学識者ZOOM会議

一条真也です。
5日の16時から、ZOOM会議に参加しました。
儀礼儀式文化振興事業検討委員会準備会合」という名目の会議で、冠婚葬祭に関連する学識経験者の方々が参加されました。非常に密度の濃い会議でした。 

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これからZOOM会議です! 

 

わが業界には一般社団法人 全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)をはじめ、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団冠婚葬祭総合研究所などの組織があり、わたしは全互協の副会長、財団の副理事長、研究所の客員研究員として関わっています。この日は、島薗進氏(東京大学名誉教授・上智大学グリーフケア研究所所長)、石井研士氏(國學院大學副学長・同大学神道文化学部教授)、小谷みどり氏(シニア文化研究所所長)、山田慎也氏(国立歴史民俗博物館准教授・総合研究大学院大学准教授)、土居浩氏(ものつくり大学技能工芸学部教授)といった葬送じゃなくて(笑)錚々たる顔ぶれに加えて不肖わたしが参加し、議論を繰り広げました。進行役は、財団の井辺副理事長でした。

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錚々たる顔ぶれと意見交換しました 

 

冠婚葬祭互助会を取り巻く環境は、少子化、高齢化の進展、消費者意識の変化、コミュニティの弱体化、経済の長期にわたる低迷、地域経済の疲弊等に加え、コロナ禍の継続等の各種要因を背景として急速かつ大きく変化しつつあります。こうした中にあって、儀礼儀式文化も衰退の危機に瀕しています。儀礼儀式文化が人々の暮らしとともに発展してきた歴史、果たしてきた役割を真摯に受け止め、他方において、冠婚葬祭業を生業としてきた互助会の社会的責務として、儀礼儀式文化の調査研究、普及啓発・継承をしていくため、学生や若手研究者をはじめ学識経験者の調査研究、意見の交換が進むような方策、儀礼儀式文化の理解者の拡大が進むような方策、事業者自らの学びが進むような方策について意見を交換しました。

f:id:shins2m:20210705161804j:plain終始なごやかな会議でした 

 

今回のプロジェクトの最大の目玉は、学会の設立です。「儀礼儀式文化学会(仮称)」を立ち上げて動かしていくことの是非も検討しました。「学会にこだわらず、研究会やフォーラムのような組織でもよいのでは?」という意見も出ましたが、わたしとしてはやはり学会にこだわりました。というのも、今回の学会設立には昭和10年に柳田國男折口信夫が「日本民俗学」を立ち上げたような歴史的な躍動というものを感じてしまいます。 

f:id:shins2m:20210705161743j:plain次なる目標に全力で取り組みます! 

 

学会設立を契機に、もし「儀礼儀式学」のような新しい学問ができるとすれば、それは宗教学、社会学文化人類学民俗学、心理学などの諸学を横断するクロスオーヴァー的な存在となるでしょう。そこに、わたしは限りないロマンとミッションを感じます。コロナ禍で、日本中の人々が「冠婚葬祭や年中行事は存続できるのか?」「儀式とは何か?」と考えている今こそ、学会設立のベスト・タイミングではないでしょうか。また、古代ギリシャの王の葬送儀礼から発祥したとされるオリンピアが単なる商業イベントになり果てた事実を世界中の人々が知った今ほど、儀礼儀式学の誕生にふさわしい時はないと思います。今後も検討会を重ねる予定ですが、「儀礼儀式文化学会」の設立と「儀礼儀式学」の創立に尽力する覚悟です。ここ2年間取り組んできた「グリーフケア資格認定制度」はおかげさまで始動しましたが、次なる目標に全力で取り組みます!

f:id:shins2m:20210703081752j:plain心ゆたかな読書』(現代書林)

 

ところで、わたしは8月3日に最新刊『心ゆたかな読書』(現代書林)を上梓しますが、ブックガイドである同書には、この日の会議参加者の方の著書を3冊取り上げさせていただいています。すなわち、島薗進著『宗教を物語でほどく』、石井研士著『神さまってホントにいるの?』、小谷みどり著『没イチ』の3冊です。いずれも、儀式やグリーフケアを考える上で参考となる名著です。刊行の暁には、3人の著者の方々に献本させていただきます。

 

 

2021年7月5日 一条真也拝