一条真也です。
12月10日はタイトなスケジュールでした。ブログ「『朝日新聞』取材」、ブログ「『ふくおか経済』取材」で紹介したように新聞や雑誌の取材を受けた後、九州国際大学(九国大、KIU)のキャンパスへ。わたしは同大学の客員教授として「教養特殊講義」を担当していますが、昨年は新型コロナウイルスの影響でオンライン講義、それも動画収録でした。この日、「ドラッカー研究」のリアル講義を行いました。やはり、LIVEは最高!!
九州国際大学のキャンパスで
講義前のようす
野村副学長の挨拶
みなさん、こんにちは!
ブログ「2年ぶりの孔子講義」で紹介したように、前回は12月3日に「孔子からのメッセージ」と題した特別講義を行いました。前回の評判がクチコミで広まったようで、この日もコロナ禍にもかかわらず、前回同様に100名もの学生さんが受講してくれました。野村副学長の御挨拶の後、レディッシュパープルの不織布マスクに同色のネクタイとポケットチーフをつけて登壇したわたしは、「九国大の学生さんたちが幸せな人生を送るヒントになるような内容のある講義をしたいと思います」と述べました。それから、まずは前回の講義の質問について真摯に答えました。
「前回の講義での質問」に答える
この日は、『最短で一流のビジネスマンになる!ドラッカー思考』(フォレスト出版)の内容に沿って、「自己実現」「マネジメント」「マーケティング」「イノベーション」「リーダーシップ」「未来創造」という6つのドラッカー思考を紹介し、自分の考えも述べました。
2009年の3つの符号について
「ドラッカー思考」とは何か?
ドラッカー著書と功績を紹介
ドラッカー著書と功績を紹介
2001年10月に社長に就任して以来、わたしは経営学者ピーター・ドラッカーの全著作を精読し、ドラッカー理論のもとに会社を経営していると自負しています。彼の遺作にして最高傑作である『ネクスト・ソサエティ』(ダイヤモンド社)に感動し、同書をわたし個人に対するドラッカーからの問題集ととらえ、『ハートフル・ソサエティ』(三五館)というアンサーブックを上梓したくらい彼をリスペクトしています。2009年のドラッカー生誕100周年の年には、『ドラッカー思考』を上梓しました。
「ネクスト」から「ハートフル」へ!
心ゆたかな社会へ!
「知の巨人」たちについて
「マネジメントの父」とも呼ばれたドラッカーは、世界最高の経営思想家でした。経営学そのものの創始者でもあります。ウィーン生まれですが、ナチスを嫌ってアメリカに移住し、長らくカリフォルニア州クレアモント大学の大学院で教授を務めていました。20世紀において、世界のビジネス界に最大の影響を与えた思想家であり、東西冷戦の終結、転換期の到来、社会の高齢化をいち早く知らせるとともに、「マネジメント」という考え方そのものを発明しました。また、マネジメントに関わる「分権化」「目標管理」「経営戦略」「民営化」「顧客第一」「情報化」「知識労働者」「ABC会計」「ベンチマーキング」「コア・コンピタンス」、そして「選択と集中」などの理念の生みの親で、それらのコンセプトを発展させました。
ドラッカーについて熱く語る
「自己実現」の自己刷新について
ドラッカーは、「自己実現」の大切さを強調してきました。そして、そのための「自己刷新」や「自己啓発」の大切さを説きました。わたしは、よく講演などで若いビジネスピープルに「自己刷新」という考え方を伝えています。今日も学生さんに、「あなたは何によって記憶されたいか?」「あなたは何をしているのですか?」「あなたは何になりたいですか?」といった問いを投げかけ、自己刷新・自己啓発・自己実現の重要性を訴えました。
「マネジメント」について
マネジメント≒経営管理
それから、「マネジメント」について語りました。「マネジメント」という考え方は、ドラッカーが発明したものとされています。ドラッカーが発明したマネジメントとは何でしょうか。ドラッカーは、『新しい現実』(上田惇生訳・ダイヤモンド社)で、「マネジメントとは、人にかかわるものである」「マネジメントの機能は人が共同して成果をあげることを可能とし、強みを発揮させ、弱みを無意味なものにすることである」「マネジメントとは、ニーズと機会の変化に応じて、組織とそこに働く者を成長させるべきものである。組織はすべて学習と教育の機関である」と述べています。このように、マネジメントとは一般に誤解されているような単なる管理手法などではなく、徹底的に人間に関わってゆく人間臭い営みなのです。そして「会社は社会のもの」というドラッカー思考のキモを説明。
マーケティングについて
「事業の定義」について
ドラッカーは、企業の2つの基本的機能として、マーケティングとイノベーションを定めました。また、「顧客の創造」としてのマーケティングと「価値の創造」としてのイノベーションを、マネジメントに不可欠の2つの要素と位置づけてもいます。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」と問うことが重要なのです。顧客を満足させることこそ、会社の使命であり、目的です。そして、自社が何の会社であるかを明らかにできるのは顧客のみです。自社がどのような顧客の欲求に対応し、どのような顧客満足に貢献しようとしているのかによって定められるのです。わたしは、自身が経営するサンレーが何を売っているかということも話しました。
「イノベーション」について語る
ブルー・オーシャン戦略について
それから、「イノベーション」について話しました。ドラッカーは、企業の2つの基本的機能として、マーケティングとイノベーションを定めました。また、「顧客の創造」としてのマーケティングと「価値の創造」としてのイノベーションを、マネジメントに不可欠の2つの要素と位置づけてもいます。ドラッカーの師である経済学者シュンペーターは何よりも「イノベーション」という考え方を重視しました。資源を陳腐化した古いものから新しい生産性の高いものへと移すイノベーションこそ、経済の本質であると主張し、その基盤となる「起業家精神」の存在を重視しました。起業家の行う不断のイノベーションが経済を変動させるというのです。
「リーダーシップ」について語る
誰だってリーダーになれる!
そして、「リーダーシップ」について語りました。ドラッカーが唱えた「チェンジ・リーダー」についての説明を行い、人類史上最大の社会的イノベーションとしての「明治維新」についても自説を展開しました。「明治維新」といえば、今月23日に150周年を迎えたばかりです。わたしはNHK大河ドラマ「青天を衝け」のエピソードなどもまじえて「明治維新」の特殊性を話しました。
「未来創造」について語る
最後は「ドラッカーの法則」を説明
それから、「未来創造」について語りましたドラッカーによれば、未来を知る方法もまた2つしかないといいます1つの方法は、すでに起こったことの帰結を見ること彼自身の予測についても、すでに起こったことの帰結、つまりすでに起こった未来を知らせたにすぎないそうです。そうやって、さまざまな兆候から、ドラッカーはソ連の崩壊を予測し、それを見事に的中させました。未来を知るもう1つの方法は、自分で未来をつくることです。具体的には、子どもを1人つくれば、人口が1人増えるといった話です。これなら、誰でも未来をつくることができますね。それと同じように、たとえ小さな会社でも何か事業を起こせば、世の中を変えてしまう可能性をもつのです。歴史はそうやってつくられるのだとドラッカーは言います。歴史とは、ビジョンを持つ1人ひとりの起業家がつくっていくものだというのです。最後に、わたしは「みなさんが未来を創ってください!」と訴えました。
講義の後は質疑応答の時間
学生さんから質問を受けました
真摯に答えました
盛大な拍手を受けました👏
講義の後は質疑応答です。まず、女子学生から「先生は、自分は他人からそのように記憶されたいと思いましたか?」と質問されました。ドラッカー思考の「自己実現」の自己刷新に関わる質問ですが、わたしは「ウソをつかない人間だと記憶されたいと思って生きてきました。ですから、今日の講義での発言にもウソや偽りは一切ございません。そこのところをヨロシク!」と言うと大きな笑いが起こりました。次に、これも女子学生から「多くの社員やその家族の生活がかかっていると思うと、プレッシャーがすごいと思います。プレッシャーに圧し潰されそうになることはありませんか。また、それを跳ね返すのはどうすればよいのですか?」という質問がありました。わたしは、「20年前に38歳で社長になったとき、家族を含めて数千人の方々を路頭に迷わせてはいけないと弱気になったこともありましたが、孔子とドラッカーの考えを学び、使命感と志というものを知りました。ミッションとアンビションがあれば、プレッシャーなど消えてなくなりました」と答えました。そして時間が来て、わたしの今年の大学におけるすべての講義が終了しました。最後は盛大な拍手を頂戴して、感激しました。すべての学生さんが幸福な人生を歩まれますように!
学生さんたちの幸福を祈ります!
2021年12月10日 一条真也拝