死を乗り越える佐藤一斎の言葉

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聖人、死に安んず。
賢人、死を分とす。
常人、死を畏る。
佐藤一斎

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、佐藤一斎(1772年~1859年)の言葉です。一斎は江戸時代の儒学者美濃国岩村藩の出身。著書に、西郷隆盛の終生の愛読書だった『言志四録』や『重職心得箇条』などがあります。吉田松陰にも影響を与えました。

 

 

死をやみくもに恐れる人がいます。いや、そういう人がほとんどではないでしょうかわたしはグリーフケアということをテーマに活動をしています。グリーフケアの主な目的に、「死別の悲嘆」にどう寄り添うかということがあります。悲嘆はさまざまな原因で発生しますが、これを生む代表的な例は「死」です。愛する人を亡くした人が、いかにその悲しみから立ち直っていくか。そうしたグリーフケアの活動をしている中で気が付いたのが、読書や映画鑑賞は「死」を乗り越える力を与えてくれ、死とは恐れるものではないことを教えてくれることです。

 

 

 

人は見えないものへ、恐怖を感じます。死んだら人はどこへ行くのか、どうなってしまうのか。たとえどんなに偉大な英雄であっても、そうした不安はぬぐえません。歴史上の独裁者たちは、そのような目に見えない恐れから、死後の世界を想像し、創造しました。それが始皇帝陵であり、ファラオたちのピラミッド群なのかもしれません。目に見えてしまえば、安心できるのです。この儒学者の言葉もまた、そうしたことを考えさせてくれます。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。

 

 

2021年6月30日 一条真也拝