「縁づくり」サポート

一条真也です。
25日、サンレー社長室に「月刊フューネラルビジネス」(総合ユニコム)2月号が届きました。同誌は冠婚葬祭業界のオピニオン・マガジンですが、最新号は「『おひとりさま時代』のエンディングサービス」を特集しています。

f:id:shins2m:20220125170112j:plain「月刊フューネラルビジネス」2022年2月号の表紙

f:id:shins2m:20220125152848j:plain「月刊フューネラルビジネス」2022年2月号

 

特集記事のリード文には、「2020年国勢調査によると、1世帯当たり人数は全国平均が2.27人となり5年前の調査時から0.11人減少している。なかでも東京は1.95人と全国初の2人割れとなっている。この単身世帯増の流れはつまり、血縁関係者の減少、地縁的なつながりの希薄化を意味する。こうした時代を迎えるなか、次代のエンディングサービスはどうあるべきか。その解を先取りすることが、今後の葬祭事業者に求められている。事実、すでに『新たな縁を創出する場の提供』『看取り支援』を事業領域に加える事業者もあり、今後は独居者が亡くなった際の『一時安置所』の重要性の高まり、さらにその後の葬儀、火葬後の埋葬先、そして相続手続きや不動産の売買・仲介なども『おひとりさま時代』には必須のサービスといえる。今号では、こうしたエンディングサービスを包括的に概観し、葬祭事業者に求められるエンディングサービスのあり方についてケーススタディを中心に探る」と書かれています。

f:id:shins2m:20220125152918j:plain「月刊フューネラルビジネス」2022年2月号

 

その特集記事の事例の冒頭に、わが社が取り上げられています。「深刻化する超高齢都市・北九州でいち早く『縁づくり』」サポートに注力」のタイトルで、「北九州市を拠点に、福岡県、大分県、宮崎県、沖縄県の九州・沖縄エリアに加え、北陸の石川県で冠婚葬祭事業を展開する(株)サンレー(本社北九州市小倉北区、社長佐久間庸和氏)。同社では、グループ全体で年間1万1,630件(20年度実績)の葬儀をとり行なっているが、葬儀施行のみならず遺族ケアにいち早く取り組むことでホスピタリティ溢れる体制を構築している」とのリード文が書かれています。
続いて、「2010年、遺族ケアの受け皿となる『月あかりの会』を発足」の小見出しで、こう書かれています。
「同社が遺族ケアに本格的に注力したのは2010年6月のこと。展開するサンレーグランドホール内に開業した『ムーンギャラリー八幡店』、同年10月、サンレー 小倉紫雲閣隣りに開業した『ムーンギャラリー小倉店』と同時に、紫雲閣で葬儀を行なった遺族を対象とした遺族会として発足した『月あかりの会』がそれだ。発足にあたっては、同社を率いる 佐久間庸和社長が、欧州の葬祭事情を視察するなかで遺族ケアの重要性を感じ、積極的に取り入れるべきと判断したこともあるが、国内においては公益社(現燦ホールディングスグループ)が03年に立ち上げた『陽だまりの会』も大いに参考にしたという。『月あかりの会』(入会無料)発足に当たって、基本コンセプトに掲げたのは以下の4つ。
・癒し
深い悲しみにある人が、前向きに生きていくということができるように、安心感を与え、癒しに役立つもの(手元供養品、グリーフブック等)を紹介し、さまざまなサポートを行なう
・集い
会食や慰霊祭、月例会を開催し、伴侶や身内を亡くした同じような境遇の人々が安心して集える場を提供。故人は私(遺族)と人々のなかにいることの確信をもつ機会とする(機会の提供、定期イベントの開催)
・学び
セミナーやカルチャー教室等を開催し、次の目標をみつけてもらうなど、学びあえる機会を提供する(共通の趣味の方とともに学び、友人やパートナー等の新たな人間関係づくりのお手伝い。新たな趣味の発見のお手伝いをする)
・遊び
定期的にバス旅行を開催し、参加者が和やかに楽しむことのできる機会を提供する(「縁」を結ぶ機会を提供)
これらのコンセプトに基づく活動内容としては、各地の遺族をそれぞれの紫雲閣に招いて行なう慰霊祭のほか、年2回の会報誌発行、3か月に1回の頻度で行なうバスツアーの開催(20~40人程度。ただし、コロナ禍では開催せず)、毎週水曜日に自助グループとして『うさぎの会』(後述)の開催、毎年4月に沖縄にて合同慰霊祭と海洋散骨の実施などがある。各地区で行なわれる慰霊祭は年間16回開催され、そのうち8回は一周忌を迎える遺族を、残り8回は三回忌を迎える遺族を対象とし、無宗教形式による献灯式や物故者の名前・命日の読上げ、『禮鐘の儀』による黙祷・追悼の言葉、さらには音楽鑑賞による癒しの時間を提供するミニコンサートなどが行なわれ、最後に全員で食事をとる形式で進められている」

f:id:shins2m:20220125152937j:plain「月刊フューネラルビジネス」2022年2月号

 

続いて、「なお、会員登録は原則、三回忌を迎えた時点で抹消されるが、希望して会員を続ける人も多いほか、三回忌までの間に ムーンギャラリーのイベントに参加した人も会員として登録が残され、21年11月時点では1,410人ほどの登録者数となっており、これまでの延べ登録会員数は実に1万4,000人超と、ちょっとした自治体規模に相当するものとなっている。参考までに、北九州市における65歳以上の高齢者人口は29万1,695人。人口93万9,961人に対して高齢化率は31.0%(いずれも21年3月末時点の住民基本台帳より)。一方、20年国勢調査における世帯数をみると、全43万6,245世帯中、単身世帯数は17万7,958世帯で40.9%。次いで2人世帯が12万8,792世帯(29.6%)と、群を抜いて単身世帯が多い都市でもある。つまり月あかりの会は、北九州市が直面する超高齢社会への対応策として立ち上がっていると捉えることもでき、その中心に据えられたのが同社で施行した遺族へのサポートといえる」とも書かれています。
さらに、「結んだ縁が広がる自助グループ『うさぎの会』」の小見出しでは、以下のように書かれています。
「前述のように、月あかりの会は同社で施行した遺族に対するグリーフケアの場として発足したが、月あかりの会をとおして会員から自発的に誕生した会がある。それが、自助グループ『うさぎの会』である。うさぎの会は、月あかりの会が主催するバスツアーをとおして仲良くなったレギュラーメンバーが中心となり誕生したもので、『バスツアーだけで仲間と会うだけでは物足りない』という声に押されて集会日を毎週水曜日と決めて発足した会で、『うれしいとき、さびしいとき、ぎゃらりーに集まりましょう』というキャッチフレーズからその名称がつけられている。
コロナ禍以前、毎週25~30人の参加者(登録は40人、そのうち男性は4人)。おひとりさまはもちろん、夫婦や親子で参加する人も多く、内訳としては『子どもを亡くした方』『伴侶を亡くした方』『親を亡くした方』といった構成となっている。参考までに、うさぎの会のある1日の時間割をみると、午前9時からムーンギャラリー1階で同社スタッフが受付を行ない10時からラジオ体操を行う。10時10分から班長(毎月交代)が点呼・朝礼を行ない、同社社員による挨拶を経て、歌の時間(コロナ禍では実施せず)、フラワーアレンジメントに没頭(ここまでが必修)してもらい、各自が持参した昼食をとりながら会話を弾ませ、午後からは気の合う仲間が集まり、各々のグループ活動がなされる。同社では、『遺族間でコミュニケーションが自発的に生まれるこの瞬間こそとても重要な時間』とみている。会員それぞれが能動的に関わり合い、安心して話ができ、また聴いてあげられる関係となり、互いにありのままを受け入れることができる自助グループとしてお互いをケアする関係となっているとみているようだ。
うさぎの会は、これまでの日常生活では知り合うことすらなかった会員との出会いとなり、ある意味、生きる糧、つまりは生き甲斐を会員同士で享受しあうことができる場としての位置づけといえよう」

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続いて、「同時に、遺族らにとって重要なのは、同社がこのために用意した『ムーンギャラリー』の存在そのものだ。本来、グリーフケアは同社が展開する紫雲閣で事足りるともいえる。この点について同社紫雲閣事業部紫雲閣事業課課長兼グリーフケア推進課課長を務める市原泰人氏は、『特に意図したわけではありませんが、葬祭会館とは異なる雰囲気にすることで気軽に立ち寄ることができる場所であってほしいという思いはありました。 ムーンギャラリーにはグリーフケアに関しての本を置き、無料で貸出しを行なったり、2年ほど前から会員様からのご要望もあり、ムーンギャラリーカフェとして軽食の提供(有料)も行なっています』と、気軽に立ち寄ることができ、居心地よく安心感が得られる施設づくりをイメージしている。 
また、うさぎの会をはじめ、基本的に会員間で自発的に生まれたイベントや教室などについては、同社スタッフはちょっとしたアドバイスを行なう程度にとどめ、主たる運営は会員に委ねていることも特徴。『深く関与することは簡単ですが、せっかくつながった方同士が自発的に行動されようとしていることに対して、当社スタッフがお仕着せのようにアドバイスをしてしまっては、それこそ会員様の生き甲斐を削いでしまうことになりますので・・・・・・』と市原課長は謙遜するが、会員の主体性を最優先し、困りごとがあればサポートするというスタンスが、会発足後、10年以上もつづく運営のキモなのかもしれない。その証左として、同社では悲嘆にくれる遺族に無理なく笑いを提供する場として『笑いの会』を月1回開催するなど、多方面から遺族らのグリーフケアサポートを実践しているのだ」と書かれています。
そして、「拡大する同社の縁づくりを支える人材教育・施設づくり」の小見出しで、以下のように書かれています。
「同社が繰り広げる『縁づくり』は、サンレーが手がける施設づくりにも反映されている。それが『三礼庵』ブランドである。三礼庵は、同社が展開する紫雲閣と同じく葬祭会館であるが、“葬儀も行なう”コミュニティハウスとして位置づけられているのが特徴。現在、3施設を展開中。『子ども110番の家』『赤ちゃんの駅』への登録や、常備薬、AEDの設置などにも注力するほか、映画、演劇、音楽コンサートなども上演できる地域のコミュニティセンター、カルチャーセンターとしての機能を有するものだ。また三礼庵では紫雲閣と同様、地域の方が集まって会合やカルチャー教室を行なっているが、そういった活動に対しては無償で施設を開放している。これは、前述した北九州市が抱える超高齢社会を地元企業として地域を支え続けるという意思表示であり、その背景には月あかりの会をとおして痛感した地域コミュニティ創出の大切さがあるに違いない。同社では、既存の紫雲閣も含め、地域に開放する機会を設けているが、これもそうした活動の一貫でもある。同社におけるグリーフケアをとおした活動は現在、(一財)冠婚葬祭文化振興財団が21年6月から運用をはじめた『グリーフケア士』へと受け継がれつつある。葬儀を介してつながった縁は今後、ますます重要な意味を占めてくるのかもしれない」

f:id:shins2m:20220117085340j:plain サンレーズ・アンビション・プロジェクト(SAP)

 

2022年1月25日 一条真也