ムーンサルトレター200信達成!

一条真也です。
11月22日は「いい夫婦」の日ですね。
毎月、満月の夜ごとに、「バク転神道ソングライター」こと宗教哲学者の鎌田東二先生と交わしているWEB文通の「ShinとTonyのムーンサルトレター」が、ついに200信になりました。200ヵ月ですから、16年半かかっての200信達成です。われながら、これは凄い!

f:id:shins2m:20211122083001j:plain「ムーンサルトレター」第200信

 

Tonyさんは返信で「ムーンサルトレター、200信達成、何という快挙でしょう! 17年近くもこのレターを毎月満月の夜に交換してきたとは!」と喜んで下さいました。満月の夜に手紙を交わすから、「ムーンサルトレター」です。最初、鎌田先生は占星術研究家の鏡リュウジさんと満月の文通をされていました。「カマタトウジ」と「カガミリュウジ」、なんとなく2人の名前は似ています。さらに2人の顔も似ているということから、「ムーンサルトレター」を始められたそうですそのうち、鏡さんは「時の人」となって超多忙になりました。なかなかレターを書く時間が取れなくなり、鎌田先生は「Tonyのムーンサルト独りレター」というのを書いておられましたでも、やはり1人では寂しかったのでしょうか。次なる文通相手として白羽の矢を立てられたのは、わたしでした。

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法螺貝を奏上するTonyさん

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Tonyさんからの200信目のレター

 

こうして、2005年10月18日の満月の夜、わたしが第1信を書きはじめました。鎌田先生が20日に返信を書かれて、ついに「ShinとTonyのムーンサルトレター」がスタートしたのです。レター・ネームの「Shin」というのは鎌田先生がつけて下さいました。もちろん「一条真也」の「真」から取っているのですが、メソポタミア神話の最古の神である月神シンの意味もあるそうです。「Tony」というのは、鎌田先生の前世の名前だそうです。なんでも、先生がパリのセーヌ河のほとりを歩いていたとき、自分がかつてフランス人であったことを思い出されたとか。そのときの名前が「トニー・パリ・カマターニュ」(笑)というのだそうです。

f:id:shins2m:20211121190727j:plain日本経済新聞」2013年10月18日朝刊

 

記念すべき第1信の冒頭で、わたしは「敬愛する鎌田先生の満月レターのお相手に指名していただき、正直おどろいています」と書き出しました。そして、前任者の鏡さんがその第1信に「満月のごとに書簡を往復させようなんて、なんて素敵なアイデアなのでしょうか。こんなロマンティックな企画の相手に僕を指名してくださったこと、とても光栄に思います」と書かれてていたことに触れ、今の自分もまったく同じ気持ちであることをお伝えしました。


レターの前任者である鏡リュウジさんと

 

あれから早いもので、もう200信です。鏡さんが全部で41信でしたが、わたしはとてもそこまでは続けられないだろうと思っていました。じつは途中でフェードアウトすることも想定していたのですが、いまや16年半を超え、17年目になろうとしています。よく、ここまで続いたものです! 一度、鏡リュウジさんが小倉の松柏園ホテルに来てくれてお会いしました。鎌田先生抜きで新旧二人の文通者がコーヒーを飲んでいるのは、まるで夫抜きで前妻と後妻が直接会っているような不思議な感覚でした。(笑)

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「明るい世直し」をめざす2人

 

16年半の間、いろいろな話を鎌田先生としましたお互いの著書のこと、プロジェクトのこと、考えていること。話題も政治や経済から、宗教、哲学、文学、美術、映画、音楽、教育、倫理、さらには広い意味での「世直し」までまあ、わたしがある話題に終始すれば、鎌田先生はまったく違う話題に終始するといった形であまり噛み合っていないことも多いですが(笑)、これからもお互いが言いたいことをつれづれなるままに書き、たまにはスウィングしながら、少しでも「楽しい世直し」につながっていけばいいなと思っています。わたしが商売人の身であるにもかかわらず、さまざまな文化人や学者の方々とお話しても何とかついて行けるのは、鎌田先生との文通で展開している議論のおかげかもしれません。わたしには、「自分は日本を代表する宗教哲学者と文通を続けているのだ」という自負と、「だから誰と対話することになっても怖くない」という自信があります。

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満月シリーズ5冊

 

わたしたちの「ムーンサルトレター」は、本にもなりました。第1信~第30信が『満月交感 ムーンサルトレター(上)』(水曜社)、第31信~第60信が『満月交感 ムーンサルトレター(下)』(同)、第61信~第90信が『満月交遊 ムーンサルトレター(上)』(同)、第91信~第120信が『満月交遊 ムーンサルトレター(下)』(同)、そして第121信~180信が『満月交心 ムーンサルトレター』(現代書林)として単行本化されました。満月シリーズ5冊目となる『満月交心 ムーンサルトレター』ですが、今回は上下2巻に分けずに1巻としたので、すごく分厚いです!

f:id:shins2m:20211121191023j:plain満月交心 ムーンサルトレター』の分厚さを見よ!

 

21世紀になってから、むごい事件、災害が頻発し、人々は気の休まる暇もありません。アメリカの同時多発テロ、世界各国に起きた大規模地震、とりわけ東日本大震災、世界中で起こっている水害、大規模火災。そして、今回の新型コロナウイルスパンデミックは世界中を疲弊させ、大きな不安と深い悲しみをもたらした。今ほど、不安定な「こころ」を安定させる「かたち」としての儀式、悲しみに対処するグリーフケアが求められる時代はありません。ウィズコロナ、アフターコロナ、ポストコロナ、そしてビヨンドコロナを生き抜くヒントを本書から読み取っていただければ幸いです。満月の夜に「こころ」を交わすわたしたちは、ともに「明るい世直し」を目指しています!

 

ムーンサルトレター」のテーマソングは桑田佳祐の「月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)」だと自分で勝手に思っています。まあ、わたしたちは「聖者」ではなく「変人」かもしれませんが(笑)。しかし、16年以上もの間、満月の夜の文通を続けている鎌田先生との御縁に心から感謝しています。こうなったら、もう死ぬまで、いや死んだ後も文通を続けたいものです。23日、京都大学稲盛財団記念館で開催される「日本人と死生観」シンポジウムで共演した夜、わたしたちは京都市内の中華料理店でささやかな「200信達成祝い」を行う予定です。

f:id:shins2m:20211124093502j:plainムーンサルトレター」200信達成の祝杯をあげました

 

2021年11月22日 一条真也