東京五輪よ!

一条真也です。
23日になりました。ついに今日、東京五輪の開会式が行われます。これまで当ブログで開催中止を訴えてきましたが、いま、ただただ大きな無力感に包まれています。

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ヤフーニュースより

 

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ヤフーニュースより

 

東京五輪開催の直前になって、IOC(国際オリンピック協会)のトーマス・バッハ会長の発言が物議を醸しています。新型コロナの感染拡大は人命に関わることであるにも関わらず「東京五輪を中止にする選択肢はなかったが、開催への疑念は持っていた」と発言したのですが、ネットでは「バッハ会長が今、開催に疑念があったって言うのは流石に卑怯&後出しジャンケン&無責任の最悪のミルフィーユじゃんね」「バッハ会長は五輪開催に疑念があったなどと急に言い出して梯子を外しにきてて嫌な予感」などと厳しい声が相次いでいます。

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ヤフーニュースより

 

また、菅義偉首相が米紙「ウォールストリートジャーナル」に語ったインタビューも大波紋を呼んでいます。21日に配信された同紙のインタビューで、東京五輪の開催を中止するよう周囲から何度も助言されたことを明かしながら、菅首相は「やめることは一番簡単なこと、楽なことだ。挑戦するのが政府の役割だ」と開催を強行した背景を明かしたのです。 この発言には非難の声が殺到し、ネット上では「やめるのは簡単? なら、すぐやめろよ」「即やめろよ! 五輪もアンタも!」と怒りを爆発させる声があふれかえっています。さらには「第二次世界大戦の時と一緒。日本国民の命を質に博打をうっている」と国民の生命を危険にさらし、ひたすら無謀な開催強行へ突き進む姿を大戦時と重ねる声も出ています。

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ヤフーニュースより

東京五輪招致時の総理大臣であり、IOCや大会組織委員会森喜朗会長(当時)などがコロナ禍の中で開催の2年延期を提言したにもかかわらず、1年延期を決定した安倍晋三前首相は、開会式への参加を見送るそうです。これには驚くとともに、強い違和感をおぼえました。正直、「逃げたな」と思いました。他にも、経団連の十倉雅和会長、経済同友会桜田謙悟代表幹事、日本商工会議所の三村明夫会頭の経済3団体のトップ全員も欠席。最高位スポンサーも、トヨタ自動車パナソニックをはじめ、多くの企業の社長が不参加を表明しています。そんな状況でも、天皇陛下は開会式に臨席され、開会宣言を行われます。わたしは開会式をテレビで見る気はしませんが、天皇陛下の開会宣言だけは拝見させていただきます。競技は、まったく観るつもりはありません。今回のオリンピック競技は公平性に欠け、メダルも従来の価値を持っていないからです。そんなものを観戦する暇があったら、本を読んだり、映画を観ることにします。

f:id:shins2m:20200516165530j:plain心ゆたかな社会』(現代書林)

 

しかし、わたしは、最初から東京五輪開催反対派だったわけではありません。それどことか、昨年は開会式および閉会式に参加予定で楽しみにしていました。拙著『心ゆたかな社会』(現代書林)の最終章「共感から心の共同体へ」には、「いくら商業化しようとも、オリンピックの火はけっして絶やしてはならない。言うまでもなく、オリンピックは平和の祭典である。悲しいことだが、古今東西、人類の歴史は戦争の連続だった。有史以来、世界で戦争がなかった年はわずか十数年という説もある。戦争の根本原因は人間の『憎悪』であり、それに加えて、さまざまな形の欲望や他国に対する恐怖心への対抗などが悲劇を招いてきたのである。だが、それでも世界中の人々が平和を希求し、さまざまな手法で模索し続けてきたのもまた事実である。国際連盟国際連合の設立などとともに人類が苦労して生み出した平和のための最大の文化装置こそがオリンピックであることには違いないのである」と書きました。

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西日本新聞」2020年4月21日朝刊

 

また、「西日本新聞」朝刊に連載していた「令和こころ通信」の最終回「何事も陽にとらえる」で、「現在のわたしたちは、深く考えることなく『WHO』や『IOC』などの国際機関の名前を口にしますが、これらはものすごい苦労の末に生まれたグローバルな合意の表れなのです。そして、第一次世界大戦が起こったから国際連盟が生まれ、第二次世界大戦が起こったから国際連合が生まれた歴史的事実を忘れてはなりません。国連もWHOもIOCも、すべて人類の叡智の果実です。さらには、グローバリズムの『負のシンボル』がパンデミックであり、『正のシンボル』がオリンピックであることを知る必要があります」と書き、「新型コロナウイルスを克服した後に開催される五輪こそ、真の『人類の祭典』となるでしょう。世界は必ず良くなります。あなたはきっと幸せになります。そう信じて、ともに前に進んでいきましょう!」と結びました。

f:id:shins2m:20210719165419j:plain最後は、何事も陽にとらえよう!

 

新型コロナウイルスの克服には程遠く、スポーツ競技大会としてのオリンピックも本来の姿からはかけ離れた歪なスタイルになったことはまことに残念です。政府の新型コロナ分科会尾身会長は「今のパンデミックで普通はやらない」と発言しましたが、わたしもパンデミック下のオリンピックはあり得ないと思います。先の戦争の開戦と同じく、明らかな災厄に向かって猪突猛進した日本政府には大いに失望しました。しかし、「何事も陽にとらえる」のがわが信条。アフター五輪の明るい日本の未来を信じ、最後に「東京五輪よ、無事に終われよ!」と言いたいです。

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こうなったら、無事に終われよ! 

 

2021年7月23日 一条真也