MS責任者会議

一条真也です。
25日の15時から、 サンレー本社でサンレーグループMS責任者会議が開催されました。MSとは「MEMBERS SERVICE(メンバーズ・サービス)」であり、「MORAL SUPPORT(モラル・サポート)」のことです。日々、「人の道」としての冠婚葬祭の意義と必要性をお客様に説明している人たちです。ブルシット・ジョブの対極に位置する最重要の仕事です。

最初は、もちろん一同礼!

 

いつもは同じ会議室に全国の責任者たちが所狭しと一同に会するのですが、新型コロナウイルスの感染防止のため、福岡県以外のMS責任者たちはオンラインで参加しました。社長訓示の冒頭で、わたしはパソコン画面の向こうにいるMS責任者たちに向かって、まずは、「コロナ時代も終わりに近づいたかなと思ったら、最近になって陽性になったとか、濃厚接触者になったなどという話もチラホラ聞きます。ワクチンを3回接種しても油断せず、みなさんも感染対策には最大の注意を払って下さい」と述べました。

今日のマスクはオーシャン・ブルー


これからはモラルの時代!

 

それから、吉野家の常務取締役が不適切発言で解任された件に触れ、「アンモラルで汚い言葉にこそ真実がある」とか「モラルを重んじる発言はウソくさい」などの発想が時代遅れになったことを指摘し、「これからはモラルの時代であり、みなさんの仕事は重要!」と訴えました。この日に見本が届いたばかりの『論語と冠婚葬祭』(現代書林)も紹介しました。わが国の儒教研究の第一人者である加地伸行先生との対談本ですが、「礼とは何か」「なぜ冠婚葬祭が必要なのか」について徹底的に語り合いました。


マスクを外しました

論語と冠婚葬祭』を紹介

 

「礼」は儒教の真髄ともいえる思想です。そもそも礼(禮)という字は、「示」(神)と「豊」(酒を入れた器)から成るように、酒器を神に供える宗教的な儀式を意味します。古代には、神のような神秘力のあるものに対する禁忌の観念があったので、きちんと定まった手続きや儀礼が必要とされました。これが、礼の起源であるといわれます。こうした礼の観念が変質し、拡大していくのは、春秋・戦国時代からです。礼の宗教性は希薄となり、もっぱら人間が社会で生きていくうえで守るべき規範、つまり社会的な儀礼として、礼は重んじられるようになりました。『論語と冠婚葬祭』は、MSのみなさんにとっての最高の理論武装の書になるのではないかと思います。

LISTEN』を紹介

 

また、「みなさんの仕事の基本は、お客様、会員様の話を聴くことです」と言って、話題の書『LISTEN』ケイト・マーフィー著(日経BP)の内容を紹介しました。世界中で大ベストセラーになった同書には、「一生の友人をつくり、孤独ではなくなる、ただひとつの方法」として、「聞くことで他人の才能も共有できる」「友情を保ついちばんの方法は、『日常的な会話』」「うなずいたり、おうむ返しは『聞くこと』ではない」「孤独をいちばん感じるのは、『よいことが起こった』のに誰にも気づいてもらえないこと」「チームワークは、話をコントロールしたいという思いをやめた人のところにやってくる」「つじつまが合わない会話をそのままにしておくとだまされる」「『アドバイスを使用』と思って聞くと失敗する」「つまらないギャグを言う人は、大抵人の話を聞いていない」などと書かれています。非常に勉強になる本です。

ホワイト企業を目指そう!


熱心に聴く人びと

 

それから、「モラル」を重視した今後の企業の在り方について話しました。もともと企業というものは、目標を到達するためには無理してでもやれといった側面がありましたが、それは今ではハラスメントにつながる行為となりかねず、そんなことをしている会社は「ブラック企業」と呼ばれます。コロナ時代の営業とはケアの行為であるべきです。部下を管理する上司も、ハラスメント的管理ではなく、ケア的管理が必要です。ケア的管理をする会社は「ホワイト企業」と呼ばれます。そう、「ハラスメント」と「ケア」は反対語です。ハラスメントのプロ集団が暴力団だとしたら、互助会はケアのプロ集団であるべきです。その意味で、「暴力団」と「互助会」も反対語となります。

暴力団」の反対語は「互助会」!

 

暴力団といえば、ブログ「奥田知志さんの来社」で紹介した認定NPO法人抱樸さんは、日本で最も有名な暴力団の本部跡に一大福祉拠点を作ろうとされています。また、抱樸さんは、「2021北九州SDGs都市アワード」の一般部門の大賞を受賞されています。じつは、わが社は企業部門でSDGs奨励賞を受賞しました。他の受賞企業は製造業が多く、いわゆる非製造業ではわが社のみのようです。まことに名誉なことです。

SⅮGsについて話しました

 

SⅮGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」という意味です。「SDGs(持続可能な開発目標)は、国連で採択された「未来のかたち」です。健康と福祉、産業と技術革新、海の豊かさを守るなど経済・社会・環境にまたがる17の目標があり、2015年の国連総会で全加盟国が合意しました。そして、2030年までにそのような社会を実現することを目指しています。感染症への対処、ワクチンなど医薬品の開発、「元に戻る」ためのレジリエント(復元力の高い)なインフラ構築、差別の撤廃、廃棄物の大幅削減、そして貧困の解消。これらはすべてSⅮGsの目標に含まれています。

全体として課題を解決せよ!

 

SⅮGs研究の第一人者である蟹江憲史氏は、著書『SDGs(持続可能な開発目標)』(中公新書)において、現代社会の多くの課題を大きく分けると、これらの課題は、経済の問題、社会の問題、環境の問題と3つに分けることができると指摘し、「より身近な言い方をすれば、カネ・ヒト・地球の問題である。それらは一見独立した問題のようにも思われるが、実はそれぞれが深く強く関連している」と述べています。課題が相互に関連しているということは、課題解決も一筋縄では行かないということであり、何かを解決しようとしても、総合的に考えて行動を取らない限り、全体として課題を解決できません。

サンレーズ・アンビション・プロジェクト」とは?

 

わが社は「サンレーズ・アンビション・プロジェクト」として、「天下布礼」を進めています。具体的には「社会貢献」「有縁社会再生」「老福社会実現」「グリーフケア」の4つのカテゴリーで数多くのプロジェクトを推進しています。最近、わが社の社会貢献事業が多大な注目を集めています。わが社の大志、すなわちサンレーズ・アンビションが次々に「かたち」となっているのです。

晴れ着の無償提供について

 

まず、わが社では今年から児童養護施設に入居している新成人に晴れ着などを提供し、記念の写真を撮影する取り組みを始めました。昨年12月4日、北九州市児童養護施設で暮らす新成人2人が 松柏園ホテルで晴れ着を選び、今年1月9日に行われた北九州市の成人式式典には、この晴れ着で出席されました。また、わが社は同様に経済的理由から七五三の晴れ着撮影ができない北九州市内の6児童養護施設の児童に対しても、今年から晴れ着の提供を呼びかけ、計28人の児童が七五三の晴れ着姿を撮影しました。良い思い出になったようで、お礼のお手紙や絵が届いたときは涙が出るほど感動しました。

ソーシャルビジネスとは何か?

 

さらに、昨年12月より、わが社が指定管理者を務める天然温泉「ふるさと交流館 日王の湯」(田川郡福智町神崎)で「子ども食堂」を開催し、小中学生を無料招待しています。これらの活動は大きな話題となり、全国紙をはじめとしたマスコミ各社からも取材の申し込みが相次ぎました。取材ではよく、「なぜ、このような社会貢献事業をされるのですか?」という質問があります。わたしは、「わが社の本業である冠婚葬祭互助会はソーシャルビジネスだからです」とお答えしています。ソーシャルビジネスとは、高齢者や障がい者の介護・福祉、子育て支援、まちづくり、環境保護地域活性化など、地域や社会が抱える課題の解決をミッション(使命)として、ビジネスの手法を用いて取り組むもの。「人間尊重」としての礼の精神を世に広める「天下布礼」の実践です。

すべての人に儀式を提供したい!

 

晴れ着の無料レンタルは、儀式というわが社の本業というべきものの意味と価値を世に広く問うものです。七五三は不安定な存在である子どもが次第に社会の一員として受け容れられていくための大切な通過儀礼です。成人式はさらに「あなたは社会人になった」というメッセージを伝える場であり、新成人はここまで育ててくれた親や地域社会の人々へ感謝をする場です。長寿祝いも含めて、すべての通過儀礼は「あなたが生まれたことは正しい」「あなたの存在と成長をこの世界は祝福している」という存在肯定のセレモニーです。万物に光を降り注ぐ太陽のように、サンレーはすべての人に儀式を提供する志を抱いています。

冠婚葬祭が人類を存続させた!

 

これらの一連の活動は、SDGsにも通じています。SDGsとは「持続可能な開発目標」という意味ですが、要するに社会を持続させるために必要なことを実行するということ。そして、冠婚葬祭互助会は社会を持続させるシステムそのものであると考えます。結婚式は、夫婦を生み、子どもを産むことによって人口を維持する結婚を根底から支える儀式です。一方で葬儀は、儀式とグリーフケアによって死別の悲嘆によるうつ、自死などの負の連鎖を防ぐ儀式です。冠婚業も葬祭業も単なるサービス業ではありません。社会を安定させ、人類を存続させる文化装置です。

互助会こそはソーシャルビジネスであるべき!

 

そして、互助会の根本理念である「相互扶助」は、社会の持続性により深く関わります。貧困ゆえに入浴の習慣を知らない小学生がいるという。また、一日に一回しか食事ができない子どもがいるという。その事実を知り、「なんとかしなければ!」と強く思いました。SDGsは環境問題だけではありません。人権問題・貧困問題・児童虐待・・・・・・すべての問題は根が繋がっています。そういう考え方に立つのがSDGsであるわけです。その意味で入浴ができない、あるいは満足な食事ができないようなお子さんに対して、見て見ぬふりはできません。「相互扶助」をコンセプトとする互助会こそはソーシャルビジネスであるべきです。今回の受賞を機に、さらに「サンレーズ・アンビション・プロジェクト」を推進したいです!

最後は、もちろん一同礼!

 

コロナ禍を経て、わたしは「これからの社会は、冠婚葬祭互助会の時代ではないか」という思いがしてなりません。冠婚葬祭業は医療や介護と並んで、社会に必要なエッセンシャル・ワークであると考えています。そして、医療・介護・冠婚葬祭といったハートフル・エッセンシャル・ワークに従事する人々の待遇がもっともっと高くなる社会でなければならないと思っています。ぜひ、MS責任者のみなさんも、冠婚葬祭互助会の会員を増やすことは世直しであることを知り、「天下布礼」に努めていただきたいです。そして、想いを他人に伝えるときには、ブログ「日本一の式辞に感動!」で紹介した江頭2:50のように真心で話さなければいけません。今回は、こんな話をしました。

 

2022年4月25日 一条真也