死を乗り越えるフローベールの言葉

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人の死んだ後にはかならず茫然自失ともいうべき状態が起こってくる。思いもかけぬ虚無の訪れを理解し観念することはそれほどむずかしい。
フローベール

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、フランスの小説家であるギュスターヴ・フローベール(1821年~1880年)の言葉です。フローベールの代表作は医師の若妻が、姦通の果てに現実に敗れて破滅に至る様を描いた『ボヴァリー夫人』。他には『感情教育』『サランボー』『三つの物語』『ブヴァールとペキュシェ』など。

 

 

フローベールのこの言葉は、「グリーフケア」(悲嘆からの回復)の難しさを表現しています。 上智大学グリーフケア研究所の前所長である髙木慶子先生による「悲嘆を引き起こす七つの原因」というものがあります。
1.愛する人の喪失――死、離別(失恋、裏切り、失踪)
2.所有物の喪失――財産、仕事、職場、ペットなど
3.環境の喪失――転居、転勤、転校、地域社会
4.役割の喪失――地位、役割
           (子どもの自立、夫の退職、家族のなかでの役割)

5.自尊心の喪失
        ――名誉、名声、プライバシーが傷つくこと

6.身体的喪失――病気による衰弱、老化現象、
                                 子宮・卵巣・乳房・頭髪などの喪失
7.社会生活における安全・安心の喪失
(『悲しんでいい 大災害とグリーフケア』より)

 

 

このように、わたしたちの人生とは喪失の連続であり、それによって多くの悲嘆が生まれています。とくに東日本大震災の被災者の人々は、いくつものものを喪失した、いわば多重喪失者です。わたしたちの人生とは、ある意味で「出会い」と「別れ」の連続であり、別れに伴う「悲しみ」も影のように人生についてまわるのです。

 

2021年9月12日 一条真也