死を乗り越えるゴッホの言葉

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死人を死んだと思うまい。
生ける命のあるかぎり、
死人は生き、
死人は生きていくのだ。ゴッホ

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、オランダの後期印象派の画家であるフィンセント・ファン・ゴッホ(1853年~1890年)の言葉です。ゴッホの代表作には、「ジャガイモを食べる人々」「ひまわり」「糸杉と星の見える道」「星付き夜」「カラスのいる麦畑」などがあります。



生前に売れる画家はいない――といわれます。天才・ゴッホはその最たる例といえる存在でした。しかし、彼の天才性はけた外れです。実質的な活動期間である10年間のうちに素描を含めた総制作数は2000点以上にものぼっているからです。本格的な絵の勉強してこなかった画家が描ける量ではありません。ただ生涯で売れた絵は一枚だけ。しかも彼を支え続けた弟テオが購入したものだったといいます。テオもまた兄が死んだあと、その後を追うように亡くなりました。

 

 

ゴッホは今でいえば、定職にもつけない、社会の落後者とようにいわれていました。美術商を辞職した後、職を転々とし、牧師を志す時期もありましたが、挫折します。社会に適合できない人間というレッテルを貼られ、その後、画家としての活動を始めます。自ら命を絶つ1890年まで、絵の製作に没頭したといいます。人生の最期を自殺で終えたゴッホ、彼の死生観をこの言葉から読み解こうとするとき、死人を「絵」「作品」と言い換えてもいいのかもしれません。なお、このゴッホの言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。

 

 

2021年12月20日 一条真也