タイソンに殴られたバカ(笑)

一条真也です。
マイク・タイソンといえば、ボクシング界のレジェンドで、元世界3団体ヘビー級王者。そんな彼が、航空機内で居合わせた乗客を殴打しました。


ヤフーニュースより

 

米メディア「TMZ」によると、タイソン氏は米サンフランシスコを離陸直前の航空機内で、しつこく話かけてくる男性にいら立ちを募らせ、何発ものパンチを浴びせたといいます。米放送局「CNN」は、タイソン氏の代理人を務めるジョアン・ミニャーノ氏の声明を紹介。フライト中に嫌がらせを受け、座席に座っていたタイソン氏が水筒を投げつけられたと説明しているといいます。


TMZがYouTubeに投稿している、タイソンの殴打シーンの57秒間の動画は大きな反響を呼んでいます。わたしも見ましたが、これは相手が完全に悪いですね。これなら殴られても仕方ありません。殴られた後、男性はこめかみあたりに、血とみられるものを滲ませていますが、カメラに向かって悲しい表情を見せたりして、おどけています。これを見て、タイソンが本気で殴っていないことは一目瞭然。だって、タイソンが本気で1発殴れば、彼は確実に死んでいますから。タイソンも優しいですね、どうせ殴るなら気絶ぐらいさせればいいのに!

 

 

昨日、『アントニオ猪木』瑞佐富郎著(新潮新書)という本を読みました。その中に、1976年に猪木とモハメド・アリ異種格闘技戦を行う1年目に某格闘家が語ったコメントが紹介されていました。その格闘家とは、「史上最強の柔道王」と呼ばれた木村政彦です。木村は、「私の体験では、最も真剣勝負に強いのはプロボクサーですよ。しかも、相手は世界チャンピオンのアリですからね。ボクサーで、しかもヘビー・ウェートのパンチはそりゃ強いよ・・・・・・。まあ、結果は言うも愚かなことでしょう」と語っています。そのヘビー級ボクサーの中でも「史上最強のハードパンチャー」と呼ばれたタイソンが素人を殴ったらどうなるか・・・小学生でもわかるでしょう。



猪木といえば、彼が立ち上げた新日本プロレスの道場には、連日、多くの道場破りが訪れたそうです。それを藤原喜明佐山聡前田日明といったシュートの猛者たちが迎え撃ち、ボコボコにしたそうです。関節技が決まって骨折する者も多かったそうですが、負傷した素人は病院まで連れて行って治療を受けさせ、必ず「新日本プロレス」で領収書を切ったそうです。なぜ、そんなことをしたかというと、勝敗をあいまいにして道場破りを帰してしまうと、「自分は負けなかった」「引き分けた」「新日本プロレスのレスラーも大したことなかった」などと言われてしまう恐れがあるからでした。それを絶対にさせないためにも、病院の領収書が必要だったわけですね。昭和のプロレス・ファンなら誰でも知っている常識です!



猪木はアリと戦いましたが、タイソンは猪木の弟子である前田日明や髙田延彦が対戦したかった相手です。それが叶わずに、前田はアレクサンダー・カレリン、髙田はヒクソン・グレイシーと戦ったわけですが、タイソンが格闘技の歴史に残るファイターであったことは間違いありません。わたしは、つねづね「動画投稿者はバカの集団」と思っているのですが、今回、タイソンに殴られた後にヘラヘラ笑って動画に写ったバカが「俺はタイソンに殴られたぜ」「タイソンのパンチなんか平気だぜ」などといった動画を投稿しないことを願います。また、アカデミー賞授賞式でクリス・ロックをビンタしたウィル・スミスの一件のように、「やっぱり、黒人はキレやすくて危険」などという間違った見方が浸透しないことを願うばかりです。



2022年4月22日 一条真也