「君のひとみは10000ボルト」

一条真也です。
27日の新型コロナウイルスの新規感染者は東京が16538人、福岡県が3955人で、ともに過去最多でした。わたしは普段あまりテレビを観ないのですが、コロナ情報を得るために夕食時にニュース番組を観ていたら、ブログ「アンビショナリーCM」で紹介した資生堂の150周年記念CMが流れていました。


「『美しさとは、人のしあわせを願うこと。』篇」と題されたCMは、資生堂が発信してきたメイクやライフスタイル提案の歴史を最新技術で表現しています。安藤サクラ池田エライザ石田ゆり子小松菜奈、近藤華、長澤まさみ広瀬すず前田美波里の8人の女優が出演する豪華版ですが、CM楽曲には、1978年の資生堂「ベネフィーク」キャンペーンソングである堀内孝雄の「君のひとみは10000ボルト」を中村佳穂がカバーしたバージョンが使用されています。この44年前の曲が素晴らしい!


この歌は当時アリスのメンバーだった堀内孝雄のシングル曲ですが、作詞は同じアリスの谷村新司で、作曲は堀内孝雄。1978年の年間第4位に輝くなど、90万枚を越す大ヒットとなりました。同年の「資生堂化粧品」秋のキャンペーンソングで、モデルはルーシー島田でした。今回の150周年記念CMでは、ルーシー島田と同じコスチュームを池田エライザが着ています。この曲は始めから資生堂のCMソング前提として作られた曲であり、タイトルも資生堂が決めたものでした。資生堂本社での打ち合わせの席で担当者が「テーマをお伝えします」と切り出し、競合他社があるため他言無用としながら「君のひとみは10000ボルト」とのみ書かれた紙を封筒から出して見せ、堀内が記憶したことを確認するとすぐに封筒に戻したそうです。資生堂からはそれ以上の説明はなかったといいます。


元々この曲はアリスで依頼が来ていましたが、谷村がアリスでのコンサートツアー中、膵臓の疾患でのどが腫れ、声も出ない状態で長期入院することになりました。しかし、「資生堂のキャンペーン・テーマはやれば絶対に売れる」ことから、どうしてもやりたかったそうです。そこで、堀内のソロで打診したところ資生堂側からOKが出たとか。帰宅した堀内が谷村にタイトルの件を伝えると、谷村は困惑しながらもインパクトのある歌詞を書き上げました。堀内も曲のイメージが膨らみ、曲が完成すると何度も自分で歌い、曲を発表する前に堀内自身の中で大ヒットしていたと語っています。なお、レコードのジャケット写真で着用したTシャツは下北沢で買った私物でした。リリースされて約1ヶ月でオリコン・シングルチャートの3位に初登場し、翌週には1位を獲得しています。



改めて歌詞の素晴らしさを痛感しますが、まるでロマン派の詩のような歌い出しの「鳶色のひとみに誘惑のかげり」の後に「金木犀の咲く道を」と「銀色の翼の馬で」と続きますが、「金」と「銀」がさりげなく入っているところが秀逸ですね。「二十世紀のジャンヌ・ダーク」や「季節はずれのミストレル」といったフレーズも洒落ています。ちなみに「ミストレル」とはマスター(主人)の女性版で「女主人」という意味です。転じて、オーケストラのコンサートマスターが女性の場合に使われます。 たぶん「ミストラル」の間違いだと思います。 ミストラルとは冬から春にかけて、アルプス山脈から地中海に吹き下ろす冷たい北風のことです。今からでも歌詞を「ミストラル」に変えるべきだと考えるのは、わたしだけでしょうか?


当時、スナックなどではオッサンたちがカラオケで「10000ボルト」を誤って「ひゃくまんボルト」とよく間違って歌っていました。堀内本人も「よく間違えられるんですよ。“ひゃく”の方が言いやすいんだな。どうせなら“ひゃく”にしておけばよかった」と、テレビで大人の対応を見せていました。YouTubeでは、この曲をアリスと山口百恵が一緒に歌っている動画を観ることができますが、百恵の歌の上手さには驚きます。特に、2番の出だしのところが魅力的です。


この歌は山口百恵だけでなく、松田聖子も歌っています。1983年8月25日の「ミュージックフェア」で、堀内孝雄松田聖子時任三郎・イリア(ジューシーフルーツ)という夢のようなセッションが実現しました。2番を歌った時任三郎の歌唱力にも痺れますが、188センチという彼の背の高さも目につきます。そして、何よりも聖子の可愛らしさとキャンディー・ボイスが最高! 最近とても辛い出来事があり、深い悲嘆に暮れているであろう彼女ですが、なんとか立ち直って、また素敵な歌声を聴かせていただきたいですね。その日を心から待っています!



山口百恵松田聖子といった日本芸能界のスーパー・アイドルだけでなく、「アジアの歌姫」もこの名曲を歌いました。今は亡きテレサ・テンです。1987年11月に堀内孝雄とデュエットしたのですが、優しく、穏やかに歌う彼女の歌には不思議な魅力があります。わが社の創立50周年記念旅行で台湾に行ったとき、彼女のお墓参りをしたことを思い出しました。テレサ・テンも、山口百恵も、松田聖子も「二十世紀のジャンヌ・ダーク」でした。そして、その「ひとみ」は10000ボルトでした!

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日本人よ、元気になれ!

 

オミクロン株の感染拡大で日本列島がコロナ“第6波”の真っ最中に流れている「君のひとみは10000ボルト」はすべての日本人への応援歌だと思います。わたしも、この歌を早くカラオケで歌いたいです。恥ずかしながら「1000のカラオケ・レパートリーを持つ男」の異名があるわたしですが、じつはこの歌は一度も歌ったことがありません。でも、低音からスタートして、サビで高音になるこの歌は絶対に俺に合っているはず!

 

2022年1月28日 一条真也