『独言』 

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『独言〜互助会から互助社会へ』(2010年12月刊行)

 

今回は、『独言』をご紹介します。2010年12月に刊行したブックレットです。
タイトルは『独言』です。「互助会から互助社会へ」というサブタイトルがついています。内容は、これまで業界紙に連載していたコラムをまとめたものです。このブックレットには、以下の50本のコラムが収録されています。

 

01  数の世界
02  神隠し
03  太陽と死
04  天才の時間
05  イラクと沖縄
06  SARSの悪夢
07  人の道を提供して
08  心の中の花
09  夫婦工場
10  二つの非常ベル
11  感染症の道
12  心の闇はほどけたか
13  バーチャルからリアルへ
14  相互扶助の実現
15  ローマ人に学べ
16  玄侑宗久
17  朝鮮半島
18  地震列島
19  ほととぎす
20  8月9日
21  老いの神話
22  冠婚葬祭映画
23  会社は社会のもの
24  オウム判決
25  韓国で礼を語る
26  教養こそ真の富
27  丹波哲郎
28  スピ系ブーム
29  千の風になって
30     仲人がいますか?
31     使命と志
32  グリーフワーク
33     読書の秋
34  心に残る仕事
35  素敵な仕事
36  母の日
37  中国人に教える論語
38  おくりびと
39  ドラッカーの法則
40  ミッション
41  鎮魂としての歌
42  悼む人
43  隣人祭り
44  皆既日食
45  ドラの音を鳴らせ!
46  冠婚葬祭の感動実話
47  沈まぬ太陽と敬天愛人
48  葬式は必要!
49     家族の絆
50     孤独死に学ぶ


『独言』の目次

 

わたしは、2002年の8月より、一般社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)が隔月で刊行している「互助会通信」の巻頭コラム「独言」を「一条」の名で書いています。コラム執筆を引き受けたのは、当時わたしが全互協の広報委員だった関係からでした。全互協は冠婚葬祭互助会業界の全国団体です。互助会事業の法制化に伴って、1973年に誕生しましたが、わが社の佐久間進会長が全互協の初代会長を務めました。わたしは現在、副会長を務めています。

                                  
「互助会通信」の第1面

 

では、冠婚葬祭互助会、いわゆる互助会とは何でしょうか。
互助会はその名の通り、「相互扶助」をコンセプトとした会員制組織です。
終戦直後に横須賀市で生まれ、全国に広まっていきました。その歴史は60年ほどですが、実はきわめて日本的文化に根ざした「結」や「講」にルーツはさかのぼります。

 

「結」は、奈良時代からみられる共同労働の時代的形態で、特に農村に多くみられ、地域によっては今日でもその形態を保っているところがあります。一方、「講」は、「無尽講」や「頼母子講」のように経済的「講」集団を構成し、それらの人々が相寄って少しずつ「金子」や「穀物」を出し合い、これを講中の困窮者に融通し合うことをその源流としています。このような「結」と「講」の2つの特徴を合体させ、近代の事業として確立させたものこそ、冠婚葬祭互助会というシステムなのです。

 

日本的伝統と風習文化を継承し、「結」と「講」の相互扶助システムが人生の2大セレモニーである結婚式と葬儀に導入され、互助会は飛躍的に発展してきました。
そして、全互協加盟の互助会は、社会貢献基金を立ち上げ、育ててきました。
これは、地域のさまざまな災害の救済、社会福祉事業、環境保全事業、国際協力など社会貢献活動を行う各種団体等への助成、並びに社会貢献に資する調査・研究を目的とした事業に対する助成を行うためのものです。

 

それによって、日本の生活文化と地域社会の発展に寄与することを目的としています。
現在、全互協では、社会貢献基金助成金交付を各種のNPOやボランティア団体などに対して行っています。そう、「互助会」から「互助社会」へ。それはまた、あらゆる人々を縁でつなぐ「有縁社会」のモデルでもあります。「無縁社会」が叫ばれ、生涯非婚に孤独死や無縁死が問題となる中、冠婚葬祭互助会の持つ社会的使命はますます大きくなると思っています。

 
『独言』の内容

 

「独言」は、2010年の8月25日号で、連載50回目を数えました。その前月の7月より、全互協の広報・渉外委員長に就任することになり、これを記念に、「独言」全50回分を収録したブックレットを作成するはこびとなったのです。コラムの話題は多岐にわたりますが、いずれも互助会の本来の意義、そして可能性を問うたつもりです。わたし自身、互助会の本質について考える良い機会となりました。

 

2022年5月8日 一条真也