『沖縄力』

一条真也です。
わたしは、これまで多くのブックレットを刊行してきましたが、一条真也ではなく、本名の佐久間庸和として出しています。いつの間にか44冊になっていました。それらの一覧は現在、一条真也オフィシャル・サイト「ハートフルムーン」の中にある「佐久間庸和著書」で見ることができます。整理の意味をかねて、これまでのブックレットを振り返っていきたいと思います。 


『沖縄力』(2010年6月刊行)

 

今回は、『沖縄力』をご紹介します。2010年6月に刊行したブックレットです。守礼門首里城と同じ渋いエンジ色のブックレットです。地元を代表する新聞である「沖縄タイムス」の2009年11月から2010年3月まで連載したコラムをまとめたものです。このブックレットには、以下の5本のコラムが収録されています。
先祖を大切にする沖縄
祝宴には踊りと酒を
波の上ビーチで考える
無縁社会と沖縄
生年祝いを世界に!

 

5つのコラムの中でも、特に「「無縁社会と沖縄」を多くの方々に読んでほしいと願っています。このブックレットが刊行された2010年の1月に放映されたNHKスペシャル「無縁社会〜無縁死3万2千人の衝撃」は大きな反響を呼びました。日本の自殺率は先進国の中でワースト2位ですが、近年、「身元不明の自殺と見られる死者」や「行き倒れ死」などが急増しています。引き取り手のない遺体が増えていく背景には、日本社会があらゆる「絆」を失っていき、「無縁社会」と化したことがあるようです。 

 

 

かつての日本社会には「血縁」という家族や親族との絆があり、「地縁」という地域との絆がありました。日本人は、それらを急速に失っています。では、わたしたちが幸せに生きるためには、どうすべきか。わたしは、何よりも、先祖と隣人を大切にすることが求められると思います。まず、死者を忘れないということが大切です。わたしたちは、いつでも死者とともに生きているのです。死者を忘れて生者の幸福など絶対にありえません。

 

 

最も身近な死者とは、多くの人にとって先祖でしょう。先祖をいつも意識して暮らすということが必要です。もちろん、わたしたちは生きているわけだから、死者だけと暮らすわけにはいきません。ならば、誰とともに暮らすのか。まずは、家族であり、それから隣人ですね。考えてみれば、祖父母や両親とは生ける「先祖」です。そして、配偶者や子どもとは最大の「隣人」です。

 

現代人はさまざまなストレスで不安な心を抱えて生きています。空中に漂う凧のようなものです。そして、凧が安定して空に浮かぶためには縦糸と横糸の両方が必要ではないでしょうか。縦糸とは時間軸で自分を支えてくれるもの、すなわち「先祖」です。また、横糸とは空間軸から支えてくれる「隣人」です。この2つの糸があれば、安定して宙に漂っていられる、すなわち心安らかに生きていられる。これこそ、「幸福」の正体ではないかと思います。


沖縄力で無縁社会を乗り越えよう!

 

沖縄の人々は、日本中のどこよりも先祖と隣人を大切にします。しかも、それだけではありません。「いちゃりばちょーでい」という言葉は、「一度会ったら兄弟」という意味です。沖縄では、あらゆる縁が生かされるのですね。まさに「袖すり合うも多生の縁」は沖縄にあり! 


守礼門にて「天下布礼」の幟を持つ!

 

「守礼之邦」は、大いなる「有縁社会」なのです。 
すべての日本人が幸せに暮らすためのヒントが沖縄にはたくさんあります。今こそ、すべての日本人は「沖縄復帰」するべきです。そして、幸福力としての「沖縄力」を身につけなければならないと思います。ぜひ、沖縄力で無縁社会を乗り越えましょう!

 

2022年4月日 一条真也