死を乗り越える井原西鶴の言葉

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浮世の月
見すごしにけり
末二年井原西鶴

 

一条真也です。
言葉は、人生をも変えうる力を持っています。今回の名言は、井原西鶴(1642年?~1693年)の言葉です。西鶴は、江戸時代の大坂の浮世草子人形浄瑠璃作者、俳諧師。別号は鶴永、二万翁、西鵬。

 

 

「浮世の月 見すごしにけり 末二年」は、西鶴の辞世の句です。実に洒落た辞世の句ではないでしょうか。彼は、江戸時代に大坂(現在の大阪)を中心に活躍した人形浄瑠璃浮世草子の作家です。『日本永代蔵』『好色一代男』などの作品で後世に名を残し、俳諧人としても有名でした。今でいえば、流行作家という感じでしょうか。じつは生年はよくわかっていません。ただ1693年に享年52歳で亡くなったと言われています。ということで、彼のこの辞世の句を逆算して、生年を割り出しています。辞世の句も詠んでおくべきですね。

 

 

当時、人生は50年と言われていました。しかし、あまりに楽しくて、うっかり二年余分に生きてしまったというのがこの句の意味だとするのです。戯作作家らしい、シニカルな表現が面白いですね。人生100年時代といわれる今、わたしたちは、どうすればこれまでに楽しく生きていけるでしょうか。そんなことを考えてしまいます。なお、この言葉は『死を乗り越える名言ガイド』(現代書林)に掲載されています。ご一読下されば、幸いです。

 

 

2021年6月7日 一条真也