旦過市場の大火事

一条真也です。
早朝に入った旦過市場の火災のニュースには驚きました。19日午前2時40分頃、北九州市小倉北区魚町の旦過市場の一角から出火し、少なくとも42店舗を焼きました。県警や市消防局によると怪我人はいないそうなので、不幸中の幸いですね。消防車両計27台が出動し、出火から約5時間後の午前8時前に鎮圧しました。


旦過市場は大正期から続く生鮮市場で、JR小倉駅から南約600メートルにあります。「北九州の台所」と称され、木造の古い建物が密集しています。約160メートルの通りを中心に鮮魚や精肉、青果など約110店舗が立ち並びます。北九州市は市場の老朽化と防災対策のため、2021年度から区画整理事業を進めていました。古い建物が多いだけに「火が心配だな」と多くの人が危惧していましたが、その心配が現実になりました。

ヤフーニュースより

 

わたしも小倉生まれの小倉育ちなので、旦過市場には親しみがあります。ここを訪れるのは主婦などの一般消費者だけではありません。料理店などの料理人も買い付けに訪れ、その様子はグルメ番組や旅番組でもお馴染みです。カメラを手に持って市場を徘徊する観光客の姿もよく見かけます。北口側入口の右にはスーパーの「丸和」があります。ここは日本初の24時間営業型スーパーとして有名な店で、かの故中内功氏も「主婦の店ダイエー」を創業する前に視察に訪れています。


旦過市場の北口側入口全景

 

旦過市場が出来たのは、大正時代の初期です。
隣接する神嶽川から魚の荷揚げ場として成立したのです。その後、田川や中津方面からの野菜が集積され、現在のような市場となったそうです。市場はアーケードになっており、鮮魚・青果・精肉・惣菜などを扱う店が並んでいます。九州を代表する市場として、よく福岡市の柳橋連合市場と並び称されることが多いです。


昭和の香りがプンプン漂ってきます

映画「初恋」撮影のロケ地になりました

 

さて、わたしは、1963年つまり昭和38年生まれです。旦過市場に連なる店舗は昭和30年代に建てられた木造建築が密集しています。1960年代を時代背景とした映画「初恋」の撮影ロケーションもこの市場で行われました。68年の「三億円強奪事件」をテーマとして、宮崎あおい小出恵介が主演した2006年公開の映画ですね。なかなか泣ける名作でした。小出恵介は良い俳優だったけど、もう俳優として復帰しないのかな?



ちなみに北九州市は、映画撮影ロケ地として全国でも非常に有名です。築80年近くになるわがボロ家は、映画「精霊流し」のロケ地にさせてほしいとの依頼がありました。主人公の母親である松坂慶子が住む家として撮影したいとのことで、田中光敏監督以下のスタッフ大勢がわが家に下見に来られました。また、川本三郎原作で妻夫木聡が主演した映画「マイ・バック・ページ」では、わが社の松柏園ホテルをなんと昭和40年代の帝国ホテルとして撮影したいとのオファーもありました。どちらも思うところあって、お断りしましたけれども・・・・・。


「こどもの日」の旦過市場にて

 

ブログ「旦過市場」に書いたように、2013年5月5日の「こどもの日」、わたしは旦過市場を久々に散策しました。昭和の香りがプンプンする市場を歩きながら、わたしは子どもの頃を思い出していました。さらに市場の先に進むと、出口近くにある「旦過うどん」の店先からオデンの美味しそうな匂いが漂ってきました。


「旦過うどん」からオデンの匂いが・・・・・

これが旦過名物「イワシのぬか炊き」です

「かやくうどん」は、なつかしい味がしました

 

中に入って、オデンをつまみながらビール大瓶を1本飲み、市場名物の「イワシのぬか炊き」と「かやくうどん」を食しました。本当は冷酒なども飲みたかったのですが、この後、市場のすぐ近くの小倉昭和館で映画の二本立てを観る予定だったので我慢しました。アルコールが入ると眠くなりますから。「こどもの日」の旦過市場散策は、わたしをノスタルジーに満ちた昭和の時代へとタイムトリップさせてくれる心の旅となったのでした。


旦過市場のすぐ近くに小倉昭和館が!

 

2022年4月19日 一条真也