体もあるし・・・でも、まあ世話になったし、やってみるか・・・(もちろん上島さんは存命中です・・・)」と綴っています。上島さんと有吉さんの絆がよくわかるエピソードですね。


ヤフーニュースより

 

上島さんは、新型コロナウイルス感染による肺炎で亡くなった故志村けんさんと親しかったことで知られます。2002年から「志村けんのバカ殿様」(フジテレビ系)の正式レギュラーの他、2006年から志村さんが主催し主演を務めた舞台演劇「志村魂」の一員として、全公演に出演。志村さんとはプライベートでも親交が深かった上島さんですが、志村さん死去後、多くを語りませんでした。しかし、有吉さんが「志村さんが亡くなってもう1年半になりますけども、志村さん寂しくて“竜ちゃん寂しいよ”って天国で呼んでるんじゃないですか?」と冗談を言うと、上島さんは苦笑しながら、「俺は尊敬してるけど、ヤダよ!もし死んだとしても、そういうので死にたくない。呼ばれて死にたくないね」と語っていたばかりでした。

ヤフーニュースより

 

それにしても、渡辺裕之さんといい、上島竜兵さんといい、好感度の高い芸能人が次々に自死するのは何故なのか。渡辺の死因には、「老年性うつ」が大きく影響しているのではないかと週刊誌各誌が報じています。仕事は順調、おしどり夫婦で有名だった渡辺さんでしたが、2017年頃にレギュラーの仕事がなくなり、単発に内容が変化。日々トレーニングをしていても、筋肉や関節の痛みなど体の衰えを感じるようになったといいます。最近の撮影現場では、いつも完璧な渡辺さんが台本を全然覚えていない、突然怒鳴る、財布を取られたと騒ぐなど、数々の異変が見られたともいいます。



渡辺さんと上島さんの共通点は、ともに60代だったことです。会社員でも定年を迎え、人生の岐路に立つとともに、身心の衰えを感じる年代です。ブログ「59回目の誕生日」に書いたように、わたしは59歳になりました。来年はついに60歳になります。「俺ももう60代か・・・」と複雑な気分にもなりますが、まだまだ使命も志も果たしていないので元気をなくしている暇はありません。それに、60歳になれば「還暦祝い」が待っています。「渡辺さんや上島さんはきちんと還暦を祝われたのかな?」と思っていたら、有吉さんから上島さんから祝われている動画を発見しました。上島さんはすごく幸せそうで、その動画を観ながら悲しくなりました。



きっと、渡辺さんも愛する家族から還暦を祝われたのだと思います。しかし、世の中には「年寄り臭くなるから、還暦祝いなんかしなくていいよ」と還暦祝いを拒絶する人も多いといいます。たしかに昔と違って、現代の60歳はそれほど老人ではありません。だからといって、還暦祝いをはじめとした長寿祝いを行わないのは危険なことであると思います。というのも、長寿祝いなどの儀式には不安な「こころ」を安定させる「かたち」だからです。誰でも年齢を重ねて嬉しい人はいません。体も衰えるし、死期も近づくわけですから不安になるのが当然です。でも、家族や仲間たちが長寿を祝うことによって、その不安を安心に変えるのが「祝い」というもののパワーです。わたし自身は、来年、買い置きしている赤のレザーのジャケットでも羽織って、盛大に還暦祝いをしたいと思っています。最後に、リアクション芸の第一人者として伝統芸能の域にまで極めた「竜兵ちゃん」こと上島竜兵さんの御冥福を心よりお祈りいたします。合掌。


2022年5月12日 一条真也